お金に関する問題は非常にデリケートです。でも、債務とか債権とか専門的すぎてよくわからない・・・
何も知らないより、知識があれば問題が起こった際に行動しやすくなります。
ここでは、お金の問題に関係する債務と債権をわかりやすく解説していきます!
他にも、詐欺の事例や弁護士の相談費用についても取り上げているので、参考にしてみてください!
債務とは?
債務とは、「ある特定の人に一定の行為をする義務」のことをいいます。義務を負った人を「債務者」と呼びます。
債務=借金というイメージがありますが、債務の場合はお金だけでなく物も含まれます。お金だけだと「借金」になるので、違いを覚えておくといいですよ!
ちなみに、お金の支払いに関する債務の事を「金銭債務」といいます。
Aさんは車を買うために銀行から100万円借りました。Aさんは、返済期限までに借りた100万円と利息を銀行に返済する義務が生まれたので、債務者となります。
上記の場合、ある特定の人は「銀行」、一定の行為は「借金の返済」になるので、Aさんの負った債務は「銀行に借金を返済する義務」となります。
債権とは?
債権とは、「債務者に対して一定の行為を要求する権利」です。権利を持つ人の事を債権者と呼びます。
債務と債権は対義語になります。どちらか片方だけが存在することはありません。
Aさんは「月々5万円返済していく」という契約のもと、銀行から100万円を借りました。銀行はAさんに対して毎月5万円、貸したお金を返してもらう権利が生まれたので、債権者となります。
上記の場合、債務者は「Aさん」、一定の行為は「毎月5万円返してもらう」になるので、銀行は「毎月5万円、Aさんに請求する権利」を行使できます。
債務整理の3つの種類
「借金が増えすぎて身動きがとれない・・・どうすれば?」こうなってしまうと、不安で何も手がつけられなくなってしまいますよね?何か解決策があれば・・・
ここでは、債務の問題を解決する方法を知るために、「債務整理」についてふれていきます。
務債務整理とは、「借金を法的な方法で整理すること」です。借金を減額したり、支払い期限に猶予をもたせることによって、借金の返済がしやすくなります。
債務整理には3つの種類があります。それぞれどのようなものなのか見ていきましょう。
任意整理
債務者の代わりに、弁護士が債権者と交渉します。裁判手続きがないのが特徴です。
利息をなくしたり、月々の返済額を減額することにより、債務者の生活を壊さずに借金を返済することができます。
個人再生
裁判所に申し立てをして、借金の額を大幅に減らしてもらいます。条件によりますが、最大で10分の1まで減額できる可能性があります。
減額された借金を、3~5年の分割で返済していくのが個人再生となり、住宅などの財産を処分しなくてもよいのが特徴です。
自己破産
財産や収入が不足し、借金の返済ができないことを裁判所に認めてもらいます。
裁判所に認めてもらうと、借金が免除(免責)されます。借金はなくなりますが、住宅などの財産(自由財産を除く)を処分しなければいけないのが特徴です。
債務整理の中の自己破産に関する注意点
債務整理は借金の返済を助けてくれます。特に、自己破産は年に7~9万件もあるそうです。借金がなくなるのですから、利用する人も多いのですね。
とはいえ、間違った解釈をしてしまうと、いざ自分が申し立てをする際に「こんなはずじゃなかった!」と感じてしまう可能性があります。
正しい解釈をするために、ここでは、債務整理の中の自己破産を申請する際の注意点を見ていきましょう。
自己破産を勘違いしないために
自己破産は、ただ借金をなくす手続きではありません。債務者の財産を売却し、売却したお金を債権者に分配します。
それでも返済しきれない借金の額を、裁判所が免責許可を出すことにより、残りの借金が免除されるわけです。
自己破産の申し立てが認められても、免責許可が下りなければ借金が免除されることはないので注意しましょう。
免責許可が下りない事はあるの?
免責不許可事由に当てはまるものは、免責許可が下りない可能性があります。
- パチンコ・競馬・競艇などの賭博による借金
- 株・FXなどの射幸心をあおるものによる借金
- スマホのゲーム内課金(ガチャ)による借金
免責不許可事由に該当したらもうダメなの!?
免責不許可事由がある場合でも、裁量免責といって、裁判所がいろいろな事情を考慮して免責を認めることができます。
よほど悪質ではない限り、裁量免責が認められます。とはいえ、反省していることを示さなければいけないので注意が必要です。
- 家計簿をつけて提出する
- 倹約に努める
- 免責不許可事由の調査に積極的に協力する
過払い金の請求は債務整理として扱われる?
最近CMでよく聞くようになった過払い金。払い過ぎた利息を賃金業者から返してもらうことです。余分に支払ったお金が戻ってくるのはうれしいですね!
しかし、場合によっては債務整理として扱われ、ローンが組めなくなることはご存知でしたか?適切なタイミングで過払い金請求をするために、どうなると債務整理として扱われるのか見ていきましょう。
借金の返済中に過払い金の請求をすると、債務整理あつかいとなります。
過払い金を借金の返済に充てることができるメリットはありますが、ブラックリストにのってしまうため、ローンが組めないなどのデメリットがあります
借金の完済後は債務整理としてあつかわれません。なので、ブラックリストにのることはありません。
しかし、完済してから10年で時効となってしまうので、忘れないよう注意が必要です。
多重債務とは?
多重債務とは、「複数の人に金銭債務があること」をいいます。多重債務により、借金の返済が困難な人を多重債務者といいます。
SさんがA社から100万円借ります。利息込みで120万円返済しなければなりません。
ですが、120万円を完済できないため、今度はB社から120万円を借ります。利息込みで140万円返済しなければなりません。
A社からの借金を返済するために、B社からお金を借り、B社の借金を返済するためにC社から借りる・・・。
賃金業者の利息は総じて高いです。A社の借金も返せないのにB社の借金は返せるわけがないですよね。賃金業者からの多重債務は避けた方が賢明だといえます。
債権のもつ5つの効力
債権者は、債務者に対して一定の権利をもちます。権利はどこまで及ぶのか、債権のもつ効力5つを見ていきましょう。
給付保持力
債務者から受け取ったお金は返さなくてもいい、というものです。ただし、不当に受け取ったお金は効力を行使できません。
100円でリンゴの売買をしたとしましょう。お客さんから100円を受け取り、八百屋さんがリンゴを渡せば100円は八百屋さんのものとなります。しかし、100円を受け取ったにもかかわらずリンゴを渡さなかったら、不当に受け取ったことになり、お客さんに100円返さなければいけません。
訴求力
債務者が契約通りにお金を支払ってくれなかったら、訴訟を起こして請求することができる効力です。
執行力
裁判の判決内容を、債務者に対して「強制的に執行する」という申し立てをすることができる効力です。執行力は、貫徹力と掴取力の二つに分けられます。
貫徹力
債権の内容を、そのままの形で強制執行させる効力です。例えば、100万円の返済を約束していたら、100万円の支払いを強制させることになります。
掴取力(かくしゅりょく)
債権の内容を、財産の差し押さえという形で実現させる効力です。例えば、100万円の返済をしてくれなかったら、給料や口座預金を差し押さえて、返済に充てさせます。
債権には時効がある
実は、債権には時効があるのはご存知でしたか?借金に関する債権の時効には2つの種類があります。
借りる人、貸す人どちらかが商法上の商人であれば「5年」となります。「商事債権」と呼ばれます。どちらも商人ではない場合は「10年」となります。「どちらかが営利目的」といえば解りやすいですね。
- 銀行から借りた場合。
- 消費者金融などの、会社の賃金業者から借りた場合。
- 個人事業主、または会社が事業資金のために、個人の賃金業者から借りた場合。
- 個人事業主、または会社が事業資金のために、信用金庫から借りた場合。
- 個人が、個人の賃金業者から借りた場合。
- 個人が、信用金庫から借りた場合。
注意点として、時効の期間がきても、援用(債権者へ時効の意思表示)をしなければ時効が成立しません。放置はやめましょう!
債権譲渡とは?
債権譲渡とは、「債権を第三者に譲り渡す」ことです。支払い能力や支払い意思のない債務者から債権を回収するために、債権回収業者へ債権を渡すのが一般的です。
ちなみに、債権回収業者は「サービサー」ともいいます。誰でもできるわけではなく、法で認められた会社のみが行うことができます。
悪徳業者を除けば、債権者も債権を回収できなければ生活が苦しくなります。仮に、あなたが誰かにお金を貸して返ってこなかったら、いい気分ではないですよね?
借金が大変なのもわかりますが、貸している側も、お金が返ってこないリスクを負っているということを忘れないようにしましょう。
債権譲渡詐欺に合わないために
中には債権譲渡を利用して、債権回収業者を名乗って金銭を要求する詐欺行為をする人もいます。ここでは、被害に合わないための注意点を紹介します!
債権譲渡通知書の差出人が元の債権者ではない
債権譲渡通知書は、元の債権者が出す必要があります。債権回収業者から送られてきても効力はないので、差出人は確認しましょう。
内容証明郵便で送られてきていない
債権譲渡通書は、内容証明郵便で送られてきます。封筒やハガキで送られてきた場合は詐欺の可能性があるので注意が必要です。
【費用はいくら?】お金に関わる債務・債権の相談は弁護士へ
債務・債権の問題は弁護士に相談するのが一番です。けれど、「相談をしたいのだけど、お金がかかるの?」「相談料はいくら?」と、疑問に思う方もいると思います。
ここでは、弁護士に相談するのにかかる費用と、弁護士の報酬基準について見ていきましょう。
弁護士に相談する費用の相場は、30分で5000円です。初回の30分は無料というところも増えているので、併せて利用するのもいいですね。
弁護士の費用は、弁護士個人で基準を定めることができます。その際、報酬基準を作成して事務所に置く必要があります。弁護士は、報酬基準を提示する必要もあるので、問い合わせてみるのもいいでしょう。
借金に関する相談ならおすすめはここ!
借金についてもし今あなたが悩んでいるのであれば、その悩みを専門家である弁護士に相談してみませんか?
例えばどのように返済計画を立てればいいのか、借入先を1つにまとめるためにはどうすればいいのかなどのあなたの相談を、詳しい弁護士に聞いてみてください。きっとあなたの悩みも解決するはずですよ。
以下の記事では当サイトがおすすめする弁護士事務所を紹介していますので、まずは1度目を通してみてくださいね。
まとめ
債務=借金と認識してしまうほど、金銭債務の問題は多いです。今回取り上げた債務整理に関する知識があるだけでも、問題が起こった際に行動がしやすくなります。
また、最近よく聞くようになった過払い金に関しても、どのタイミングで請求すればいいのか判断できるようになれば、ローンが組めなくなった・・・などの不測の事態も避けることができます。
とはいえ、借金をしている人だけが大変なわけではありません。貸す側も、返済されなければお金を捨ててるのと一緒です。だから必死に取り立ててくるということも忘れないようにしましょう。
手遅れになる前に、弁護士に相談するのも大切な事です。「ご利用は計画的に」という言葉もある通り、無理のない返済計画をたててからお金を借りるようにしたいですね!