今回は債務整理の1つである【任意整理】をするメリット・デメリットを取り上げます。借金を整理する方法の中で、リスクが1番少ない任意整理ですが、本来返済すべきお金を減らすのでデメリットはあります。
借金は遅れずに完済することが前提ですが、どうしても返済が難しい場合は債務整理をして無理をせずに返済をすることもできます。
この記事では、任意整理が他の債務整理とどのような違いがあるのか解説するので、借金の返済で困っているけど解決方法がわからない場合は、参考に読んでみてください。
(トップ画像出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/3010674?title=%E5%8A%A9%E3%81%91%E3%81%A6%20HELP)
任意整理はどんなことをするの?
任意整理は債務整理の中の1つで、借金を減額する方法としてよく使われる方法です。債務整理は他に3つ方法があり、特別調停、個人再生、自己破産があります。
任意整理は、借金をしている金融機関(債権者)と直接交渉し、利息を無くして債務者の返済予定を見直す方法です。任意整理後は、借りたお金を3年~5年かけて返済します。
安定した収入があり、返済の見込みがあれば、債権者と債務者で交渉して返済計画を決めます。あくまで双方での合意になるため、法的効力はありません。
しかし、任意整理後に返済が遅れたりすると、一括で返済を求められたり、裁判になる可能性はあります。
任意整理と特定調停・個人再生・自己破産の違い
任意整理は、債権者と交渉して債務者の返済計画を見直し、借りたお金を返していきます。特定調停、個人再生と自己破産との違いはおおまかに次のようになります。
- 特定調停:債権者との交渉に裁判所が入り、裁判所が和解案を提案する
- 個人再生:借金を大幅に減額し、住宅など一部の財産を残すことができる
- 自己破産:借金の返済を免除する代わりに、生活に必要な財産以外は没収される
任意整理は家族や会社に知られずに手続きができ、自分の財産を没収される不安もありません。特別調停は任意整理とほぼ同じ手続きですが、交渉が難航するときに裁判所が入るので長期にわたる可能性があります。
個人再生では、自分の財産を保有したままでいられますが、借金を大幅に減らすだけで、返済は必要であることに注意しましょう。
自己破産は、財産と見なされたものは原則没収されます。具体的な法律の解説は省略しますが、全財産を没収されるのではなく、生活に必要なものは残るので安心してください。
また、個人再生と自己破産では財産を没収されるため、手続きをする過程で、家族や周囲の人に知られる可能性は高いです。
任意整理をするメリット①:利息を無くして返済期間を調整できる
ここからは任意整理をするメリットを3つ紹介します。任意整理をするメリットの1つ目は「利息を無くして返済期間を調整できる」です。
任意整理では、債権者と交渉をして今後の返済計画を見直します。交渉の結果、債権者と債務者で合意ができれば今後発生する利息を無くし、返済期間を調整できます。
当初支払う予定だった利息が発生しないため、返済するのは借りたお金のみです。借金の残りを3年~5年で返済できる計画を立てて、無理のない範囲で返済をしていきます。
任意整理でも3年~5年で借金の返済が難しい場合は、債権者が合意すれば5年以上に伸ばせる可能性はあります。
任意整理をするメリット②:無理のない返済ができる
任意整理をするメリットの2つ目は「無理のない返済ができる」です。
任意整理では、安定した収入があれば、毎月の収入から支出を引いた残りの金額で借金の返済が可能か考えます。
借金の金額にもよりますが、先ほど説明した通り、返済計画は3年~5年で設定されることが多いでしょう。
毎月の返済額は、必要な生活費を考えて設定するので、日々の生活に苦しくなるほどの金額にはなりません。また、利息の支払いも無くなるので、元本がなかなか減らないという悩みも無くなりますね。
任意整理をするメリット➂:家族や会社にバレにくい
任意整理をするメリットの3つ目は「家族や会社にバレにくい」です。
裁判所を通さずに債権者との直接交渉になるので、注意すれば家族や会社に知られることはありません。借金していることを誰かに知られたくない場合は、任意整理が最適でしょう。
個人再生や自己破産は裁判所を通して手続きするため、裁判所に出向いたり、官報に名前が掲載されたりします。さらに、自分の財産が没収されるので、家族と同居している場合は手続きしたことが確実に知られます。
官報は日常生活で触れることはあまりないので、債務整理をした事実を会社などに知られる可能性は低いです。
任意整理をするデメリット①:信用情報に事故情報が載る
ここからは、任意整理によるデメリットを3つ解説します。任意整理をするデメリットの1つ目は「信用情報に事故情報が載る」です。
クレジットカードを作ったり、ローンを組んだりするときに審査を受けた経験はありませんか?金融機関は審査のときに、信用情報機関で過去にローンの返済が遅れていないか、滞納していないか調べています。
任意整理をすると、信用情報に「任意整理したので信用がありません」という事故情報が載ります。事故情報が載ると、今後5年~10年はローンは組めなくなり、クレジットカードも新しく作れません。
さらに、使用しているクレジットカードが使えなくなることがあります。また、自動車ローンなどを組んでいる場合は、最悪の場合ローン会社に自動車を没収される可能性も…。
任意整理をするデメリット②:借金を大幅に減額できない
任意整理をするデメリットの2つ目は「借金を大幅に減額できない」です。
任意整理は借金を整理する手続きですが、利息を無くすだけで借りたお金自体は減らないことに注意しましょう。個人再生や自己破産よりも返済金額が高額になるケースが多いです。
また、金融機関との交渉では条件付きの任意整理となる可能性もあります。例えば利息は○○%つける、または△△回で返済をしてもらう、という条件です。
任意整理は債権者との交渉のため、債務者と債権者が合意しない場合はできないので、借金の整理が難しくなるでしょう。
任意整理をするデメリット➂:安定した収入が必要
任意整理をするデメリットの3つ目は「安定した収入が必要」です。
任意整理は先ほど説明したとおり、借金を大幅に減額できず、返済を続けることになります。安定した収入が無いと任意整理はできません。
お金を借りているけど働いていない場合は、任意整理はできず、個人再生か自己破産のどちらかを選択することになります。
安定した収入があっても、任意整理後の返済を滞納してしまうと、一括で返済を求められたり、最悪の場合は個人再生か自己破産に移ることになります。
任意整理は個人再生や自己破産よりはデメリットは少ない?
ここまで任意整理のメリットとデメリットを解説しました。借金を大幅に減らせなかったり、5年~10年はローンを組めなくなったり、生活に支障はでますが、個人再生や自己破産と比べるとデメリットは少ないです。
任意整理は、返済金額はあまり減りませんが、財産を没収されることは無く、注意すれば他人に知られることもありません。時間が経てばローンを組んだり、クレジットカードを作ったりすることができます。
一方で個人再生や自己破産では、返済金額を大幅に減らす、またはゼロにする代わりに、自分の財産を没収されて必要最低限の生活しかできない可能性があります。
また、個人再生と自己破産は長く信用情報に事故情報が残りやすいので、長期間ローンを組むことも、クレジットカードも作ることができません。その点で、任意整理はこの2つよりデメリットが少ないかもしれませんね。
借金を整理するときはデメリットは当たり前
債務整理をするときは、借金が減るというメリットだけでなく、デメリットを伴います。本来返済できる前提で借りているお金ですので、自分の都合で返せない場合ペナルティを受けるのは当然ですよね。
債務整理は借金の返済がどうしても難しい場合、ペナルティを受ける代わりに借金を減らす、またはゼロにするという手続きです。
今回紹介した任意整理は、債務整理の中でも日常生活に影響が少ない手続きになります。それでも今までクレジットカードを毎日使っていた人は、使っていたカードが使えなくなり不便になるでしょう。
ペナルティを受けても借金を減らしたいのか、生活が苦しくても借金を返済し続けるのか、慎重に考えるべきですね。
任意整理をするメリット・デメリットは? まとめ
今回は任意整理によるメリット・デメリットを他の債務整理と比較して解説しました。任意整理は安定した収入があれば、信用情報に事故情報が載るものの、財産を減らさずにできる手続きです。
自分が借金をした理由を家族や周囲の人に知られたくない場合でも、任意整理は1番やりやすいでしょう。ただし、債権者に交渉する時は、自力で解決しようとせず弁護士などの専門家に依頼することをおすすめします。
金融機関は任意整理でも自分達に有利な条件をつけて、返済させる可能性があります。弁護士などの専門家であれば、債務者に不利な条件にならないように交渉出来ますよね。
なるべくなら債務整理をせずに借金の返済ができればいいですが、家計が苦しいならば解決方法があることを知っておいた方が不安も少なくなります。