【起業に必須知識】ファクタリングと債権譲渡について説明します。

会社経営には多くのリスクが存在します。資金繰りもその1つ。そのリスク回避のために使用されるのがファクタリングと債権譲渡です。

ファクタリングと債権譲渡について初心者でも分かりやすく解説していきます。「難しい説明は苦手だな」と思う方もぜひ、読んでみてください!

まずはザックリ説明!ファクタリングと債権譲渡。

ファクタリング、債権譲渡ともに「なんか難しそう…」というイメージを抱きませんか?そのイメージを取り除くために、まず最初にファクタリングと債権譲渡についてザックリと説明します。

まず、ファクタリング、債権譲渡はいずれも未払いのお金を徴収するための制度です。どちらもよく似た制度ではありますが、異なるものだということは頭に入れておきましょう。

ファクタリングと債権譲渡の違いはいくつかありますが、分かりやすい違いとしてはお金を回収するタイミングです。お金を回収するタイミングが支払期限前ならファクタリング支払期限後なら債権譲渡です。

これから、それぞれの詳しい説明をしていきますが、これらを頭の片隅に置いた上で説明を読み進めると分かりやすいかと思います。それでは、まずファクタリングから説明していきましょう。

ファクタリングとは?

https://www.photo-ac.com/main/detail/420996?title=%E7%96%91%E5%95%8F%E3%81%AB%E6%80%9D%E3%81%86%E3%83%93%E3%82%B8%E3%83%8D%E3%82%B9%E3%83%9E%E3%83%B3-%E7%99%BD%E8%83%8C%E6%99%AF

ファクタリングとは、ある会社が持っている売掛金をファクタリング会社が買取り、売掛金と引き換えに即日現金化できるというものです。この文章だけでは少し分かりにくいので、具体例を挙げますね!

具体的には?

B社はA商事の商品を多く仕入れる得意先の会社です。取引回数が多いので、売掛金にて取引をして、2ヶ月毎(偶数月の月末)に売掛金分を請求しています。

  • A商事とB社の取引
    • 20XX年3月10日にお掃除グッズ(30万円分)をB社が購入
    • 20XX年3月19日に再びお掃除グッズ(70万円分)をB社が購入
    • 20XX年4月02日にキッチングッズ(50万円分)をB社が購入

 

ある日、A商事は4月15日までに急遽145万の現金を用意しなければならなくなりました。しかし、手元に現金がありません。B社の売掛金(150万円)が現金化できるのは4月末です。

仕方がないので、C会社(ファクタリング会社)と契約を結び、B社の売掛金をC会社に150万で買い取ってもらいました。そのおかげで、手数料(5万円)を差し引いた145万円分の現金を用意ができました。

このように、売掛金を第三者に売ることで現金を手元に用意するというのがファクタリングになります。このファクタリングには、3社間ファクタリング2社間ファクタリングがあります。

3社間ファクタリング

3社間ファクタリングとは、売掛金を保有するA商事(債権者)取引先であるB社(債務者)ファクタリング会社であるC会社の3社でやりとりを行います。

取引先B社はいわば無関係のファクタリング会社へ代金を支払うことになるため、当然のことながらB社の通知・承諾が必要となります。

A商事はファクタリング会社に売掛金を買取ってもらい、現金化します。それと同時に売掛金はファクタリング会社に移転したことになります。

B社は売掛金の代金を、売掛金を実質的に保有しているファクタリング会社に支払うという形式になります。

2社間ファクタリング

2社間ファクタリングは、主に売掛金を保有するA商事(債権者)ファクタリング会社間でのやりとりになります。3社間ファクタリングとは異なり、取引先B社(債務者)への通知・承諾は必要ありません。

A商事は売掛金をファクタリング会社に買取ってもらい、現金化します。ここまでは3社間ファクタリングと同じです。3社間ファクタリングと異なる点は、この後の売掛金の代金のお金の流れです。

2社間ファクタリングの場合は、取引先B社は予定通り支払い期限に代金をA商事に支払います。A商事はその代金をファクタリング会社に渡すという形式になります。

3社間と2社間の違いは、どの会社からファクタリング会社にお金を返すかという点!

お金をB社(取引先)からファクタリング会社(C会社)に返す場合が3社間、A商事(ファクタリング利用会社)からファクタリング会社(C会社)に直接返す場合が2社間です!

ファクタリングのメリット

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では、ファクタリングを行うことでどのようなメリットがあるのでしょうか?主なメリットを5つ紹介していきます。

資金の即日調達が可能

ファクタリングの何よりのメリットはスピーディーに資金を用意できる点が挙げられます。

資金調達で最もメジャーな銀行融資は1〜2ヶ月かかることも多く、必要となる時までに用意できない可能性もあります。

しかし、ファクタリングは最短で即日資金が入手でき、いざという時には心強い仕組みです。

審査が比較的緩い

2つ目は銀行融資の審査等に比べ、審査に通りやすいという点です。売掛金の証明ができ、取引先の経営状態が安定していれば、ファクタリングの利用が可能です。

特に3社間ファクタリングの場合、ファクタリング会社にお金を支払う義務があるのは取引先企業ため、ファクタリング会社にとって取引先の信用情報が重要となってきます。

ですので、例えばファクタリングを利用したい会社が赤字を抱えた企業であっても、安定した経営を行っている企業の売掛金を保有していれば資金を調達することが可能となるのです。

保証人・担保が不要

3つ目は保証人や担保が必要ないという点です。保証人や担保は何かを貸し借りする時に必要となってくるものですよね。

先ほども書いたように、ファクタリングは債権の売買となりますので、保証人や担保は不要ということになります。

回収義務がない

4つ目は取引先が倒産した場合に回収義務がないという点です。これは取引先が倒産して代金の支払いが不可能になったとしても、取引先の代わりに支払う必要はないということです。

つまり、債権を売買した時点で未回収金のリスクはファクタリング会社が背負うことになります。逆にファクタリングを利用する会社はリスク回避になるのです。

信用情報へ影響しない

5つ目は、銀行融資の審査や株価などの信用情報へ影響しないという点です。

何度も書きますが、ファクタリングは債権の売買ですので、負債が増える、赤字計上となるといったこともなく、融資審査や株価への影響はないと言えるでしょう。

ファクタリングのデメリット

https://unsplash.com/photos/26h317_UMYM

次にデメリットについてご紹介します。ファクタリングを行う上でデメリットとなる点は3点挙げられます。

手数料がかかる

1点目は手数料が発生するという点です。当然といえば当然ですが、ファクタリング会社に支払う報酬分を手数料として支払う必要があります。

ファクタリング会社や契約する形式にもよりますが、手数料は3社間ファクタリングで買取売掛金額の1〜5%2社間ファクタリングで10〜30%程度が相場のようです。(参考:https://www.carinavi.org/commission.php

掛け目が発生する

2点目は、掛け目が発生するために売掛金を100%現金化できる訳ではないという点です。

この掛け目の相場は回収リスクの大小で異なってきます。つまり、取引先の信用度に左右されてしまうため、取引先の業績などによっては想定していた額より低くなる可能性があります。

掛け目(かけめ)とは?
ファクタリング会社が売買する売掛金を最大いくらで買い取るかを表す比率のことです。

売掛金を必ず回収できる保障はないため、ファクタリング会社が保険を掛けていると考えると分かりやすいかと思います。

この掛け目は売掛金の回収先が優良企業であるほど、回収できる可能性が高いと見なされるため、掛け目が高くなります。

逆に回収先が支払いが滞りがちな企業の場合は、回収できないリスクが高いと判断されるため、掛け目は低めに設定されるでしょう。

取引先に知られてしまう可能性がある

3点目は取引先に知られてしまう可能性です。取引先にファクタリング利用を知られてしまった場合、「資金繰りが苦しいのではないか?」と見なされ、企業信用が下がる可能性があります。

取引先への通知・承諾が求められる3社間ファクタリングとは異なり、2社間ファクタリングはファクタリング会社と利用会社の間での取引になるため、一般的には取引先に知られる可能性が低いと言われています。

しかし、ファクタリング会社や買取売掛金金額によっては債権譲渡登記を求められることもあり、そうなった場合は取引先に知られることはないという確約は難しくなります。

ファクタリングの流れ

https://unsplash.com/photos/OQMZwNd3ThU

では、ファクタリングを利用しようと思ったらどのような流れで利用するのでしょうか?気になる流れを説明します。

2社間ファクタリングにするか3社間ファクタリングにするかで若干手続きが変わってくる部分もありますが、大まかな利用までの流れは以下の5つのステップがあります。

1.事前相談

申し込みをする前に、ファクタリング会社に事前に相談をして、どのくらいの期間で現金化されるのか手数料はどれくらいかといった条件の部分を確認できます。

数あるファクタリング会社の中には悪徳な会社も存在する可能性があります。いくつかのファクタリング会社へ事前に相談し、自分が信頼できるファクタリング会社を見つけた上で申し込みに進むことがいいでしょう。

2.申込

事前相談を踏まえ、利用するファクタリング会社を決定したら申込を行います。申込方法はファクタリング会社によりますが、電話申込Web申込が多いようです。

3.必要書類の提出

申込を行なった後にファクタリング会社から提出を求められた書類を提出します。具体例としては以下のようなものです。

必要書類の具体例
  • 商業登記簿謄本
  • 印鑑証明
  • 決算書
  • 売掛先企業との契約書
  • 売掛金の入金が分かる書類(通帳など)

4.審査

続いて提出された書類、面談でヒアリングした内容、調査会社を利用した調査などの情報を加味して、契約を結ぶかどうかをファクタリング会社が決定します。

5.契約

無事に審査が通れば契約手続きに進みます。その後契約締結後、買取金額から手数料を引かれた額が送金されます。

3社間ファクタリングの場合、必ず売掛先に債権を譲渡することの通知・承諾を得る必要があります。

ファクタリングを利用する場合はこの承諾が得られることを確認してから申し込むとスムーズに契約できるでしょう。

ここまではファクタリングについて詳しく紹介してきました。ここからは、ファクタリングと混合されやすい債権譲渡について詳しく説明します!

債権譲渡とは?

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債権譲渡とは、支払い期限に支払われるはずのものが支払われなかった場合に利用されるものです。

未払いの代金を回収するには多大な労力と時間を要します。そのため、債権回収専門の企業(サービサー)に債権を譲渡した上で回収業務を代理で行ってもらうのです。

具体的には?

取引先B社からA商事に4月末に支払われる予定であった売掛金150万円が支払われません。A商事はB社に連絡を取ろうとしましたが、連絡も取れない状況となってしまいました。

困ったA商事はサービサーであるDカンパニーに相談し、売掛金150万円を50万円で譲渡し、債権の回収はDカンパニーに任せることにしました。

債権譲渡のメリット

債権譲渡のメリットは、債権の未回収リスクを抑えることができるという点です。上記で挙げた例のように満額の回収が困難な場合でも、未回収額を抑えることができます。

またサービサーによる回収では内容証明の送付支払督促の申立、最悪の場合は訴訟など回収方法が多様化するため、最大限の額を回収できる可能性が広がります。

そういった面でも、未回収リスクを最小限まで抑えることができると言えるでしょう。

債権譲渡の注意点

債権譲渡を用いて債権回収を行う場合に確認・注意しなければいけない点が3つありますので紹介します。

二重譲渡がなされていないか

まず確認をしなければいけないのが、債権を二重に譲渡していないかという点です。二重に譲渡していた場合、債権譲渡契約を結んだ場合でも債権を行使することができません。

二重譲渡とは?

上記の具体例では、A商事が保有していたB社の売掛金をDカンパニーに譲渡しました。

ですが、A商事はDカンパニーに譲渡したhB社の売掛金を別の債権回収企業(E会社)にも譲渡する契約を結んでしまいました。

この場合、A商事が保有していたB社の売掛金はDカンパニーとE会社の2社に譲渡してしまったことになります。この状態を二重譲渡となります。

譲渡人と債務者の双方に債務を所有していないか

2点目は、双方(上記の場合はA商事とB社)に債務を所有していないかという点です。双方で債権を所有している場合は双方の債権を相殺することが可能となります。

最悪の場合、双方の債権で相殺され、結局全く回収できなかったという可能性もあるので注意が必要です。

債権の時効が切れていないか

3点目は、債権の時効が切れていないかという点です。債権には時効があり、時効となった債権であった場合、債権を行使することができないため、売掛金の回収はできません。

債権譲渡の流れ

債権譲渡の一連の流れとしては以下の通りになります。当記事ではかなり簡略化して紹介していますので、詳細が知りたい場合は債権回収弁護士ナビをご覧ください。

債権譲渡契約の締結

まずは債権を譲渡する側、譲受する側(サービサーなど)双方の同意を得て契約を締結します。この際、債務者の同意は必要ありません。

債務者への対抗要件の取得

契約を締結したら、債務者に債権が譲渡されたことを伝えます。債務者より同意が得られたら債務者への対抗要件の取得ができます。

第三者への対抗要件の取得

そして、債権譲渡契約と無関係の第三者が債権の保有を主張できないようにする必要があります。この第三者への対抗要件の取得には債権譲渡登記制度を利用されることが多いです。

ファクタリングと債権譲渡の違い

出典:https://pixabay.com/ja/photos/電卓-計算-保険-ファイナンス-1680905/

ここまでファクタリングと債権譲渡についてそれぞれ説明してきましたが、どちらも債権を現金化する方法だということはお分かりいただけたかと思います。では、この2つは何が違うのでしょうか?

  • 利用する目的
  • 深刻度
  • 回収できる金額

以上の3点で、両者の異なる点について考えていきたいと思います。

利用する目的

ファクタリング

ファクタリングの利用目的は資金の調達になります。これは、売掛金が全額支払われることが前提となっており、売掛先の支払い能力を信用して利用するものです。

債権譲渡

債権譲渡の利用目的は債権の回収になります。売掛金が期日になっても支払われないというような状況で利用され、売掛先の支払い能力が十分でない場合に利用するものになります。

深刻度

ファクタリング

ファクタリングの場合は売掛金を回収できる前提です。「現金が早めに欲しい」という回収時期の調整の利用となり、比較的深刻度は低いと言えるでしょう。

債権譲渡

債権譲渡の場合は売掛金が回収できるかどうかの瀬戸際で利用されるもので、「現金が手元に残るか残らないか」という状況です。

手元に現金が残ることが前提のファクタリングとは異なり、深刻度は高く、緊急性を要するものになります。

回収できる金額

ファクタリング

ファクタリングは売掛金から手数料を引かれた金額が回収でき、満額に近い金額を手元に残すことができます。

債権譲渡

債権譲渡では、いくら分の売掛金を回収できるかは未知数であり、回収できた金額により手元に残る金額が決まります。最悪の場合、全く回収できないという可能性もあるでしょう。

まとめ

会社を経営するにあたって頭を抱える問題の1つである資金繰り。資金繰りが苦しくなった時に助けとなる仕組みや制度が様々あります。

今回はその中でもファクタリングと債権譲渡について説明しました。似ている仕組みのようで、それぞれを利用する目的や緊急性、債権の扱いなど異なる点が多々ありました。

こういった違いを理解し、資金繰りが苦しくなった時、必要な時に必要なものを使えるようにしていきましょう。

ABOUTこの記事をかいた人

りあん。

元医療従事者。体調を崩し、退職。ニート生活の間にブログ、ライターという存在に出会い、現在に至る。人の心に響く文章を書くのが目標です。