過払い金の返還請求には時効があります。時効を過ぎてしまうと、過払い金が発生していても取り戻すことができなくなってしまうんです。
この記事を読めば、「過払い金の時効っていつ?」「自分はあとどれくらいだろう…」という疑問が解決しますよ。時効を延長する方法も解説しているので参考にしてください。
過払い金の時効は弁護士に相談すれば解決するものでもありますが、事前に知識を持っておけば、弁護士が信頼できる人なのかどうかを判断する基準になるので、ぜひ読んでみてくださいね。
(トップ画像出典:https://pixabay.com/ja/photos/%E3%81%8A%E9%87%91-%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%8A%E3%83%B3%E3%82%B9-%E3%83%93%E3%82%B8%E3%83%8D%E3%82%B9-2696234/)
まずは基礎から!過払い金が生まれる仕組み
まずは前提知識として、過払い金が生まれる仕組みについて紹介していきます。自分に過払い金があるのかまだ分かっていない人は、ここで確認してみてください。
過払い金は一言でいうと、払い過ぎた利息のことです。借金をする際の利息は、法律で定められているのですが昔は2つの法律で異なる利息が設定されていました。
低い方の利息を守るのが正しいのですが、低い方の利息を定めた法律には罰則がなかったため、貸金業者は高い利息を付けて貸し付けを行っていました。しかし、2010年6月18日に2つの利息は統合されました。
そのため、2010年6月18日以前に借り入れをした人は過払い金が発生している可能性が高いです。過払い金が発生していれば、完済していても返還請求することができますよ。時効については次章で紹介します。
過払い金には時効がある
前章で過払い金が発生していれば、借金を完済していても返還請求することができるとお伝えしました。しかし、完済している場合は時効が発生します。
過払い金返還請求の時効は完済してから10年以内です。この10年を超えてしまうと、専門家に依頼したとしても過払い金を取り戻すことができなくなってしまいます。
もし、完済している借金に過払い金が発生している可能性があるのであれば、早めに弁護士へ依頼することをお勧めします。
ただ、完済から10年以内という時効ではなく、例外的な時効が定められているケースもあります。次章以降で紹介していきますね。
過払い金の時効が特殊なケース①不法行為を受けていた場合
借金の返済をしている際、貸金業者から不法行為を受けていた場合は過払い金の時効が特殊です。完済から10年以内ではなく、過払い金があると知ってから3年となります。
つまり、完済から10年以上経っていても、弁護士などへ依頼して過払い金があることが判明してから3年以内であれば、返済請求することができるのです。
貸金業者の不法行為は、以下のようなものです。もし、下記のような対応をされていた場合は、弁護士に相談する際にしっかりと伝えるようにしてください。
- 返済を催促するような電話が1日に4回以上かかってくる
- 3人以上で自宅まで取り立てに来る
- 暴力や脅迫的な言動がある など
過払い金の時効が特殊なケース②一度完済して再度借り入れ
借金を一度完済してから同じ業者から再度借り入れをしている場合は、完済から10年以上経っていても認められる可能性があります。
複数回の取引が一連の取引として認められると、最後の取引が10年以内であれば、最初の完済から10年以上経っていても返済請求することができます。少し複雑なので、具体的な例で解説しましょう。
たとえば、2000年3月に借り入れをして2005年3月に一度完済、2007年5月に再度借り入れをして2013年5月に完済しているとします。
この場合に2つの借り入れが一連の取引として扱われると、1度目の完済から10年以上たっていても、最終取引である2013年5月から10年以内であれば、最初の借り入れの過払い金も取り戻せるということです。
借り入れを繰り返している場合の時効は判断が難しい
複数回の取引が一連の取引として扱われれば、取り戻せる過払い金の額が多くなります。しかし、実際に一連の取引として扱われるかどうかは、ケースバイケースです。
一連の取引として扱われるかどうかの判断基準は、主に以下の2つです。
- 完済から次の借り入れまでの期間が365日以内かどうか
- 基本契約が継続されているかどうか
ただ、この基準を満たしていなくても認められる場合もあれば、満たしていても認められない場合もあります。この判断はとても難しいので、過去の判例を知っている弁護士に相談するようにしてください。
まだ間に合うかも!過払い金の時効をのばす方法
ここまで読んで、「自分の場合は時効ギリギリかもしれない」「手続きしても間に合わないかもしれない…」と思った人もいるかもしれません。
しかし、諦めるのはまだ早いですよ。過払い金の時効はきちんと手続きをすれば、1度だけなら延ばすことができるんです。
過払い金の時効をのばす方法は以下の2つです。次章以降でそれぞれ解説していくので、2つあることだけ頭に入れてもらえれば大丈夫ですよ。
- 内容証明郵便
- 裁判所に申し立てをする
過払い金の時効をのばす方法①内容証明郵便
貸金業者に対して、過払い金の請求書を内容証明郵便で送ることによって過払い金の時効を6か月間伸ばすことができます。
内容証明郵便とは、「誰が何を誰に送ったのか」を記録することができる郵送方法で、証拠を残したい大事な書類を送る時に使います。2,000円ほどあれば十分ですよ。
過払い金の請求書を内容証明郵便で送るときの手順は以下の通りです。
弁護士に相談
まずは弁護士に過払い金について相談してください。急いで手続きすれば返還請求が間に合う場合には、そのまま過払い金請求手続きに移ることもできますし、無理そうであれば時効をのばす手続きをします。
貸金業者に取引履歴を開示してもらう
過払い金の請求書を作るためには、過払い金がいくらあるのかを正確に計算する必要があります。過払い金の計算をする際には、貸金業者が持っている取引履歴が必要です。
そのため、まずは貸金業者に対して取引履歴の開示を請求します。弁護士があなたの代理として手続きしてくれるので、心配しなくて大丈夫ですよ。
過払い金の計算
取引履歴を開示してもらったら、過払い金の計算に入ります。借入時期や返済期間などを考慮して弁護士が過払い金を計算していきます。
内容証明郵便で送る
取引履歴を使って計算した過払い金額を請求書に記載したら、内容証明郵便で貸金業者に送ります。
過払い金の時効をのばす方法②裁判所に申し立てをする
内容証明郵便のほかにも、裁判所に申し立てをすることでも過払い金の時効を10年間のばすことができます。申し立ての種類は3つあります。
- 訴訟の提起
- 支払い督促の申立
- 民事調停の申立
裁判所に申し立てを行うと、判定が出るまでの間は時効が一時的にストップします。また、裁判で認められるとさらに10年間、時効が延長されますよ。
どの申し立て方法が良いのかは、あなたの状況によって変わってくるので、弁護士に相談しながら最適な方法を決めてくださいね。
過払い金の時効を判断するには専門的な知識が必要
ここまで、過払い金の時効について特殊なケースや時効をのばす方法を紹介してきました。ここまでの内容を参考にすれば、自分の過払い金の時効はどうなのかをある程度は予測できるでしょう。
しかし、実際の判断がその通りになるとは限りません。過払い金の時効は法律の専門的な知識が必要なので、一般人が判断することは非常に困難です。
まずは、弁護士に相談して過払い金がいくらくらいあるのか、時効はいつまでなのか、聞いてみることをお勧めします。
過払い金の時効 まとめ
過払い金の時効について解説してきました。記事の内容をまとめると、以下のようになります。最後にもう一度チェックしてみてください。
- 時効は完済から10年
- 貸金業者から不法行為を受けていた場合は過払い金があることを知ってから3年
- 一度完済して再度借り入れた場合は10年以上たっていても認められるケースもある
- 内容証明郵便をすれば6か月間時効をのばせる
- 裁判所に申し立てを行うと10年間時効をのばせる
- 過払い金の時効を判断するのは難しい
再三お伝えしていますが、過払い金の時効についての判断は裁判になるほど難しいものです。そのため、専門的な知識のない一般人が判断するのは極めて困難です。
記事で紹介したものは、弁護士に相談した際に弁護士が信頼できる人かどうかを判断するための使用に留めるようにしましょう。
実際に、あなた自身の過払い金の時効については、弁護士に相談した上で判断してもらってくださいね。