債務という単語は聞いたことあるけど、意外と意味は知らなかったりしませんか?
お金に関することなので、調べようとしても難しい専門用語が多く出てきて読む気がなくなる経験は多くの方があると思います。私も分からない単語が多いとすぐにブラウザを閉じてしまいます。
ですが、知らないと損することもあるので、ここでは債務について噛み砕きながら説明していきましょう。
債務の意味
まず初めに「債務」の意味を紹介します。広辞苑によると債務とは、
他人に対して一定の給付(行為)をなすべき義務。民法上、契約・事務管理・不当利得・不法行為などを原因として発生する。
出典:『広辞苑』(岩波書店)
と、書かれています。分かりやすくまとめると、契約などによって決められた事柄を相手に対して行う義務のことです。
身近な例を挙げると、商品を買った場合お金を払う義務が生まれます。このお金を払う義務が「債務」ということです。
勘違いしがちなのですが、お金を払うことだけが債務ではありません。給付(行為)をする義務の事を総称して「債務」と呼んでいます。その為、雇用契約なども「債務」に含まれます。
債務と債権の意味の違い
債務と債権は似たような言葉であると勘違いしていませんか。1文字違うだけで意味も変わってきますので、債権について説明していきましょう。
債権は相手に対し給付(行為)をさせる法的権利のことをいいます。
例えば、物を売ったとき販売者には「お金を払ってもらう権利」がある訳です。この権利のことを「債権」と言います。
つまり、相手に請求する権利のことを「債権」、その相手に何らかの給付(行為)をしなければいけない義務のことを「債務」と言います。
金銭債務の意味
「債務=お金を払うこと」とイメージしている人は、おそらく金銭債務のことを指している場合が多いと思います。
金銭債務とは、分かりやすく述べると「お金を支払う義務」のことをいいます。
では、なぜお金を支払う義務には名前が付けられていると思いますか。それは、お金を支払うという行為が他の義務に比べて特殊性があるからです。
例えば、5000円を支払う義務(債務)があるとします。この場合、5000円札で支払っても良いですし、1000円札を5枚でも大丈夫です。さらに言えば、現金で払う時もあれば銀行払いの時もあるでしょう。
このように、定められた金額さえ払えば、貨幣や払い方に決まりがありません。その特殊性から、「お金を払う義務」のことを「金銭債務」と呼び方を変えています。
今回は、1番生活に密接している金銭債務に焦点を当てて説明していきます。
多重債務の意味
多重債務とは、複数の金融機関からお借金を繰り返していることです。特に、今ある借金を返済するために他の金融機関から借りて、借金が膨らんでいる状態のことを言います。
借金を返済出来ないから他の金融機関に借金をするという負のスパイラル状態です。
(株)日本信用情報機構によると3件以上無担保無保証借入残高がある人は、平成27年には140万人に上っています。(出典:http://www.kantei.go.jp/jp/singi/saimu/kondankai/dai05/siryou1.pdf)
日本人の総人口が約1億2000万人の為、およそ80~90人に1人が多重債務者です。
では、多重債務に陥ってしまった場合、どう対処すれば良いのか後述していきます。
債務整理の意味
多重債務に陥ってしまい自転車操業を繰り返すようになったら、何らかの方法で債務整理すると良いでしょう。
債務整理とは借金返済までに猶予を持たせたり、減額させる手続きのことです。手続きには以下の4つの方法があります。
- 過払い金請求
- 任意整理
- 民事再生
- 自己破産
それでは、それぞれの方法について説明していきます。多重債務で困っている方は、自分に合った方法を見つけて債務整理を行ってみましょう。あなたを苦しめている借金が軽くなるかもしれません。
債務整理の意味①過払い金請求
本来払う必要がないにも関わらず、貸金業者に多く払っているお金のことを「過払い金」と言います。
この過払い金を計算し、貸金業者に返金請求する手続きが「過払い金請求」です。
お金が返ってくるか気になる方は自分に過払い金があるのか、あるとすればいくらか調べてみると良いでしょう。過払い金請求の相談は弁護士や司法書士が行っています。
事務所が多すぎてどこに相談すれば良いのか分からないという方に、おすすめの調べ方があります。
それは、過払い金が戻ってきた時にいくら報酬として設定しているかということです。せっかく過払い金が戻ってきたのに、弁護士や司法書士の報酬金として多くの金額を持っていかれたら悲しいですよね。
そうならないように、事前に報酬額は明確にしておくと良いといいです。相場が分からない場合は、無料相談をやっているところは多くあるので、何件か相談しに行くのも1つの手段です。
債務整理の意味②任意整理
任意整理とは当事者同士で話し合って、借金の減額や金利の見直しをすることです。裁判所を通さずに行うのが特徴です。
では、なぜ「任意整理」することで借金が減額されるのでしょうか。これは金利に関する法律である「利息制限法」と「出資法」の2つの法が関わっています。
「利息制限法」は金利の上限を15~20%と定めていますが、罰則はありません。反対に「出資法」は金利の上限を29.2%と定めており、これを超えると罰則があります。
貸金業者の中には「利息制限法」と「出資法」の間である金利を定めているところもあります。その為、このグレゾーン部分の不正な金利分が戻ってくる可能性がある訳です。
債務整理の意味③民事再生
現在の借金を返済することが困難であると裁判所で認めてもらい、3~5年かけて分割でお金を返す方法です。民事再生では一部の借金が免除となります。
民事再生の場合、住宅などの財産を処分されることはありません。では、どうしたら民事再生をすることが出来るのか、下記にまとめました。
- 継続的に収入を得る見込みがあること
- 借金の総額が5000万円以下であること
- 債権者の過半数が再生計画に賛成であること
ただし、民事再生を行うと5~7年程借入れをすることが出来なくなります。
債務整理の意味④自己破産
現在の借金を返済することが困難であると裁判所で認めてもらい、借金の返済義務を免除してもらう方法です。自己破産の場合、高額な財産は全て手放さなければいけません。
では、どうしたら自己破産を認めてもらうことが出来るのか、下記にまとめました。
- 支払い能力がないと認められた人
- 過去7年以内に免債(借金を払う義務がなくなること)を受けたことがない人
自己破産をする際は、弁護士に依頼すると良いでしょう。もしも、弁護士に頼むお金がない場合、自分でも行うことが出来ます。その場合は、裁判所に赴き「破産申立書」を貰う必要があります。
自己破産をした場合、民事再生と同じように5~7年程ほど借入れをすることが出来なくなりますので、注意が必要です。
まとめ
債務とは、契約などによって決められた事柄を相手に対して行う義務のことです。その中でも、お金を返す義務のことを「金銭債務」と呼びます。
いくつかの金融機関にお金を借りて返済が困難になったときには、4つの対処法があります。
- 過払い金請求
- 任意整理
- 民事再生
- 自己破産
多重債務に苦しんでいるなら、上記4つの中から自分にあった方法を選んでみると良いでしょう。もしかしたら、借金が減るかもしれません。
ただし、債務整理によって借入れが出来なくなる場合や財産を差押さえされる場合があるので、自分に合った債務整理を考えましょう。