「仮想通貨投資を始めてみたいが、会社にばれないか不安…。税金のこともよくわからないので、詳しく教えてほしい。」
2017年の仮想通貨バブル以降、仮想通貨投資で大きな利益を上げた「億り人」と呼ばれる人たちが誕生するとともに、仮想通貨に関する税制が整備されるようになりました。
そこで今回は、仮想通貨投資で発生する税金について詳しく解説します。
この記事を読むことで、税金に関する知識が得られ安全に仮想通貨投資ができます。ぜひ最後までご覧ください。
(トップ画像出典:https://pixabay.com/ja/illustrations/%E7%A8%8E%E9%87%91-%E8%84%B1%E7%A8%8E-%E3%82%AD%E3%83%A3%E3%83%AA%E3%82%A2-%E7%94%B7-226718/)
仮想通貨投資で発生する税金とは?
仮想通貨投資で発生する税金とは、主に「所得税」のことを指します。
仮想通貨投資で20万円を超える利益が発生した場合、翌年の2月16日から3月15日までの間に確定申告を行い、所得税を納めなければなりません。
また、仮想通貨投資で得た利益は「雑所得」の分類となり、累進課税の形で徴収されます。
累進課税とは、所得額が増えれば増えるほど税率が上がる仕組みのことです。所得税の場合、最大で約45%の税率となります。
ちなみに投資手段として広く認知されている株式投資の場合、所得税と住民税をあわせた税率が一定(約20%)です。
なので仮想通貨投資は一般的な投資と比べて税率が高く、仮想通貨バブルで大きな利益を上げた億り人の中には脱税を考える方も出てきました。
果たして、仮想通貨投資で発生した利益は税務署にばれないのでしょうか?次の項目で解説しますね。
仮想通貨投資で発生した利益は税務署にばれない?
仮想通貨投資で発生した利益は、税務署に利益額を申告しなければなりません。無申告だと必ず国税庁から調査が入ります。
国税庁の税務調査では、2017事務年度における所得税の申告漏れの総額は9,038億円で、前年の2016事務年度に比べて1.7%増えたと発表されています。
事務年度とは、法人税、消費税及び源泉所得税の事務を実施するために設けた年度のことで、その期間は毎年7月1日から翌年6月30日までです。
例えば、2017事務年度だと2017年7月から2018年6月まで、2016事務年度だと2016年7月から2017年6月までとなります。
また、2018年11月29日付けの日本経済新聞の報道によって、仮想通貨取引に関する申告漏れの事案が明らかとなりました。ちなみに詳細は下記の通りです。
公表された仮想通貨取引をめぐる事案は、会社員男性が複数の仮想通貨交換会社に自分や妻名義の口座を開設したが、妻名義などの利益を申告しなかった。東京国税局は男性に約5千万円の申告漏れを指摘、重加算税を含め約2400万円を追徴課税した。
なので、「仮想通貨投資で発生した利益は税務署にばれないはず」と安易に考えず、国税庁によって必ず調査されていると認識しておきましょう。
ただ、2017年の仮想通貨バブルで大きな利益を上げた億り人の中には、海外の仮想通貨取引所で脱税を考える人も現れました。
海外の仮想通貨取引所だと税務署にばれない?
結論から申し上げると、海外の仮想通貨取引所だと税務署にばれない、というわけではないです。
国税庁は世界各国と租税条約を結んでおり、税金に関する情報の提供を海外の税当局に要請できる権限を持っています。ちなみに租税条約とは、下記の通りです。
租税条約(そぜいじょうやく)とは、二重課税の排除と脱税の防止などを目的として主権国家の間で締結される成文による国家間の合意(条約)である。
また、仮想通貨取引では送金・出金履歴やクレジットカードの履歴が残るので、取引所に問い合わせさえすれば簡単に追跡できます。
なので「海外だから税務署にばれない」と思わずに、海外の仮想通貨取引所で利益が発生した際も、しっかりと確定申告を行いましょう。
では、サラリーマンが仮想通貨投資で利益を出した場合、副業として会社にばれないのでしょうか?
仮想通貨投資などの副業は会社にばれない?
仮想通貨投資で得られた利益は、確定申告のやり方によって会社に把握される場合があります。
サラリーマンの場合、副業の収入が20万円を超えると確定申告の義務が発生し、その際に「特別徴収」もしくは「普通徴収」のどちらかで住民税を支払わなければなりません。
特別徴収とは、給与を支払う事業者が納税義務者の代わり税金を支払う方法のこと、普通徴収とは市町村から交付された納付通知書を使用し、自分で納税する方法のことです。
副業の収入を特別徴収で申告すると、会社の給与と副業の収入をあわせた金額から住民税が天引きされるので、「給与額以上の収入があるのでは?」と会社から疑われます。
また、副業自体が会社の就業規則で禁止されている場合、仮想通貨投資で利益を上げることはリスクが高いと言えます。
どうしても副業を行うのであれば、仮想通貨にかかる税金は「普通徴収」で納税する必要があります。
普通徴収で税金を納めるには?
普通徴収で税金を納めるには、確定申告の際に提出する書類に「普通徴収」を選択する必要があります。
申告書に記載されている「自分で納税」にチェックを付け、普通徴収を選択し必要書類を税務署に提出すると、納付書が6月に届き指定金融機関やコンビニエンスストアで住民税を納めることが可能です。
前述した通り、特別徴収だと会社側で住民税が天引きされるので、会社に副業がばれる要因となります。あくまで自己責任で行いましょう。
仮想通貨投資で得た利益の無申告はなぜ危険?
会社員にとって馴染みの薄い確定申告ですが、給与以外で収入が発生した場合は確実に行わなければなりません。
もし無申告となってしまうと、追加納税などのペナルティが課せられます。特に仮想通貨の利益は雑所得となるので、最大45%の所得税がかかる上に追加徴税が発生すると、金銭面でかなりの痛手となります。
また申告漏れとなっても、税務署は追加納税などの連絡を3〜5年後に突然してくるので、精神衛生上よろしくありません。なので仮想通貨投資で利益が発生した際は必ず確定申告を行うようにしましょう。
次の項目からは、確定申告をせずに脱税するとどうなるのか、詳しく解説しますね。
税金の脱税がばれないと思っている方の末路①
仮想通貨投資で発生した税金を脱税すると、まず「延滞税」が発生します。
この延滞税は、所得税や住民税など各種税金の納付が期限内に終わらなかった場合に課せられる税金で、納付期限の翌日から実際に税金を納める日までの日数で計算されます。
ちなみに延滞税の税率は、実際に納付した日付によって変動し、納税金額に対して年利2.6%〜14.6%の税率が加算されます。
延滞税の計算方法は複雑なので、心配な方は国税庁のホームページで確認しましょう。
税金の脱税がばれないと思っている方の末路②
税金を脱税すると、前述しました延滞税の他に「加算税」と呼ばれる追加の税金が発生します。この加算税は主に4種類あり、下記の通りです。
- 過少申告加算税:申告額が少なかった場合に発生
- 無申告加算税:確定申告を行わなかった場合に発生
- 不納付加算税:所得税を期限までに納付しなかった場合に発生
- 重加算税:故意に事実を隠したり、偽装した場合に発生
特に重加算税は加算税の中で罰則が一番重く、本来納めるべき税金額に税率35%〜40%が追加で課税されます。
仮想通貨投資で大きな利益を上げた際に重加算税が課せられると、非常に重い税負担となりますので、確定申告の際は虚偽の申告をすることのないよう注意しましょう。
税金の脱税がばれないと思っている方の末路③
税金を脱税すると、法律で「所得税法違反」として罪に問われます。
この所得税法違反は、10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金、もしくは両方の罰則が課せられる非常に重い罪です。
また脱税し逮捕されると、所得税法違反で罰せられるのに加えて、前述しました延滞税・加算税も課せられます。
脱税を行って納税額を引き下げても、減らした税金以上の重いペナルティが待ち受けていますので、くれぐれも「脱税してもばれない」と考えて軽率な行動を取らないで下さいね。
仮想通貨の税金について【まとめ】
今回は、仮想通貨の税金について解説しました。要約すると下記の通りです。
- 仮想通貨の取引は、国内外問わず国税庁がすべて把握可能
- 脱税すると「延滞税」「加算税」「所得税法違反」に課せられる
この記事で解説しました通り、脱税すると非常に重い罰則を受けることになります。
また2017年の仮想通貨バブルの際は、税金の知識がないために無自覚のまま脱税を行う人がでてきたため、社会問題となりました。
仮想通貨投資の際は税金のことを必ず把握しておき、申告漏れや脱税などを行わないよう十分注意しましょう。