「過払い金の期限が迫っているという広告を見るけど、期限がいつなのか分からない」という人向けに、過払い金の期限について徹底解説します。
過払い金の期限は、借り入れの状況によって期限が異なるため、自分の場合はいつになるのかを把握しておくことはとても大切です。
過払い金の期限を延長する方法も紹介しているので、「間に合わないかもしれない」という人も、ぜひ読んでみてくださいね。
(トップ画像出典:https://pixabay.com/ja/photos/%E3%82%AB%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%83%80%E3%83%BC-%E5%B9%B4%E3%82%AB%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%83%80%E3%83%BC-1255953/#content)
予備知識!過払い金が生まれる仕組み
過払い金は、2つの法律によって異なる利率が設定されていたことによって生まれます。2つの法律で定められた利率の差が過払い金です。
2つのうち低い利息率を定めていた法律には罰則がなく、条件を満たせば利息率を超えても貸し付けが可能でした。しかし、払い過ぎた利息(過払い金)は借主が請求すれば返ってきます。
2010年に2つの法律の利息率が最大で20%までに統一されたので、2010年以前に借り入れをした人は過払い金がある可能性が高いです。
過払い金の返還請求には期限があるため、時効にならないためにも早めに請求することをおすすめします。
過払い金返済請求の期限は原則10年
過払い金の返還請求期限は原則、最後の取引から10年です。10年を超えてしまうと時効が成立し、たとえ弁護士であっても過払い金返還請求をすることはできません。
そのため、過払い金返還請求をする場合は、時効が成立する前に行うことが重要です。ただ、過払い金の期限には例外が3つあります。
- 返済中で滞納している
- 貸付業者が不法行為をしていた
- 一度完済して再度借り入れ
上記の3つの場合、過払い金の期限が少し複雑になります。次章以降でそれぞれを詳しく解説していきます。
例外的な過払い金返還請求の期限①返済中で滞納している
滞納せずに借金を返済中の場合は、毎月の支払いがあるため、過払い金の期限を気にする必要はありません。しかし、滞納している場合は、最後の取引から10年が期限になるため注意が必要です。
特に、借金を滞納しているにもかかわらず、貸金業者から督促されない(早く払うようにと言われない)場合は、過払い金が発生している可能性が高いです。
もし、滞納していても督促されない場合は、過払い金返還請求をすると借金が減ったり、場合によっては完済できることもあります。
万が一、過払い金返還請求ができなかったとしても、弁護士に債務整理をしてもらうことによって借金が減る場合もあるので、返済が難しい人は一度、弁護士に相談してみましょう。
例外的な過払い金返還請求の期限②貸金業者が不法行為
貸金業者が不法行為をしていた場合は、最後の取引から10年ではなく、「過払い金があることを知ったときから3年」となります。不法行為に当たるのは以下のようなものです。
- 嫌がらせ行為がある
- 返済を督促する際に脅迫される
- 3人以上で訪問してくることがある
- 1日に4回以上電話で取り立てがある
「不法行為を受けた」という人は、弁護士に相談して、過払い金があるかどうかを診断してもらいましょう。
過払い金があることが判明し、あなたがそれを知った時点から3年が期限となるので、完済から10年以上経っていても返還請求が可能ですよ。
例外的な過払い金返済請求の期限③一度完済して再度借り入れ
借金を一度完済して、再度、同じ業者から借り入れをしている場合は、例外的に2度目の借り入れを完済した日から10年になる可能性もあります。
たとえば、2000年4月1日に借り入れをして、2007年6月30日に一度完済します。その後、同じ業者から2008年1月15日に再度借り入れをして、2011年3月31日に完済したとしましょう。
この場合、例外的に認められれば、2011年3月31日から数えて10年が過払い金の期限です。
そのため、2021年3月31日までなら、2000年4月の借り入れと2008年の借り入れの両方とも、過払い金返還請求を行うことができます。
過払い金の期限で争点となるのは一連の取引と認められるかどうか
前章で紹介したように、一度完済して再度同じ業者から借り入れた場合は、例外的に2度目の借り入れを完済した日から10年が過払い金の期限となります。では、例外が認められるケースはどういった場合でしょうか?
基本的には、1度目の完済から2度目の借り入れまでの期間が365日以内であれば認められるケースが多いです。一度完済して再度借り入れしている人は、空白期間がどれくらいか確認してみてください。
ただし、クレジットカードのキャッシングで一括払いの場合などは、365日以内であっても認められないこともあります。逆に365日を超えてから借り入れた時でも、例外が認められる場合もあります。
取引が複数回ある場合の過払い金期限は判断が難しい
一度完済してから再度同じ業者から借り入れをした場合は、空白期間が365日以内かどうかで過払い金の期限が認められるかどうかが変わってきます。
しかし、実際にはケースバイケースで、365日を超えていても認められるケースもあれば、365日以内であっても認められないケースもあります。
この判断を一般人がするのは不可能なので、まずは弁護士に相談してみましょう。多くの弁護士事務所は、無料で相談を受け付けているので、気軽に相談してみてくださいね。
過払い金の期限を延長する方法2つ
ここまで、過払い金の期限について解説してきましたが、「もうすぐ期限が切れそうで過払い金返還請求しても間に合わないかもしれない」という人もいるかもしれませんね。でも、諦めるのはまだ早いですよ。
実は、過払い金の期限を延長する方法もあるんです。過払い金の期限を延長すれば、10年たった後でも過払い金返還請求をすることができますよ。
過払い金の期限を延長する方法は、大きく分けて2つあります。次章以降でそれぞれを詳しく解説していきますので、ここでは「2つ方法があるんだな」というのが分かればOKです。
- 内容証明郵便
- 裁判所に申し立て
過払い金の期限を延長する方法①内容証明郵便
過払い金の期限を延長する方法の1つ目は、内容証明郵便を使う方法です。貸金業者に対して、過払い金返還請求書を内容証明郵便で送ることで、6か月間、過払い金の期限を延長することができます。
内容証明郵便とは、「誰が何をどこに送ったのか」を記録して、証拠を残すことができる郵送方法です。今回の過払い金返還請求書などのように、大事な書類を取り扱う時に利用します。
過払い金返還請求書を内容証明郵便で送るには、以下の手順を踏む必要があります。
弁護士に相談
まずは弁護士に「過払い金の期限が近く、返還請求が間に合わないかもしれない」と相談してください。
もしまだ返還請求が間に合うようであれば、すぐに返還請求をしますし、間に合わない場合は期限を延長する手続きに入ります。
貸金業者に取引履歴を開示してもらう
過払い金を請求するためには、過払い金がいくらあるのかを計算する必要があります。そして、過払い金を計算するためには、取引履歴を見なければいけません。
弁護士が貸金業者に対して、あなたとの取引履歴を開示するように請求します。
過払い金の計算
取引履歴を開示してもらったら、過払い金の計算をします。弁護士がすべてやってくれるので、心配する必要はありませんよ。
過払い金返還請求書を内容証明郵便で送る
過払い金の計算が終わったら、過払い金返還請求書を作成して、貸金業者に内容証明郵便で送ります。ここまで完了すると、過払い金の期限が6か月間延長されますよ。
ここまでの手順を過払い金の期限内に終わらせるようにしてくださいね。
過払い金の期限を延長する方法②裁判所に申し立て
裁判所に申し立てを行うことによっても、過払い金の期限を延長することができます。裁判所に申し立てをする場合は、以下の3つのうちいずれかの申し立てをします。
- 訴訟の提起
- 支払い督促の申立
- 民事調停の申立
裁判所に申し立てをすると、判定が出るまでの間、過払い金の期限がストップします。判定で認められた場合は、さらに過払い金の期限が10年間も延長されますよ。
3つのうちどれが良いのかについては、状況によって異なりますので、弁護士に相談して決めましょう。
過払い金の相談ができる弁護士事務所は多くありますが、中でもミネルヴァ法律事務所がおすすめです。何度でも無料で相談できますので、気軽に相談してみてくださいね。
◆2020年6月 追記
2020年6月24日、「東京ミネルヴァ法律事務所」は、裁判所より破産手続きの開始決定を受けました。
よって現在、「東京ミネルヴァ法律事務所」に相談を行うことはできません。
過払い金の期限 まとめ
過払い金の期限について紹介してきました。記事の内容を一覧にまとめてみたので、もう一度チェックしてみてください。
- 過払い金の期限は原則、完済した日から10年以内
- 返済を滞納している場合は最後の取引から10年以内が期限
- 滞納していて督促がない場合は過払い金がある可能性が高い
- 完済して再度同じ業者から借り入れた場合は2度目の完済から10年以内になることも
- 内容証明郵便や裁判所に申し立てをすることで過払い金の期限を延長することもできる
過払い金の期限は原則10年ですが、一度完済して再度同じ業者から借り入れた場合の期限は、ケースバイケースで、一般人が判断することは難しいです。
弁護士なら、過去の事例を知っているので、あなたの場合はいつが期限になるのかを教えてくれますよ。
また、過払い金の期限を延長したり、債務整理をして借金を減らしたりなど、状況に応じて柔軟に対応してくれるので、まずは弁護士に相談することから始めてみてください。