適切な手続きをすればお金が返ってくる過払い金。しかし、中には過払い金を使った詐欺を仕掛けてくる相手もいます。
この記事を読めば、過払い金詐欺の手口や見分けるポイントが分かるので、過払い金詐欺から身を守ることができますよ。
詐欺に遭わないためにも、過払い金返還請求を依頼する前に、この記事を読んで過払い金詐欺について知っておきましょう。
(トップ画像出典:https://pixabay.com/ja/photos/%E8%A9%90%E6%AC%BA-%E3%83%8F%E3%83%83%E3%82%AB%E3%83%BC-%E3%82%BB%E3%82%AD%E3%83%A5%E3%83%AA%E3%83%86%E3%82%A3-4126798/#content)
知っておきたい!過払い金詐欺とは?
過払い金を取り戻すことができるという情報は、だんだんと広まってきていますが、それと同時に詐欺に利用されることも増えています。
過払い金詐欺では、「過払い金を取り戻すことができれば、借金が減る」という消費者の心理を悪用して、お金をだまし取ります。
過払い金詐欺がやっかいなのは、悪意を持った弁護士や司法書士が過払い金を着服する詐欺もあることです。
そのため、消費者自身が適正な法律事務所を選んで依頼する必要があります。次章以降で、過払い金詐欺の特徴を解説していくので、自分の身を守るためにも、過払い金詐欺について知識を得てくださいね。
過払い金詐欺を仕掛けてくる相手
ここでは、過払い金詐欺を仕掛けてくる相手について紹介していきます。過払い金詐欺を仕掛けてくる相手は3パターンです。
どんな相手がいるか知っておくことで、詐欺を警戒することができるので、過払い金返還請求をする前にここで知っておきましょう。
貸金業者
過払い金返還請求は自分(借主)だけでも行うことができるのですが、借主自身が行う時は貸金業者に騙される可能性が高いです。
貸金業者は金融や法律の知識がありますので、一般人が過払い金返還の交渉をしてもうまくいかないです。通常よりも安い過払い金の返還を提案してきて、和解させようとしてきます。
全ての貸金業者がそうだという訳ではないですが、詐欺に巻き込まれるリスクを減らすためにも、過払い金の返還請求は弁護士・司法書士に依頼するようにしてください。
NPO法人
弁護士や司法書士ではない人から「過払い金の返還請求をしないか?」と勧誘してくるケースもあります。このケースで多いのは、NPO法人です。
過払い金の返還請求は弁護士か司法書士しかすることができません。「NPO法人なら弁護士よりも安く利用できる」などと言われても、絶対に応じないでください。
悪質な弁護士・司法書士
過払い金返還請求の専門家である弁護士や司法書士が、過払い金を着服するケースもあります。相談した時の態度が雑である場合や、無理にでも依頼させようとしてくるときは注意が必要です。
知っていれば騙されない!過払い金詐欺の手口
ここでは、過払い金詐欺の手口について紹介していきます。過払い金詐欺の手口には6つのパターンがあり、それぞれ違った手口でだましてきますので、ここでしっかりと知っておきましょう。
還付金詐欺
「過払い金を返却するのでATMの操作をお願いします。」などと誘い、ATMを操作させてお金を振り込ませたり、口座番号を聞き出してきたりする詐欺です。
過払い金返還請求は借主から連絡を入れない限り、返還手続きがされることはありません。貸金業者から「過払い金を返却する」などという連絡がくるのは、詐欺なので応じないでください。
着手金詐欺
弁護士や司法書士に過払い金返還請求を依頼する場合、着手金が必要となる場合もあります。着手金は返還請求をする前に支払うもので、仮に返還請求を失敗したとしても返ってきません。
着手金があるからと言って必ずしも詐欺ではありませんが、中には悪質な弁護士や司法書士がいて、着手金を払わせておいて、実際は返還請求をしないというケースもあります。
最近では着手金は無料で受けてくれる法律事務所が多いですので、無料で受けてくれるところに依頼すると詐欺に遭うリスクを下げることができますよ。
着服
過払い金返還請求をして返ってきた過払い金を弁護士や司法書士が着服してしまうケースもあります。実際に返還された過払い金よりも少ない額を提示して、その差額を持ち逃げする形です。
過払い金がいくら返ってくるのかという計算は、いろんな条件によって計算式が変わるため、一般人が正確に計算するのは極めて困難です。
しかし、大まかな計算方法を知っておくことで、弁護士などに説明を求めて、適切に導き出された金額なのかを吟味することくらいはできますよ。
無断で契約
過払い金返還請求を弁護士や司法書士に依頼する際は、まず最初に過払い金があるかどうか、いくらあるのかを診断してもらいます。そのうえであなたが納得すれば契約して、過払い金返還請求をする形です。
提示された金額に納得できない、対応が丁寧ではなく不信感がある、と感じた場合は無理に依頼する必要はありません。
しかし、悪質な弁護士や司法書士は、あなたの許可もなく無断で過払い金返還請求をして「請求手続きをしたので報酬を支払ってください」と言ってくる人もいます。
契約を結ぶ際は必ずあなたの署名が必要です。勝手に返還請求をするということは通常あり得ませんので、勝手に契約させられた場合は詐欺と判断してください。
説明にない高額な報酬を請求してくる
過払い金返還請求を依頼する時には、「成功時の報酬はいくらなのか」という明確な数字の説明を受けるのが普通です。しかし、明確に数字を出してくれない場合は注意が必要です。
実際に過払い金返還請求がうまくいったあと、高額な報酬を請求してくる可能性が高いからです。料金体系を説明してくれない場合は、違う弁護士や司法書士に依頼することをおすすめします。
貸金業者と提携している
過払い金返還請求をする際、弁護士や司法書士はなるべく多くの過払い金を取り戻すことを目指します。しかし、悪質な事務所の場合、貸金業者と裏で手を組んでいるところもあります。
貸金業者と手を組んで、わざと低い金額で和解をしてしまうのです。このケースでは、報酬額が他と比べて極端に低かったり、短期間で取り返すことを売りにしていたりするのが特徴です。
【過払い金詐欺を見分ける方法】こんな対応をされたら注意!
ここでは、過払い金詐欺を見分けるポイントを紹介していきます。事前に詐欺を見分けるポイントを知っておけば、詐欺被害あうことを防げますよ。
下記のような対応をされた場合は、詐欺である可能性が高いですので、依頼しないようにしてください。過払い金詐欺を見分けるポイントは以下の4つです。次章以降で、それぞれを詳しく解説していきます。
- ATMに誘導される
- 報酬の説明がない
- 「過払い金がある」と連絡してくる
- 時効をやたら強調して焦らせてくる
過払い金詐欺を見分ける方法①ATMに誘導
「過払い金を返却するためにATMを操作して欲しい」などと言って、ATMに誘導してくるものは詐欺です。
実際に過払い金を返還する時も、銀行口座を利用することはありますが、あなた自身がATMで操作することはありません。返還された過払い金をあなたの口座に振り込むのは、あなたではなく事務所だからです。
ATMに誘導された場合は詐欺ですので、指示には従わず、警察などに相談するようにしてください。
過払い金詐欺を見分ける方法②報酬の説明がない
過払い金詐欺の手口を紹介した時にも触れましたが、過払い金を取り戻せた時の弁護士や司法書士へ支払う報酬について詳しい説明がない場合は、詐欺である可能性が高いです。
もし、報酬について取り決めの無いまま契約すると、後に高額な報酬を請求されてしまいます。依頼(契約)する時には、しっかりと報酬額について説明を受けて、納得した上で契約をしてください。
また、口頭での説明と契約書に書いてある取り決めが全く違うものである可能性もあるので、説明を受けた場合でも契約書をしっかり読み込んでからサインをしてくださいね。
過払い金詐欺を見分ける方法③向こうから連絡してくる
過払い金返還請求を依頼していないにも関わらず、「過払い金が発生しているので、当事務所に依頼しませんか?」などという勧誘をされた場合は詐欺です。
過払い金返還請求をする場合、貸金業者に対して取引履歴を請求することから始まります。取引履歴を見て過払い金が発生しているかを判断します。
そして、取引履歴を請求できるのは、借主本人か借主の代理人だけです。そのため、どこにも依頼していない状態で、「過払い金が発生している」かどうかは分かるはずがないのです。
弁護士や司法書士の事務所は広告を出すことはあっても、直接営業をかけてくることはありません。相手方から連絡が来た場合は、応じてはいけません。
電話、郵便、メールなど様々な方法で仕掛けてきます。どの方法であっても、依頼したわけでもないのに向こうから連絡が来た場合は応じないでください。
過払い金詐欺を見分ける方法④時効をやたら強調する
過払い金には時効(期限)が決められており、借金を完済している場合は、最後の支払いから10年以内でないと返還請求することができません。
しかし、借金を返済途中であっても「時効があるから今すぐに」など言われるケースがあります。返済中の場合は時効まで10年以上あるので、特に気にする必要はありません。
また、完済している場合でも、やたらに時効を強調して焦らせてくる場合は詐欺かもしれません。たしかに時効が来てしまうと返還請求できないので、適正な事務所であっても時効の話はしてきます。
しかし、あくまでも「時効があるので早いほうが良いですよ」という情報提供です。焦らせてくるほど時効を強調してくる場合は、動揺させてお金をだまし取ろうとしてくる可能性が高いので、注意してください。
過払い金詐欺に遭ってしまったらどうしたらいい?
ここまで、過払い金詐欺の特徴や手口について解説してきました。しかし、いくら気を付けていても詐欺に遭ってしまう可能性はあります。
ここでは、「実際に詐欺に遭ってしまった」「応じてはいないけれど、詐欺らしき連絡がきた」場合の対処法を紹介していきます。
詐欺に遭ったり、詐欺らしき連絡が来た場合は、消費者センターや警察に相談した上で、信頼できる弁護士・司法書士に依頼しなおしましょう。詐欺被害に遭ってからなるべく早めに相談するようにしてくださいね。
過払い金詐欺 まとめ
過払い金詐欺について解説してきました。記事の内容をまとめてみたので、最後にもう一度チェックしてみてください。
- 貸金業者・NPO法人・法律事務所が加害者
- 「過払い金がある」と連絡してくる
- 時効をやたら強調して焦らせてくる
- ATMに誘導される
- 報酬の説明がない
- 詐欺被害に遭ったら警察に相談
過払い金詐欺は「過払い金が戻ってくれば借金が完済できるかもしれない」という消費者心理を利用した悪質な詐欺です。
借金に苦しめられている時に、「お金が返ってくる」と言われると信じたくなってしまうものです。しかし、詐欺に遭ってしまうと、お金が返ってくるどころかだまし取られてしまいます。
記事中で紹介した過払い金詐欺の手口や特徴を参考にして、詐欺から身を守ってくださいね。