「借金をしていたから過払い金の対象者かもしれない」「でも相談してみて過払い金がなかったら、気まずいから事前に知っておきたい」という人向けに、過払い金の対象者となる人を紹介します。
また、「契約書をなくしてしまった」「すでに自己破産している」といったような、一見、過払い金の対象者にはならなそうな人であっても、対象者であるケースもあります。
この記事を読めば、そういった例外的なケースについても知ることができるので、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
(トップ画像出典:https://www.pakutaso.com/20170600177post-12210.html)
過払い金が生まれる仕組み
ここでは、過払い金が生まれる仕組みについて解説します。過払い金は一言でいうと、払い過ぎた利息のことです。
過払い金は、借金するときの利息率によって生まれてきます。現在は、借金の利息率は1つに統一されていますが、昔は出資法と利息制限法という2つの法律で異なる利息率が設定されていました。
出資法では29.2%、利息制限法では最大で20%の利息率が定められていたのですが、利息制限法には罰則がなかったため、貸金業者の多くは29.2%までの高金利で貸し付けを行っていました。
これら2つの利息率の差が過払い金です。過払い金は返還請求をすると後から取り戻すことができますよ。
過払い金の対象者である人の特徴
ここでは、過払い金の対象になる人の特徴を紹介していきます。過払い金の対象となる人は下記で紹介する2パターンあります。
2010年6月18日以前に借り入れした人
前章で紹介したように、過払い金は出資法と利息制限法の利息率の違いによって発生します。2010年6月18日に2つの利息率が統一されたため、それ以前に借り入れをしていた人が対象となります。
完済してから10年以内の人
過払い金は借金が完済していても対象となります。しかし、過払い金の返還請求には時効があり、完済してから10年以内です。
時効を迎えてしまうと、弁護士に相談したとしても過払い金を請求することはできないので、気をつけてくださいね。
意外と知らない!こんな場合でも過払い金返還請求できる
「過払い金の対象者だけど、契約書をなくしてしまった」というような場合、過払い金の返還請求ができるのかどうか不安になりますよね。
ここでは、「契約書をなくしてしまった」「債務整理をした」など、少し特殊なケースについて紹介します。下記のようなケースでも、過払い金の返還請求ができるんですよ。
次章以降で詳しく解説していきますので、ここではざっと確認してみてください。自分が当てはまるものがある人は、その部分だけ読んでもらえば大丈夫ですよ。
- 自己破産した
- 訴外和解した
- 契約書をなくしてしまった
- おまとめローンで完済した
- 特定調停や一般調停で和解をした
- クレジットカードのキャッシングを利用している
過払い金返還請求の対象となる意外なケース①自己破産
自己破産している場合でも、利息が15~20%に統一された2010年以前に自己破産した場合は、過払い金返還請求が可能です。
しかし、2006年以降は自己破産した際に過払い金の有無を調べることが当たり前になったので、実際には2006年以前に自己破産した人が対象となります。
自己破産した後の過払い金返還請求の期限は、自己破産した時から10年以内です。10年を超えてしまうと過払い金があったとしても、返還請求することができないので注意してください。
過払い金返還請求の対象となる意外なケース②訴外和解
すでに貸金業者と訴外和解している場合も、過払い金返還請求ができることがあります。訴外和解をするときに過払い金返還請求の期限に余裕があると、取引履歴が開示されていないことがあるからです。
そのため、実際に過払い金があるかどうかの判断なしに和解交渉が進められていきます。すでに訴外和解が成立していても過払い金がある場合は、過払い金返還請求をすることができますよ。
期限としては、訴外和解から5年以内であれば過払い金返還請求できる可能性が高いです。ただ、期限はケースバイケースなので、まずは弁護士に相談してみるといいでしょう。
訴外和解とは、裁判なしで話し合いをして和解をすることです。
過払い金返還請求の対象となる意外なケース③契約書を紛失
借金をした時の契約書をなくしてしまった場合でも過払い金返還請求をすることができます。取引業者が分かっていれば、業者に対してあなたの名前などから取引履歴を調べられます。
もし万が一、契約した取引業者の名前が分からない場合でも過払い金返還請求が可能です。
借金をした時には、「信用情報機関」という機関に「誰がどれだけ借りたのか」という情報が記録されています。その情報に問い合わせることで契約書がなくても、あなたの過払い金について調べることができます。
問い合わせるためには、借入時の住所、氏名、生年月日が必要です。借入時と現在の住所が違う場合は気をつけてくださいね。
過払い金返還請求の対象となる意外なケース④おまとめローン
おまとめローンを利用して借金を返済または完済している人は、過払い金返還請求ができる可能性が高いです。
と言うのも、ブラックリストに載るのを避けるために、債務整理ではなくおまとめローンを利用するという人が多いからです。
おまとめローンで完済していたとしても過払い金が発生していることもあるので、一度弁護士に相談してみると良いでしょう。過払い金の返還を受け取れたら、おまとめ先の返済に充てることもできますよ。
過払い金返還請求の対象となる意外なケース⑤調停で和解
特別調停や一般調停を行っている場合でも、過払い金返還請求ができるケースがあります。調停での和解が借金の利息率が統一された2010年よりも前である場合は、過払い金が残っている可能性があります。
ただ、調停をしたときに過払い金についても手続きを行っているケースもあるので、必ずしも過払い金があるという訳ではありません。
調停証書に「債務なし」と記載されている場合は、過払い金については確認されていないので、過払い金が発生している可能が高いです。
実際に過払い金があるかどうかは、弁護士に相談して調べてもらいましょう。
過払い金返還請求の対象となる意外なケース⑥クレカ利用
通常の借り入れだけでなく、クレジットカードのキャッシング利用によっても過払い金が発生している可能性があります。
クレジットカードのキャッシングで、15~20%以上の利息を取られていた人は過払い金が発生している可能が高いです。ただ、ショッピング枠のみの利用の場合は、過払い金返還請求の対象とはなりません。
キャッシングとショッピング枠の両方を使っていて、ショッピング枠の返済が終わっていない場合は、過払い金が返還されると相殺された金額が手元に戻ってきます。
しかし、相殺をするとクレジットカードが使えなくなったり、ブラックリストに載ったりする可能性があります。できるのであれば、ショッピング枠を完済してから過払い金返還請求をすると良いですよ。
まとめ
過払い金返還請求の対象者について紹介してきました。過払い金返還請求の対象者となる人は下記の通りです。
- 2010年6月18日以前に借り入れをしている人
- 完済から10年以内の人
また、過払い金返還請求の対象者でありながら、下記のような状態の人でも過払い金返還請求をすることが可能なケースもあります。
- 自己破産した
- 訴外和解した
- 契約書をなくしてしまった
- おまとめローンで完済した
- 特定調停や一般調停で和解をした
- クレジットカードのキャッシングを利用している
「請求書をなくしてしまったから」「もう和解しているから」「自己破産や調停をしたから」という理由で、過払い金返還請求をしないのはもったいないですよ。
弁護士に相談して、過払い金があるかどうかの診断だけでもしてもらいましょう。