毎月の返済はしている、借入総額も年利も把握している。でも毎月の利子ってどうやって計算しているの?総額はどれほど減っているの?そこが解らず不安を感じてませんか?
この記事では月々の利息を把握する上で押さえておきたい用語の解説から、月々の利子の計算方法。そして、元利均等返済と元金均等返済での毎月の支払い額を具体的な数字を用いてシミュレーションしていきます。
複雑な専門用語をしっかり理解していくことは債務者の義務です。そしてそれは完済へ向けての大きな武器になり得ます。
煩わしい専門用語、複雑にみえる計算式が読み終わる頃にはスッキリ理解できます。ぜひ最後まで読んでください!
そもそも年利とは?
専門用語の正しい意味を知らずに計算式は理解できません。そこでここでは元金、利子、年利という3つの専門用語について解説します。
- 元金:利子を含まない、借り入れをした金額の総額
- 利子:借りた元金に応じて発生する支払うべきお金
そして年利とは、一年間にかかる元本に対するの利子の割合のことです。式にして示しますと年利は以下の式で表すことができます。
- 年利 = 年間にかかる利息の総額 / 元金
通常、この式から出た数字をパーセント表示して年利と呼びます。仮に100万円借りて利子が10万円だった場合、年利は10%となりますね。
年利から一回に発生する利子を計算してみましょう
100万円を借りたとして丁度一年後に110万円を返すのであれば年利の説明はこれで終わりでいいのですが、実際の返済はこうはいきません。
大抵のローン返済や消費者金融の返済は月々一度返済をしていきます。場合によっては一週間に一回返済をする人もいるかもしれません。
ですので年利から1回の返済で払うべき利子を把握する必要があります。1回で支払うべき利子は以下のような式で表せます。
返済1回分の利子 = (前回の返済日からの日数/1年365日) x 年利 x 元金
1週間に1度、ひと月に1度に返済する場合、前回の返済日からの日数(1週間だったら7日、ひと月だったら31日)から365日を割った数字に元金と年利を掛けて利子を計算します。
具体的に年利10%、元金100万円で一週間に一回、月に1回返済したパターンを計算してみましょう。
- 1週間分(7日)の利子 = 7/365 x 0.1 x 100万円 = 1,918円
- 1月分(31日)の利子 = 31/365 x 0.1 x 100万円 = 8,493円
うるう年のある年もありますがこの365という数字は変わりません。またドル金利の場合は360日で行う場合もありますが、円金利の場合は365日のようです。
二種類の返済へのアプローチ、元金均等返済と元利均等返済
借金返済のアプローチとして元利均等返済と、元金均等返済があります。
大きなお金を借りてローンで返す場合、元利均等返済と元金均等返済のどちらの方式で返済をするかを選ぶことができます。
もっとも銀行側が有利で返済計画も立てやすい元利均等返済がメインですが、こういった選択もあるということを頭に入れておくとローンを組む時、より有利な選択ができるかもしれません。
それではまずローンを組む上でポピュラーな元利均等返済について説明していきます。
元利均等返済とは?計算方法もあわせて紹介
元利均等返済とは(元金+利息)の値を均一に返済していく返済方法です。毎月の返済額の式は以下の通りになります。
30/365 x 年利 x 前回の元金(利子) + 元金の返済 = 元利均等返済の返済額(定額)
年利10%、元金100万円、月5万円を元利均等返済をすると、その内訳は以下の通りになります。
8,220円(利子) + 41,780(元金の返済) = 5万円
式をみてわかるように、元利均等返済は毎月の返済額が一定であり、元金の返済額が利子によって変動します。元利均等返済のメリットとして以下のものがあげられます。
- 毎月の返済額が一定であるので返済計画が立てやすい
- 完済までの返済額が一定なので利子の高いローンを組みやすい
一方で元利均等返済のデメリットとして次のようなものがあげられます。
- 元金均等返済に比べると返済期間が長くなる。
- 払うべき利息も多くなってしまう。
まとめてみると貸し付ける銀行側にメリットが多いように感じます。
元利均等返済で返済を続けるとどんなことがおこるのか?具体的に数字を使って考察してみましょう。
元金100万円、年利12%、元利均等返済の月々返済計算
ここで富士たろうくんに登場していただきましょう。彼は100万円を年利12%で借り入れました。
そして今回は元利均等返済を利用して計画的に月10万円ずつ返すことにしました。
さて決意に燃える富士たろうくん、どんな困難が待っているのでしょうか?
※今回は計算を簡単にするため1年を360日、1ヶ月を30日として考えます※
さて1回目の返済、富士たろうくんは10万円を返済しました。さてその利息と減った元本は?支払の内訳は少し複雑なので丁寧に計算します。
- 利子=(30/360)x0.12×100万円=1万円
- 今回減った元金=10万円-1万円=9万円
- 残り元金=100万円-9万円=91万円
となりました。そして2回目の返済も滞ることなく富士たろうくんは10万円を返済しました。
- 利子=(30/360)x0.12×91万円=9,100円
- 今回支払った元金=10万円-9,100円=90,900円
- 残り元金=91万円-90,900円=819,100円
利子がふた月目でほぼ二万円、多少の焦りを富士たろうくんは感じつつ、根気よく返済を続けました。
利子 | 今回支払った元金 | 残り元金 | |
返済1回目 | 10,000 | 90,000 | 910,000 |
返済2回目 | 9,100 | 90,900 | 819,100 |
返済3回目 | 8,191 | 91,909 | 727,291 |
返済4回目 | 7,272 | 92,728 | 634,563 |
返済5回目 | 6,345 | 93,655 | 540,908 |
返済6回目 | 5,409 | 94,591 | 446,317 |
返済7回目 | 4,463 | 95,537 | 350,780 |
返済8回目 | 3,507 | 96,493 | 254,287 |
返済9回目 | 2,542 | 97,468 | 97,468 |
返済10回目 | 1,568 | 98,632 | 58,397 |
返済11回目 | 583 | 58,980 | 完済! |
最後は利息583円で58,980円を返済して無事完済、富士たろうくんはやり遂げました!
合計利息額は58,980円。元本に対して月々の返済額が多かったのでサクサク返すことができましたね。
しかし、これが元金の大きい額のローンだとすると、いつまでも元金が減らない!という感覚に陥ってしまうかもしれません。
元金均等返済とは?計算方法もあわせて紹介
元金均等返済とは、元金を定額で返済し、それに利息を加える返済方法です。
30/365 x 年利 x 前回の元金(利子) + 元金の返済(この値が一定) = 元金均等返済の返済額
具体的に年利10%、元金を100万円、元金の返済を5万円とすると一回目の返済額は以下の計算式で求められます。
元金均等返済の一月の返済額 = 30日/365日 x 0.1 x 100万円(利子) + 50,000(毎月一定の元金の返済)
= 8,220円(利子) + 50,000円(元金の返済) = 58,220円
元利均等返済に比べると少し変則的な返済方法です。大きな違いとしては毎月の返済金額が違うところです。メリットとしては以下の三つがあげられます。
- 返済額が多いので返済期間が少なくてすむ
- 最終的に払うべき利息が元利均等返済に比べて少なくて済む
- 元金が均一に減っていくという意味では返済の見通しが見えやすい
一方で元金均等返済のデメリットとして以下のようなものがあげられます。
- 最初の数回の利息を含めた返済額が大きくなる
- 貸す側にとっては少しマイナーな返済方法のようで返済方法として採用されにくい
さて元金均等返済ではどのような返済生活になるのでしょうか?具体的な数字を用いて考えてみましょう。
さきほどと同じ条件(年利12%、元金100万円)で富士たろうくんに再び頑張ってもらうことにします。
※今回も計算を簡単にするために1年を360日、1か月を30日として計算します。※
元金100万円、年利12%元金均等返済の月々の返済計算
さて今回、富士たろうくん、以下のような条件で返済計画を考えました。
さきほどよりも高額な月々の返済、鼻息も荒く一気に完済をさせる意気込みが富士たろうくんからは伺えます。さてどうなるのでしょうか?
- 1回目の返済=(30/360)x0.12×100万+10万円=11万円
- 2回目の返済=(30/360)x0.12×90万+10万円=109,000円
利子 | 返済額 | 残り元本 | |
返済1回目 | 10,000 | 110,000 | 900,000 |
返済2回目 | 9,000 | 109,000 | 80,000 |
返済3回目 | 8,000 | 108,000 | 700,000 |
返済4回目 | 7,000 | 107,000 | 600,000 |
返済5回目 | 6,000 | 106,000 | 500,000 |
返済6回目 | 5,000 | 105,000 | 400,000 |
返済7回目 | 4,000 | 104,000 | 300,000 |
返済8回目 | 3,000 | 103,000 | 200,000 |
返済9回目 | 2,000 | 102,000 | 102,000 |
返済10回目 | 1,000 | 101,000 | 完済! |
元金がどんどん減って順調な富士たろうくん、とはいえ初めての返済は11万円、このお金を捻出するのに富士たろうくんは苦労したようです。
利子の合計55,000円と、元利均等返済の利子の合計は58,980円と比べると4,000円近い額の差が出ました。
年利が同じ場合、元利均等返済、元金均等返済どっちがいいの?
今回の富士たろうくんのシミュレーションは、カードローンや消費者金融で100万円借りたら、というモデルでした。彼の場合、利息+元金定額返済で元金で返済していく元金均等返済のほうが向いていたようです。
しかし、例えば家を購入するためのローンとなると話は違います、不況といわれる今では住宅ローンの金利は1%程度です。しかし借り入れる元金は数千万円です。
となると最初に払うべき利子もけた違いに大きく、大きな額の元金のローンにおいては常に定額を返済していく元利均等返済のほうがむいているかもしれません。
とはいえ、大型のローンを組む場合は返済方法は一度決めたら変えづらいようです。しっかりとした返済のビジョンを持ち計画をたてましょう。
返済計画の計算にはシミュレーションサイトがオススメ
今回の記事では元利均等返済のシミュレーションを作るにあたって借金返済からの脱出というサイトの借金返済シミュレーションを使わせていただきました。複雑な返済計算を表で見えやすくする良いシミュレーションサイトです。
今回紹介した年利、利子、元金、複雑な専門用語が借金にはたくさんあります。そして具体的な数字を計算するとさらに複雑です。その複雑さが返済計画を見えづらいものにしてしまいます。
とはいえ、具体的に返済計画を立てれば借金の利用は安全です。借金返済のビジョンを持つにも、借金返済シミュレーションを使って返済計画を『見える化』しましょう。
借金返済の計画を立てるにあたっておすすめのシミュレーションサイトを以下の記事で詳しく紹介しているので、あわせて読んでみてください。
上記の記事もご覧になることで、より借金の複雑さに関する知識が深まりますよ。
年利から求める毎月の返済の計算方法:まとめ
今回はそもそも年利とはなにかという用語の解説から、年利から求める毎月の利子の計算式、そして元利均等返済、元金均等返済の二つの返済方法について書いていきました。
今回年利、元金、利子といった借金における基本的な専門用語について調べてみましたが、ぼんやりとしか理解していない自分に気づきました。
ボンヤリとしている専門用語をしっかりと理解をする。このような些細な努力が、借金の返済の際に大きな武器になります。
そして元利均等返済と元金均等返済、この二つの返済方法は借金に悩んでる方への大きなヒントになると確信しました。少しでもお役に立てれば光栄です。