「個人再生は借金がかなり減らせると聞いたけど本当?デメリットも当然あるよね。」
現在借金が返済できなくて、債務整理を考えているあなたは、どの手続きを取ればいいか悩んでいませんか?個人再生は、借金がかなり減らせて、財産も残せるので、メリットが大きい手続きに見えますよね。
しかし、個人再生は申請から申請後までデメリットが多いです。この記事では、個人再生をするとどのようなデメリットがあるのか7つ解説するので、どの債務整理をするか悩んでいる場合は読んでみてください。
(トップ画像出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/2239804?title=%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%88%E3%81%A8%E3%83%87%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%88)
個人再生はどんな手続き?
個人再生は、債務整理の1つで借金を整理する手続きです。裁判所に「借金の返済が難しいので、減額してください」と申請をします。
裁判所に認められれば、借金が最高9割程減額でき、財産も残すことができるのがメリットでしょう。
個人再生をするためには「借金の総額が5,000万円以下であること」と「安定した収入があること」が最低限の条件になります。
申請条件にあてはまらない場合は、個人再生以外の債務整理の手続きを取ることになります。
個人再生のデメリット①必要書類が多く複雑で審査に時間がかかる
ここからは個人再生のデメリットを7つ紹介していきます。個人再生のデメリットの1つ目は「必要書類が多く複雑で審査に時間がかかる」です。
個人再生では、裁判所に提出する書類が非常に多く内容も複雑なので、審査に時間がかかります。弁護士に申請を依頼しても、依頼者が申請に必要な書類を集めるだけで、1ヶ月はかかるでしょう。
さらに、申請から認可まで約6カ月かかると考えてください。この期間中に裁判所から追加の書類を提出するよう依頼や訂正があれば、その分認可まで時間がかかります。
個人再生で必要な書類の詳細は、こちらの記事にまとめているので、ご覧ください。
個人再生のデメリット②安定した収入が無いと申請できない
個人再生のデメリットの2つ目は「安定した収入が無いと申請できない」です。
個人再生では、借金を大幅に減額できますが、認可後に残りの借金を3年間で返済しなければいけません。毎月安定した収入が無いと返済できないため、収入が不安定または無職だと申請ができないのです。
また、裁判所に申請する費用も高額になるため、経済的に厳しい場合は、個人再生の申請は難しいです。裁判所への申請費用は次のようになります。
- 弁護士が申請手続きを代わりにする場合:30,000円程度
- 自分で手続きをする場合:215,000円程度
(参考:https://www.courts.go.jp/sendai/saiban/tetuzuki/kozinsaisei/index.html)
個人再生のデメリット➂債権者が反対すれば審査ができなくなる
個人再生のデメリットの3つ目は「債権者が反対すれば審査ができなくなる」です。
個人再生は借金の返済計画について、債権者の半分以上の同意を得る必要があります。返済してもらえる金額が減ってしまうので、「個人再生より任意整理で返済をしてほしい」と反対する債権者もいるでしょう。
もし、あなたが現在会社員で今後も働く予定であれば、借金の返済計画について債権者より同意を得る手続きは省略されます。ただし、この場合は返済金額が上がる可能性があるので注意しましょう。
個人再生は2種類あり、個人事業主やアルバイトで生計を立てていれば「小規模個人再生」、会社員であれば「給与所得者再生」となります。
給与所得者再生でも申請条件を満たさない、または返済金額が高額になる場合は、小規模個人再生の手続きを取ることが多いです。
個人再生のデメリット④借金でも減額ができないものがある
個人再生のデメリットの4つ目は「借金でも減額ができないものがある」です。
個人再生は、借金(債務)すべてが整理対象になりますが、中には減額できないものもあります。減額できない具体例は次のとおりです。
- 住宅ローン ※住宅を残す場合
- 各税金
- 社会保険料
- 罰金、損害賠償
- 養育費
申請の条件を満たせば住宅を残せますが、住宅ローンを減らすことはできません。また、税金や社会保険料など役所に支払う債務も減額の対象となりません。
損害賠償や養育費は、減額はできませんが個人再生の認可後に、一時的に毎月の返済金額を減らせます。3年間の返済後に、引き続きこれらの返済を続けることになります。
個人再生のデメリット⑤クレジットカードが使えなくなる
個人再生のデメリットの5つ目は「クレジットカードが使えなくなる」です。
個人再生を含めた債務整理は、手続きをすると信用情報機関に事故情報が記録されます。事故情報が記録されると、新しくローンを組んだり、クレジットカードを作ったりすることはできません。
事故情報は「借金の整理をしたので、信用がありません」という意味になります。ローンやクレジットカードは、個人の信用が無いと審査に時間がかかったり、審査に落ちたりすることがあります。
個人再生は借金のすべてが整理対象となるので、現在持っているクレジットカードは利用停止となります。
個人再生のデメリット⑥返済に遅れると認可取り消しになる
個人再生のデメリットの6つ目は「返済に遅れると認可取り消しになる」です。
個人再生の認可が降りても、借金の減額が認められるわけではありません。認可後に3年間で残りの借金を完済して、初めて減額した分の返済を免除されるのです。
もし、毎月の返済に遅れたり、滞納したりした場合は、認可を取り消されることがあるので、期日に遅れず支払いすることが求められます。認可を取り消されれば借金は減額前の金額になり、返済が厳しくなるでしょう。
裁判所によっては認可前に、毎月継続して返済ができるか確認するためのテスト期間を設けている所もあります。裁判所が指定した口座に返済予定金額を毎月振り込んで、返済できると判断されれば認可となります。
個人再生のデメリット⑦官報に名前が掲載される
個人再生のデメリットの7つ目は「官報に名前が掲載される」です。
官報とは、国立印刷局が発行している新聞で、法律の制定や改正など国に関する情報を掲載しています。無料で公開されている部分もあるので、興味があれば国立印刷局の公式サイトをご覧ください。
個人再生で認可されると、官報に自分の名前と住所が掲載されます。個人情報が載りますが、官報を頻繁に読む人はいないので、会社や周囲の人に手続きをしたことを知られる可能性は低いでしょう。
個人再生をするか任意整理をするか?
ここまで、個人再生をするデメリットを紹介しました。個人再生をするか悩む場合は、他の債務整理と比較してあなたがどうしたいかを選んだ方がよいです。個人再生と似た手続きで、任意整理があります。
任意整理は、債権者と直接交渉をし返済計画を見直す手続きです。債権者と債務者で和解案に同意すれば、利息は無くなり、借りた金額のみ返済をします。
任意整理のデメリットは、個人再生よりも返済金額が高額になることです。しかし、債権者との交渉のみで、裁判所に書類を提出して審査される必要はないため、早ければ3カ月程で完了するでしょう。
個人再生より返済金額が多くなりますが、申請の手間などを考えると任意整理の方が、デメリットは少ないです。
個人再生をするとどんなデメリットがあるの? まとめ
今回は、個人再生をする際のデメリットを7つ解説しました。最後に個人再生のデメリットをもう一度まとめますね。
- 必要書類が多く複雑で審査に時間がかかる
- 安定した収入が無いと申請できない
- 債権者が反対すれば審査ができなくなる
- 借金でも減額ができないものがある
- クレジットカードが使えなくなる
- 返済に遅れると認可取り消しになる
- 官報に名前が掲載される
個人再生は、申請から認可後までデメリットが多いので、個人的に申請をおすすめしません。
裁判所へ申請書類を提出できたとしても、認可が降りるとは限らず、認可後の生活も厳しくなるからです。審査の過程で債権者が反対したり、認可後に返済に遅れたりすれば、認可取り消しの可能性もあります。
個人再生では、借金を大幅に減額できることと、財産を残せることがメリットに見えますが、申請するための準備も申請後の苦労も多いので、別の債務整理で解決できないか検討することをすすめます。