謝金の返済方法について調べていると、「債務整理」という言葉をよく見かけるはずです。
債務整理を行うことで借金の返済額などを軽減できる場合があります。でも「債務整理」に対してマイナスなイメージを持つ人も多いのではないでしょうか?
安易に「債務整理」して大丈夫なんだろうか…借金は軽減できてもその後どうなるのか。不安は大きいですよね。
そんな不安が少しでも軽くなるように「債務整理」の種類とメリット・デメリットをご紹介していきます。
債務整理とは
借金返済の軽減のことを調べると「債務整理」という言葉が出てきます。「債務整理」とはなんなのか簡単に説明していきますね。
債務整理の方法は4種類の方法があります。それぞれの借金の金額や生活状況などの状況によって、一番あなたにあった方法で進めていきましょう。
まずは、任意整理で債権者と話し合い利息をカットをしてもらうのがいいでしょう。そうすれば月々の返済を軽減することができます。
- 「任意整理」
- 「特定調停」
- 「個人再生」
- 「自己破産」
特定調停の手続き以外の債務整理は弁護士に依頼して進めることになります。
また、「自己破産」をしてもすべての借金が帳消しになるとは限らない、という点もあらかじめ理解しておきましょう。
借金返済額を減らす債務整理の方法①任意整理
任意整理とは、弁護士が債務者の代理人となり債務者の生活を壊さない範囲で返済計画を変更してもらえるよう債権者と交渉する手続のことです。
弁護士と債権者との間で話し合い、返済計画の変更に折り合いがついたら、その内容で和解契約を結びます。その後、和解契約に基づいた和解書(合意書)を取り交わしていきます。
任意整理の方法①返済期間の延長
一般的な任意整理は、月に1回の支払いで36回の分割払いにしてもらうのが一般的です。債権者が長期の分割払いを認めてくれれば返済の負担もだいぶ軽減されます。
月々きちんと返済できると理解されれば、50~60回と返済期間の延長を認めてくれる場合もあります。自分の返済可能な月々の金額を先に提示しておくのが大事です。
任意整理の方法②利息のカット
利息のカットも任意整理の交渉でよく行われる方法です。利息には2種類ありあます。「経過利息」と「将来利息」です。
弁護士に任意整理を依頼すると、弁護士から各債権者に対して受任通知(介入通知)を送付します。受任通知送付以降は、債権者との間で話がつくまで返済は停止します。
この返済停止から任意整理の和解までの利息のことを「経過利息」といいます。
また弁護士と債権者との条件交渉の後、和解契約後から支払い完了までの利息のことを「将来利息」と呼びます。
「利息のカット」とはどちらの利息もなくして、元本のみの分割払いにしてもらうように交渉することです。
利息カットは、利息制限法に基づき金利の引き直し計算を行います。「貸金業規定法」という法律が改正される前は利息制限法を超える高金利で貸し付けされている場合があり再計算すると、残金が減る場合もでてきます。
長期にわたって高金利での返済を行っていた場合だと、払い過ぎとなり払いすぎた金利分のお金が戻ってくることがあります。
借金返済額を減らす債務整理の方法②特定調停
特定調停とは、債権者との話し合いに簡易裁判所が仲介として入る制度のことです。
簡易裁判所の調停委員が、あなたの話を聞き担当の裁判官と協議しながら債権者との話し合いの仲介してくれます。
ただし、簡易裁判所が行ってくれるのはあくまで仲介だけであり、代理で話し合いをしてくれるわけではありません。
ですから特定調停の手続きは、簡易裁判所への申立手続、毎回の出頭、調停委員への説明などすべて自身で行わなければなりません。
特定調停と任意整理の違い
任意整理と特定調停の違いは、裁判所を利用するかしないかです。任意整理は裁判所を利用しない話し合いのこと。通常は、代理人に弁護士をたてて話し合いを行っていきます。
特定調停は裁判所を利用した話し合いです。弁護士ではなく調停委員が、担当裁判官と協議しながら債権者との話し合いを行います。
どちらも話し合いですから当事者の合意が必要です。債権者がどうしても同意しない場合、「任意整理」「特定調停」どちらの方法でも債務整理はできません。
借金返済額を減らす債務整理の方法③個人再生
個人再生とは、借金の返済が難しくなった債務者が債務を減額してもらうため裁判所へ申請する手続きのことです。個人再生することで借金残高を減らすことができます。
一般的には任意整理よりも借金を減らすことができます。借金を新たな返済計画で、3~5年間かけて支払うことができれば、残りの借金は免除されるという手続きです。
個人再生できる条件
- 将来的に継続又は反復した収入があり、再生計画に則った支払いが出来ること。
- 債務(借金)総額が5000万円以下(利息制限法の引き直し計算後)であること。
- 債権者から1/2以上の不同意(反対)がないこと(小規模個人再生手続のみ)
- 過去7年以内に、個人再生手続のハードシップ免責許可決定、給与所得者再生の再生計画認可決定、破産手続免責決定を受けていないこと(給与所得者再生手続のみ)。
ハードシップ返済許可とは、収入がリストラなどで全く途絶えてしまったり、病気で働けなくなってしまったなど再生計画の延長では対応できない場合に受けることが可能な免責方法です。
個人再生には2つの種類がある
個人再生手続には、「小規模個人再生」と「給与所得者等再生」の2つがあります。この2つの大きな違いは返済していく金額(最低弁済額)を決める基準と、債権者の同意の有無です。
「小規模個人再生」
小規模個人再生は、個人再生の基本型です。もともとは小規模個人事業者・自営業者の方を対象として設けられたものといわれています。
サラリーマンも要件さえ満たせば利用が可能です。ただし、再生計画の成立において債権者の過半数が債務者の申し立てに反対しないことが条件とされています。
個人再生特有の要件のうちで、小規模個人再生と給与所得者等再生に共通する再生手続開始要件には以下のものがあります。
- 債務者が個人であること
- 債務者が将来において継続的に又は反復して収入を得る見込みがある者であること
- 負債総額が5000万円を超えていないこと
どのぐらい減額されるのかや、分割の回数については民事再生法によって一定の基準が定められています。しかし、具体的な返済の計画までは個別に決められてはいません。
そこで、民事再生方に従ってその人にあった具体的な返済の計画を立てる必要があります。この返済計画のことを再生計画といいます。
「給与所得者再生」
個人再生の要件を満たし、収入が安定しているサラリーマンなどの給与所得者等に対してだけ認められる特別な個人再生手続が「給与所得者等再生」です
「給与所得者等再生」では、再生計画の申し立てをする際に債権者の同意・不同意を確認する手続が省略されています。
つまり、再生計画を提示したあと債権者の同意を取らなくてもいいということです。
借金返済額を減らす債務整理の方法④自己破産
自己破産とは、借金の返済が経済的に困難になった債務者が裁判所の手を借りて負債を免除してもらう手続きのことを言います。
破産法で免責手続きが定められているので、裁判所を利用して免責許可決定を得られれば現在抱えている借金を返済する義務から免れる事ができるのです。
一般的に言われる破産手続は、「破産」という手続きと、「免責」という手続きに分けられます。破産手続は、財産を処分し現金化して債権者に配当する手続きです。
それでも残ってしまった借金を免除してもらうのが、免責手続です。自身の収入では返済を継続することができなくなり、財産を処分しても払い切れず借金が残った分を免除してもらいます。
この2つの手続きは、基本的にセットで進められます。そのため、破産・免責手続を、単に「破産」と呼ぶことが一般的になっています。
債務整理のメリット・デメリット
債務整理とは、借金返済が難しくなった人が生活を立て直すための方法ですが、もちろんデメリットもあります。
債務整理では、すべての申し出が通るとは限りません。申し出が通らず思うような減額にならない場合もあります。
債務整理は債務者にとっては救済措置のような制度ですが、債権者にとっては不利益につながるため債務者の制度の乱用を防ぐための制限や罰則を設けているのです。
債務整理の最大のメリットは借金を減額や返済の免除によって生活の立て直しができる点です。次の章からは債務整理の種類のそれぞれのメリット・デメリットをご紹介していきます。
任意整理で債務整理をした時のメリット・デメリット
任意整理のメリット
任意整理は、簡単に言うと弁護士が債務者に代わって債務者の生活を崩さない程度の返済条件にしてもらうよう和解契約を債権者との間で締結する手続のことです。
任意整理は、あくまで交渉なので裁判手続を利用しません。そのため、自己破産や個人再生のような法律上の制限がほとんどないという点が一番のメリットと言えます。
任意整理のデメリット
任意整理でも、他の債務整理手続と同様に信用情報に事故情報として登録されるのです。いわゆるブラックリストに掲載されるということです。
ブラックリストに登録されると、任意整理の場合、返済完了から5年間はこれブラックリストの掲載を消すことはできません。
ブラックリストに登録されている期間中は、新たに融資や借入れを受けたり、クレジットで買物をしたり、ローンを組んだりすることが難しくなってしまいます。
ポイント
任意整理におけるブラックリストは、信用情報機関に登録している金融機関しか見れません。自己破産や個人再生での官報とは違い誰もが見ることができる情報ではありません。
そのため、自己破産や個人再生に比べると第三者に任意整理をしていることを知られる可能性は低いです。
他のデメリットは、毎月安定した収入がないとできないことです。債権者に返済条件の変更を認めてもらうのですから安定した収入が求めらるのです。
また、こちらの要望通りの条件変更をのんでくれない債権者もいます。その場合は思っているよりも返済額がへらないこともあるので注意しましょう。
特定調停で債務整理をした時のメリット・デメリット
特定調停のメリット
特定調停は、なんと言っても、費用が安く済む点が最大のメリットです。弁護士費用が出せない、節約したいのであれば、特定調停は良い方法です。
特定調停には、強制執行停止制度があります。裁判所の判断で強制執行を停止してもらえれば、じっくり話し合う余裕もできます。
また、特定調停は借金の原因がギャンブルや浪費であっても、特定調停自体は行うことができます。
特定調停は、相手となる債権者を選ぶことができます。破産や個人民事再生では、全ての債権者を対象とするので相手を選ぶことはできません。
例えば、特に取立てが厳しい債権者だけを相手として申し立てることもできます。どうしても任意整理に応じない債権者だけを相手として申し立てるなどの選択も可能と言うことです。
逆に自動車がないと生活するのに不便であるなら、自動車のローン会社だけは相手方から外すということも可能です。
特定調停のデメリット
特定調停は話し合いで返済案を決めるものなので、債務者側の返済案を押し付ける強制力はありません。裁判所を通じて出席を呼びかけても、呼び出しに応じない債権者もいるのです。
呼び出しを受けた債権者は、出頭義務があり、出頭しないと5万円の過料(一種の罰金刑)の処分があります。しかし、少額のためか効き目のない場合もあります。
弁護士を立てないで手続きを進めるということは、債権者との交渉以外は、すべて自分で行う必要があるわけです。
特定調停は、おおよそ一ヶ月から一ヶ月半に一度の期日が合計3回程度設けられ、期間にして4か月程かかります。これに毎回、本人が出席しなくてはなりません。
個人再生で債務整理をした時のメリット・デメリット
個人再生のメリット
弁護士に依頼して個人再生を行うことで消費者金融やクレジット会社からの督促は止まります。
貸金業法21条で、貸金業者は弁護士や司法書士から受任通知を受け取ると、それ以後本人に連絡する事は禁止されています。
任意整理に比べると大幅な借金の減額ができるのも個人再生の魅力です。条件が整えば住宅を手放さないで手続きができます。
個人再生のデメリット
個人再生手続きを取ると、信用情報に5~10年個人再生手続を取ったという記録が残ります。その間は、基本的に新たな借入れはできなくなります。
個人再生手続を取ると、個人の裁判内容などが官報に掲載されます。官報に掲載される内容は手続内容や名前・住所などです。
官報とは、法律・政令等の制定・改正の情報、破産・相続等の裁判内容が掲載される国が発行している新聞のようなものです。
しかし、官報をチェックしているような会社でない限り、一般の人が見ることはまず無いでしょう。個人再生手続を取ったことが他人に知られる可能性は低いと言えます。
自己破産で債務整理をした時のメリット・デメリット
自己破産のメリット
自己破産による免責手続きを行うとそれまでの借金が帳消しになります。もちろん自己破産の決定がおりるまでは借金は払い続けますが借金から解放されるのです。
しかし、自己破産するとその後の生活がどうなるか不安もありますよね。自己破産では、今後の生活を継続するために、最低限必要な財産や現金については手元に残しておくことが認められています。
ですから、借金返済で不安な日々から解放され平穏な日々を送れるようになります。
自己破産のデメリット
自己破産でも、個人再生と同じく信用情報に、自己破産の手続を取ったという記録が残ります。そのためクレジットカードも作れなくないますし、ローンも組めなくなります。
しかし、自己破産から5年~7年程度でこの記録も抹消されますから、その後は今まで通りの状態に戻ることになります。ただし、官報に裁判の内容には記載されます。
自己破産をすると車・家を手放すことになります。車の場合ローンが現在も支払い中だと時価評価額が査定されたのちに引き取られることになります。
車のローンが完済されている場合は査定額によって変わります。古い車だと査定0円で手元に残る場合もあります。家なら現金化され手元に残るということはありません。
自己破産したあとの生活はどうなるか?
自己破産して借金から解放されたが、その後の生活面で不便があるのではないか…このように考えている人は多いと思います。気になる点をここでは説明しておきます。
自己破産後の収入は没収される?
自己破産は、それまでの借金状態を清算し、今後の生活を再構築することを目的としています。ですから、自己破産した後に稼いだお金が没収されることはありません。
自己破産後、家を借りれなくなる?
中には、不動産会社が賃貸契約時に保証会社との契約を求めてくるケースがあります。その場合は信用情報に事故情報が記録されていると賃貸契約が難しい時もあります。
一方、貸主と直接賃貸借契約をするなら、自己破産の経歴を調べることは少ないのですんなり部屋を借りることができる場合もあります。
自己破産したら会社を辞めさせられる?
この可能性はありません。あなたが自己破産したことは、官報を調べない限りは知られません。そのため自己破産したからといって会社をクビになることはありません。
戸籍に自己破産したことが記載されるのではないか?
自己破産をすると、いったんは「破産者」という地位になりますので、本籍地の市区町村役場の「破産者名簿」に記録が残ることになります。
しかし、免責が確定した段階で「破産者」ではなくなりますのでその段階で破産者名簿からは抹消されますので安心下さい。
もちろん、戸籍や住民票に自己破産の手続きをしたことが記載されることもありません。
悩んでいるなら弁護士に相談しよう!
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弁護士は、いくつもの案件を経験してきていますので、あなたの借金問題を解決する一番いい法的手段を教えてくれます。
あなた自身で、債務整理の手続きをするのは時間も労力もかかり大変なことです。弁護士に相談することで、借金問題はスムーズに解決できます。
まとめ
債務整理の方法の紹介とメリット・デメリットを説明してきました。大きな借金を抱えてしまい苦しくなったら、一人で悩まず弁護士に相談してみましょう。
弁護士に相談するにはお金が高いからと思っていませんか?実は、弁護士への支払いは相談すれば分割払いも大丈夫なところもあります。
弁護士費用を心配するよりも、生活を脅かす借金を少なくする最善の方法を見つけることが大事です。債務整理を理解できれば自分にとって一番いい策が見えてくるはずです。