債務は「さいむ」と読みます。しかし、読み方が分かったとしても、言葉の意味が分からないと本当に理解したことにはなりませんし、あまり役立ちません。
債務というと難しく聞こえますが、実は私たちの生活に大きくかかわっている身近なものなので、しっかり理解しておきたいですよね。
特に、借金を抱えた場合などはしっかりと言葉の意味を知っておかないと、トラブルの原因になってしまうので、この機会にしっかりと覚えてしまうことをおすすめします。
この記事では、債務の読み方をはじめとして関連する言葉の意味などを紹介していきますよ。紹介する内容をここで一覧にまとめておきますね。
- 債務の読み方
- 債務の意味
- 債権の意味と債務との関係
- 債務整理の種類
- 債務名義とはなんなのか
トラブルを未然に防ぐためにも、この記事を参考にして、債務について理解を深めてみてくださいね。
(トップ画像出典:https://www.pakutaso.com/20191050281post-23579.html)
「債務」の読み方
ここでは、債務の読み方と意味について簡単に紹介していきます。読み方と合わせて意味も理解すれば、債務に関する文章や話が分かるようになりますよ。
前述したように、「債務」は「さいむ」と読みます。間違いやすい読み方として「せきむ」があるので、気をつけてくださいね。
債務の読み方は分かったわけですが、意味が分からないと読めてもあまり役立ちませんよね。債務とは、ブリタニカ国際大百科事典によると以下のように定義されています。
債務とは、ある者 (債務者) が相手方 (債権者) に対して一定の行為 (給付 ) をすることを内容とする義務をいう。
出典:https://kotobank.jp/word/%E5%82%B5%E5%8B%99-68252
簡単に言うと、「誰かに対して何かをしなければいけない義務を負うこと」です。債務を負う人のことを債務者(さいむしゃ)と呼びます。よく出てくる用語なので覚えておくといいでしょう。
債務の読み方は分かったけど、具体的にはどういう意味?
債務の読み方とざっくりとした意味は分かりましたね。ここでは、実際にはどういう状況で債務が生まれるのか、「AさんとBさんが本の貸し借りをした」という具体例で解説していきますね。
上記のようにAさんがBさんから本を借りたとします。この場合は、Aさんは「今月末までに本をBさんに返す義務」を負うので「債務者」となります。
Aさんに対して、Bさんは「債権者」です。債権については後ほど詳しく解説していきます。
「債務不履行」の読み方は?
債務に関する言葉に「債務不履行」があります。漢字ばかりで難しそうですが、ここまでの内容で債務の意味が分かっている状態なら簡単に理解できるので、安心して読み進めてくださいね。
「債務不履行」は「さいむふりこう」と読みます。「不履行」とは、「約束事や義務を実行しないこと」を意味します。
つまり、「債務不履行」とは、「誰かに対してしなければいけない義務を実行しなかった」という意味です。先ほどのAさんとBさんの具体例で言うと、「Aさんが本をBさんに返さなかった」場合が当てはまります。
債務と一緒に出てくる「債権」の読み方と意味
債務とよく一緒に登場するのが「債権」という言葉。「債権」は「さいけん」と読み、債務と対になる言葉なので覚えておきましょう。
債権とは、ブリタニカ国際大百科事典によると、下記のように定義されています。
ある者 (債権者) が他の者 (債務者) に対して一定の行為 (給付 ) を請求しうることを内容とする権利をいう。
出典:https://kotobank.jp/word/%E5%82%B5%E6%A8%A9-67830
簡単に言うと、債権とは、「債務者に対して、債務を実行するように言うことができる権利」です。
先ほどのAさんとBさんの具体例で言うと、BさんはAさんに対して「本を今月末までに返すように主張する権利」があり、この権利のことを債権と言います。
債務と債権の関係を具体例で解説!
ここまでで、「債務」、「債務不履行」、「債権」について理解することができましたね。ここでは、この3つの言葉を使って、さらに債務と債権の関係について詳しく解説していきます。
先ほどのAさんとBさんの具体例を使って解説していきますね。AさんはBさんから本を借り、今月末までに返すという債務を負いました。その後の会話から見ていきましょう。
この会話を見ると、Aさんは債務不履行してしまったようです。BさんはAさんに対して「本を返すように主張できる権利」(債権)があるので、Aさんよりも立場が強いですね。
この具体例では両者の話し合いで解決しますが、大きな問題になると、債権者が債務者を訴えて裁判になることもあります。
債務の種類とそれぞれの内容
債務と債権の関係について解説してきましたが、実は債務には大きく分けて、「与える債務」と「為す債務」の2種類があります。それぞれの簡単な意味について紹介していきます。
与える債務
与える債務というのは、ものを引き渡すことに関する債務です。具体例で挙げたAさんとBさんの本の貸し借りでは、「AさんがBさんに本を返す債務」が与える債務に当たります。
為す債務
為(な)す債務というのは、ものの引き渡し以外に関する債務です。たとえば、雇用契約では、労働者が会社に対して労働力を提供する債務があります。労働力はものではなく行為なので、為す債務に当たります。
債務と混同されがちな「負債」の読み方と意味
債務と同じような意味で使われる言葉に「負債」があります。似たような意味ではありますが、厳密に言うと別物なので、しっかりと意味を理解しておきましょう。ここでは、債務と負債の違いについて紹介します。
債務と負債の違いには、言葉が使われる分野の違いと、言葉の意味の違いの2つがあります。
使われる分野の違い
「負債」は「ふさい」と読み、会計用語として使われているのに対して、債務は法律用語として使われています。
言葉の意味の違い
債務はこれまで説明してきたように、「誰かに対してなにかをしなければならない義務」のことです。それに対して、負債は、「支払わなければならないお金」のことを指します。
「お金を支払う義務」という与える債務を負う場合は、言い換えると、「負債を返す義務」ということです。
そのため、借金に関する話では債務と負債の2つの言葉が入り混じります。それぞれの意味を理解していないと上手く手続きができなくなる可能性があるので、ここでしっかり覚えておきましょう。
「債務整理」の読み方と種類
「債務整理」は「さいむせいり」と読み、抱えきれない債務(借金)を減らしていくことを指します。そして、債務整理には、「任意整理」「特定調停」「個人再生」「自己破産」の4種類があります。
任意整理
任意整理は、弁護士や司法書士に依頼をして行う方法です。依頼した弁護士などが、債権者(お金を貸している人)に借金を減らしてくれるように、裁判所を通さずに直接交渉してくれます。
特定調停
特定調停は、債務者(借金をしている人)が簡易裁判所に申し立てをする方法です。調停委員の立会いの下で、債権者(お金を貸している人)と話し合って、借金を減らしたり支払い方法を変更したりします。
個人再生
個人再生は、地方裁判所に申し立てを行い、最大で借金を10分の1にすることができる方法です。自宅を手放す必要はありません。
自己破産
自己破産は、地方裁判所に申し立てを行い、認められると借金を全額免除してもらえる方法です。ただし、自宅を処分する必要があります。
「債務名義」の読み方と意味
債務に関して「債務名義」という言葉があります。「債務名義」は「さいむめいぎ」と読み、債権者(お金を貸している人)が債務者(借金をしている人)に対して返済を要求してもいい範囲を定めているものです。
簡単に言うと、債務整理をしたときに、債務者(借金をしている人)が最終的にどれだけの金額を返済するのか決められた内容をまとめた公文書のことです。執行名義と呼ばれることもあります。
まとめ
ここまで債務について、具体例を交えながら関連した言葉についても解説してきました。記事の内容を一覧にまとめてみますね。
- 「債務」は「誰かに対してなにかしなければならない義務」のこと。
- 「債権」は「債務者に対して債務を実行するように主張できる権利」のこと。
- 「債権者」は「債務者」よりも立場が強い。
- 「債務整理」は「借金を減らすための手続き」のことで、4種類ある。
- 「負債」は会計用語で、「返済しなければいけないお金」のこと。
- 「債務名義」は「債権者が債務者に対して請求できる範囲を定めた公文書」のこと。
債務は私たちの生活にかかわりのあるものですが、読み方も意味も難しく、知らないまま過ごしている人が多いです。
しかし、しっかり言葉の意味を理解していないと、借金返済で損をしたりトラブルになったりしてしまいます。
トラブルを防止するためにも、この記事を参考にして債務について理解を深めてくださいね。