『資産を個人向け国債で運用してみたいけど、仕組みや金利について詳しく知りたい!』
今回はそんな方のために個人向け国債の初歩的なところから実際に保有するまでを解説していきます。
個人向け国債を保有するかどうか迷っている方は、ぜひこの記事を参考にしてみてくださいね。
(アイキャッチ画像出典:https://www.pakutaso.com/20141021302post-4769.html)
国債とは?
そもそも国債とは、「国庫債券」の略で、国が投資家から資金調達するために、発行する債券のことです。
投資家は、国債を保有することで金利が得られ、満期になると、元本は償還される仕組みとなっています。
債券の満期日に債券の保有者に額面金額が払い戻されることを償還と言います。
株式などは「出資」にあたるので投資した一部、または全部が戻ってこない場合があります。しかし、国債の場合、国にお金を「貸与」するので、国が破綻しない限り元本は保証されるのが特徴です。
国債の概要が分かったところで、次は個人向け国債について解説していきます。
個人向け国債とは?
個人向け国債とは、政府が個人でも保有できるよう発行している国債のことで、国債の分類としては利付国債というものになります。
利付国債とは、読んで字のごとく利子が付く国債であり、1年に2回利子の支払いがあるのが特徴です。
また、個人向け国債は、個人でも保有できるような特徴が散りばめられており、その特徴は大きく分けて3つあります。
・1万円から購入可能:毎月1万円から購入が可能で、上限はありません。
・中途換金は1万円から可能:個人向け国債であればどの商品でも1万円単位での途中換金が可能です。ただし、最低条件として発行後1年の保有期間が必要になります。
・0.05%の最低金利保証(年あたり):金利の決定はその時の情勢によって変化しますが、金利が計算によって0.05%以下になっても代わりに最低金利として0.05%が適用されるということです。
個人向け国債の金利型を解説
個人向け国債が分かったら次はそれぞれの金利型について掘り下げていきます。個人向け国債には、固定金利型と変動金利型の2つの金利型があります。
固定金利型
固定金利型は国債が発行された際の金利が満期まで一定であるというのが特徴です。
金利が一定なので、満期に受け取れる額が予想できるので安心です。反対に、金利が一定のため変動金利型にしていたら余分にもらえたという可能性も含んでいます。
変動金利型
変動金利型は半年に一度、実勢金利によって金利が変動します。なので、月によって受け取る金額が一定でないのが特徴です。
実勢金利とは国の資金の需給によって常に変動する金利で、日本証券業協会が公表する情報をもとに算出されています。
変動金利型は固定金利型より多くの金額をもらえる可能性もあれば、少なくなる可能性もあるので、それがメリットであり、デメリットにもなっています。
とはいえ、個人向け国債には最低金利保証がついているので、0.05%の金利を下回ることはありません。
個人向け国債の銘柄
個人向け国債には3つの銘柄があり、上記の金利型のどちらかを採用した銘柄になります。
銘柄は、満期が10年で変動金利型の『変動10年』、満期が3年で固定金利型の『固定3年』、満期が5年で固定金利型の『固定5年』の3種類に分けられます。
国債は購入金額と額面金額は同じとは限らない
国債を購入する前に、購入金額と額面金額が違うことを理解しておく必要があります。
額面金額とは、満期になったら戻ってくることが保証されている金額のことで、この金額が変動することはありません。
しかし一方で、購入金額は市場によって変化するため、額面金額が100万円であっても90万で買える時もあれば、110万で買える場合もあります。
なので、実際の購入金額と額面金額は異なる可能性があるということになります。
金利と利回りの違い
国債を保有する時に注意したいのが『金利』と『利回り』の違いです。
『金利』:国債の額面金額にかかってくる利子の割合のことを指します
『利回り』は国債の市場価値と金利を踏まえた上でのトータルの利率のことを指します
なので、イメージとしては年2回の利益を見るなら『金利』、国債購入から満期までの資産の増減を見るなら『利回り』を見ることになります。
利回りは額面金額、利子分、購入金額、満期年数から計算式によって算出されます。
計算式だけでは分かりにくいと思うので、金利と利回りが違う例を3つご紹介します。
額面金額100万円、金利3%/年、満期5年の個人向け国債を例とすると、
- 購入金額が110万円だった場合:利回りは(115万円ー110万円)/5年=1%
- 購入金額が100万円だった場合:利回りは(115万円ー100万円)/5年=3%
- 購入金額が90万円だった場合:利回りは(115万円ー90万円)/5年=5%
※満期の場合、毎年3万円×5年で115万円が戻って来ることになります。
例のように国債の価値が上がれば、購入金額が高くなり、利回りが低くなります。一方で、国債の価値が下がれば、購入金額が低くなり、利回りが高くなるという関係性は覚えておきましょう。
国債の金利が決まる基準金利とは?
この見出しでは、個人向け国債の金利を決定する基準金利を説明していきます。
基準金利とは実勢金利を個人向け国債の金利に落とし込むために使われる金利のことです。(実勢金利は前の見出しでも紹介しています)
基準金利のはたらきは、変動する実勢金利を基準金利に変換することで金利の計算をしやすくしているものだと思ってもらえば分かりやすいかと思います。
財務省の公式ページに実勢金利から割り出された基準金利やそれを元に算出された金利の情報が掲載されています。
購入する国債の金利が決まる重要な情報なので、個人向け国債を購入の際には、必ず確認しておくようにしましょう。
個人向け国債の金利の設定方法
前の見出しで、基準金利が個人向け国債の金利を決めることをお伝えしましたが、この見出しではいよいよ金利の決定方法を解説します。
個人向け国債の金利は、それぞれの銘柄によって計算式が異なります。
- 『変動10年』:半年毎に基準金利によって金利が変更され、その算出方法は基準金利×0.66%
- 『固定5年』:発行時の金利が満期まで変わらず、その算出方法は基準金利-0.05%
- 『固定3年』:発行時の金利が満期まで変わらず、その算出方法は基準金利-0.03%
計算式によって金利が0.05%を下回る場合は最低金利である0.05%が適用されます。
国債の金利情報を確認する方法
国債の金利情報は、募集開始日の前営業日から、財務省のホームページで確認できるだけでなく、国債を購入した金融機関でも確認することができます。
また、財務省が発信する『個人向け国債お知らせメール』に登録すれば、自分が金利情報を確認しなくても個人向け国債の募集情報や金利改正情報などをメールでお知らせしてくれます。
金利情報を確認することで、固定金利型にするか変動金利型のするかの判断基準にすることができますよ。
国債を保有するまでの流れ
国債は銀行や証券会社の金融機関で購入することができ、国債専用の口座を新たに開設する必要があります。
また、口座開設の際は、いくつか準備する書類がありますのでそちらも確認しておきましょう。
- 運転免許証や健康保険証などの本人確認書類
- 個人番号カードなどのマイナンバー(個人番号)が確認できる書類
- 印鑑
口座を開設したら国債を購入できるようになりますが、購入の際には預金通帳、印鑑が必要ということも覚えておきましょう。
(お近くの金融機関で個人向け国債の取り扱いのある金融機関は財務省の公式ホームページから探すことができます。)
個人向け国債、それぞれの金利型まとめ
ここで、個人向け国債について説明してきたものをまとめてみました。まとめの各項目は当記事の見出しに戻れるようになっていますので、詳しい説明はそちらから参考にしてくださいね。
商品名 | 変動10年 | 固定5年 | 固定3年 |
満期 | 10年 | 5年 | 3年 |
金利タイプ | 変動金利型 | 固定金利型 | 固定金利型 |
金利の設定方法 | 基準金利×0.66 | 基準金利-0.05% | 基準金利-0.03% |
今回の記事を参考にして、個人向け国債の保有するかどうかの判断にぜひ役立ててみてくださいね。