今回は借金がある状態で引っ越しをする場合に起きる問題と解決方法を取り上げました。お金を借りている人の中には、事情があってどうしても返済できなくて踏み倒そうと考えてしまう人がいます。
引っ越しをすれば借金から逃げられるかもしませんが、その分今後の生活に問題が起きることも。
この記事では、返済が止まっている状態で住居を決めるときに注意すべき点や、返済できない場合にどうすればいいかを解説します。
借金が返済ができずにどうすればいいのかわからない人は1人で悩まずに、この記事を読んでから動いてはいかがでしょうか。
(トップ画像出典:https://www.pakutaso.com/shared/img/thumb/HODdad_TP_V.jpg)
引っ越しをしたら借金は踏み倒せる?
「借金がどうしても返せない、でも金融機関から返済の督促が来てすごい困っている…。」借金があるあなたはこんな悩みを抱えていませんか?
返済が止まれば利息や延滞利息がどんどん増え、返済金額が最初に借りた金額以上に膨大な金額になります。
借りたお金が返せないとわかると、契約した時の住所からいなくなれば踏み倒しができると考える人がいるようです。
結論から言うと、引っ越しして借金を踏み倒すことは不可能でしょう。借金の踏み倒しがなぜ難しいのかをこれからひとつずつ解説しますね。
借金返済の督促連絡が突然来た…なぜ?
借金を返済していなくて、しばらく返済督促も来ていなかったのに、引っ越した途端に新しい住所に連絡が…。個人情報が漏れていて怖いですよね。
金融機関は常に債務者の住所を追跡し、お金に余裕が出たタイミングを狙って債務者に返済の連絡をします。
引っ越しするお金がある=経済的に余裕があると考えて返済を催促するのが目的です。金融機関がなぜ債務者の住所を特定できるのか不思議で、違法な手段を使っていないかと疑いたくなりますよね。
実は金融機関だけでなく、債権者は債務者の住所を確認できる権利があります。このため、金融機関などは債務者の住所を調べて連絡を取ることができるのです。
債権者は債務者が引っ越ししても住居追跡ができる
役所で入手できる住民票は、個人情報のため原則親族以外の第三者が取得することは不可能です。
しかし、債権者は役所で契約書コピーを提示し事情を説明することで、債務者の住民票を取得することができます。これは自治体のホームページにも掲載されているので、正当な権利として認められています。
債権者が次の書類を役所に持参し問題が無ければ、債務者に同意に関わらず住民票を取得することができます。
- 借金の契約書コピー(例:金銭消費貸借契約書やローン申込書等のコピー)
- 債権者の本人確認書類(例:免許証、パスポート)
※各自治体により提示する書類が変わるので、上記以外にも書類の提示が必要になる可能性はあります。
さらに、債務者が契約時の住所から引っ越した場合は、債権者は移動先の住所も追跡することができます。
金融機関は債務者の引っ越し先を常に確認している?
先ほど説明した通り、借金の契約を結んで契約書がある場合、債権者は債務者の住民票を取得することができます。
消費者金融など金融機関は、返済が遅れている人や連絡が取れない債務者の住居変更を常に確認しています。金融機関が1番恐れていることは、債務者が貸したお金を踏み倒すことです。
金融機関は、債務者に貸したお金に加えて利息も支払われる前提でお金を貸します。貸したお金が戻らない、さらに利息が入らないと会社の損失につながり、会社の運営に支障がでてしまうことも。
金融機関はお金の回収に関する専門家のため、常に債務者の住居や返済状況を確認しています。転居したらすぐに情報が知られていると考えた方が良いでしょう。
住民票を移さずに引っ越しすると起きる問題
債権者は債務者の住民票を確認できますが「住民票を前の住所にしたままで引っ越しすれば、バレないんじゃないの?」と考える人もいますよね。
確かに債務者が住民票を移さずに引っ越しをすれば、借金の返済督促から逃げられる可能性はあります。しかし、借金の返済が止まった状態で住民票の変更をしなかった場合、次のようなデメリットがあります。
- 引っ越し先の行政サービスが使えない
- 子どもが学校に通えない
- 免許証などの更新ができない
- 選挙権が無くなる
特に問題があるのは、「引っ越し先の行政サービスが使えない」と「免許証などの更新ができない」でしょう。引っ越し先が近くであれば、前の住所のままでも問題は少ないです。
しかし、借金を踏み倒そうと考えて遠方に引っ越した場合、あらゆる手続きは前の住所がある役所に行くことになります。そうすると、新幹線など交通費がかかったり、精神的につらくなったりします。
このように住民票を移さずにいると、借金の督促から逃げられる可能性はありますが、普段の生活に様々な影響がでます。
さらに住民票を移さなくても引っ越し先を特定される可能性もあるので、借金から逃げるために住民票を移さないことはおすすめしません。
引っ越ししたら借金があっても住民票は変更しよう
住民票を移さずに引っ越した場合のデメリットは先ほど説明した通り、普段の様々な部分に関わってきます。借金があっても、引っ越しが完了したら住民票の変更届を提出しましょう。
住民票を変更せずに、債権者から引っ越し先を特定された場合、返済が止まっていた理由や住民票を変更しなかった理由を答えなければなりません。
さらに長期間変更しないと、返済から逃れるために意図的に住所変更をしなかったと疑われてしまいます。
住民票の変更をしておけば、最低限の行政サービスを受けることはできますので、必ず手続きをしておきましょう。行政サービスを受けられれば、借金以外で困った時にも相談することが可能です。
借金があると引っ越しができない?
借金がある状態で引っ越しするときに注意してほしいのが、引っ越しできない場合があるという点です。アパートやマンションを借りる時は、家賃を継続して払えるか本人の支払能力を審査しますよね。
不動産会社は、契約者の借金返済が遅れていないか過去の返済状況を確認します。返済が止まっていれば本人の支払能力に問題があると判断され、審査に通常より時間がかかり、最悪の場合入居を認めないことも…。
審査に落ちた場合は引っ越しができないため、次の住居が見つかるまで今の住まいから移動できなくなります。
移動先が自分が所有している家、または自分の実家であれば当然審査がありませんので、引っ越し自体はできます。
引っ越し後に借金返済の督促が来ても不要の場合がある?
実は引っ越し後に返済督促が来ても、返済不要の場合があります。それは借金の時効期間が過ぎている場合です。
借金の時効は、お金を借りた場合により1年~10年と変わります。最後に借金を返済した日から時効期間が過ぎていれば、債権者は債務者へ借金の返済を請求できなくなります。
法改正により2020年4月1日から借金の時効は5年~10年に統一されます。ただし、4月1日以前に契約した借金の契約は、改正前の内容が適用されるため注意しましょう。
債務者が引っ越しした時点で、最後の返済日から時効期間が過ぎていた場合は、債権者から「お金を返してください。」と連絡が来ても、返済しなくても良いことになります。
ただし、借金の時効は自動的に成立しません。債務者が債権者に対し「借金の時効期間が過ぎているので、返済を断ります。」と主張しなければいけないので注意しましょう。
借金がどうしても返せない場合はどうすればいい?
お金を借りるときは返済できる予定でいたけど、事業が上手くいかなかったなど、返済ができずに困ることがあるでしょう。このような時は借金の踏み倒しを考えず、まずは債権者に事情を話しましょう。
正当な理由であれば、債権者もお金が無い債務者に無理やり返済を迫ることはできません。相談した上で返済が難しい場合は、弁護士など法律の専門家に相談しましょう。
返済が困難な場合の解決方法は次の2つあります。法律の具体的な説明は省略しますが、解決できる方法があるので、抱え込まず相談することをおすすめします。
- 債務整理:任意整理、個人再生、自己破産の3つに分けられ、借金を減額できる反面、ブラックリストになったり、連帯保証人に迷惑をかけるなどリスクがあります。
- 時効の援用を主張する:借金は5年~10年の時効があり、時効期間を過ぎると借金の返済が不要になります。しかし、時効の援用が成立する事例はあまりないので、この方法は現実的ではありません。
債務整理はブラックリストになるなど将来の生活にリスクがあります。しかし、「返済できなくてどうしよう…。」という精神的不安から解放されるので、困ったら債務整理を選択した方が良いでしょう。
まとめ
今回は、借金の返済が止まっているときに引っ越しする場合の問題を取り上げました。借金の踏み倒しは、債権者と債務者の両方がつらい思いをして、さらに債務者は今後の日常生活のあらゆる場面で支障がでます。
借金が返済できないときは、引っ越ししてうやむやにせず、必ず法律の専門家に相談しましょう。最近は金融機関も踏み倒しされないよう常に債務者を確認しているので、逃げようとしたら自分の立場が危なくなります。
個人でお金を借りている場合、返済が遅れていたら借りている人に事情を話して、今後の返済を相談するだけでもお互いの関係を悪化させずに済みますよ。