2023年1月から「電気・ガス価格激変緩和対策事業」が開始されました。政府の補助により電気代・ガス代が安くなるため、私たち消費者は経済的負担を軽くすることができます。
しかし、契約中の電力会社・ガス会社によっては、料金の値引きを受けられない可能性があるので注意が必要です。
本記事では、電気・ガス価格激変緩和対策事業の仕組みや補助内容について詳しく解説します。少しでも光熱費の負担を減らせるよう、この機会に事業の詳細を把握しておきましょう。
(トップ画像出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/23575216?title=%E9%9B%BB%E6%B0%97%E4%BB%A3%E3%82%A4%E3%83%A1%E3%83%BC%E3%82%B8)
電気・ガス価格激変緩和対策事業とは?
電気・ガス価格激変緩和対策事業とは、政府が小売事業者を通じて電気・都市ガス料金の値下げを行い、家庭や企業を支援する事業のことです。
エネルギー価格の高騰による消費者の負担を減らすため、政府は電気代・ガス代の補助を行うことを決定しました。本事業は以下の流れで実施されます。
- 電力会社・ガス会社が政府に申請する
- 採択された電力会社・ガス会社は政府から値引き原資が支給される
- 消費者に請求する月々の料金から使用量に応じて値引きを行う
要約すると、国が電気・都市ガスの小売事業者に補助金を交付し、それを原資に電気料金・ガス料金が値引きされるという仕組みになっています。
その結果、消費者が支払う電気代・ガス代が安くなるという訳です。
電気代・ガス代の補助は誰でも受けられる?
結論から言うと、補助対象の電力会社・ガス会社と契約していれば、電気料金・ガス料金の値引きを受けられます。
契約している会社が補助対象であるかどうかは、経済産業省・資源エネルギー庁の特設サイトで確認可能です。(各電力会社・ガス会社の公式サイトでも確認できます。)
ただし、電気代においては「特別高圧」、ガス代においては「年間契約量が1,000万㎥以上」である場合、補助の対象外になるので注意が必要です。
電気代・ガス代の補助を受けるための申請は不要
電気料金・ガス料金の値引きは、特別な申請や手続きをしなくても受けられます。
前述したように、電気・ガス価格激変緩和対策事業は、採択された電気・ガス事業者が料金の値引きを実施するものです。
つまり、補助対象の会社と契約していれば自動的に値引きされるため、消費者が申請や手続きをする必要はありません。
本事業が開始されて以降、電力会社や都市ガス会社の担当者を装い、個人情報を確認する電話が発生しています。
値引きに際して個人情報や手数料を求められることはありませんので、不審な電話にはご注意ください。
電気代・ガス代の補助でどれくらい安くなる?
補助を受けた場合、私たちが支払う電気代・ガス代は、具体的にどれくらい安くなるのでしょうか。
以下の表に、電気・ガスの値引き額をまとめてみましたので、まずはそちらをご覧ください。
適用期間 | 電気(低圧) | 電気(高圧) | 都市ガス |
2023年1月〜8月使用分まで | 7.0円/kWh | 3.5円/kWh | 30円/㎥ |
2023年9月使用分 | 3.5円/kWh | 1.8円/kWh | 15円/㎥ |
上記の単価に使用量(電気は「kWh」、都市ガスは「㎥」)を掛けると、実際の値引き額がわかります。
また、電気・ガスともに「2023年9月使用分」のみ値引き単価が半額になることも覚えておきましょう。
月ごとの値引き額を確認する方法
電気・ガスの値引き額は使用量に応じて変わります。月ごとの値引き額を確認したいときは、先ほど紹介した単価に使用量を掛ければOKです。
例えば、「値引き単価が7円・電気使用量が400kWh」の場合、その月の値引き額は2,800円になります。
7円(値引き単価)×400kWh(ひと月の電気使用量)=2,800円(値引き額)
なお、月々の電気・ガスの値引き額は検針票や請求書、Web明細書などで確認できます。
電気代・ガス代の補助はいつまで続く?
電気・ガス価格激変緩和対策事業による補助は、「2023年9月使用分まで」と発表されています。(2023年3月時点の情報)
2023年10月使用分以降の継続は未定ですので、期間限定の補助として捉えておくと良いでしょう。
ただし、エネルギー価格の高騰が落ち着かなければ、補助対象期間が延長されるかもしれません。最新情報については、経済産業省・資源エネルギー庁の特設サイトをご覧ください。
電気代・ガス代の補助に関する問い合わせ方法
事業の仕組みや補助内容について気になることがあれば、以下の窓口へご相談ください。
- 電話番号:0120-013-305
- 受付時間:9:00〜17:00(年末年始を除く)
なお、上記のフリーダイヤルの電話番号は、「電気・ガス価格激変緩和対策事業」に関する問い合わせ窓口です。
そのため、電気・ガスの契約内容を確認したり、変更したりすることはできません。契約内容ついては、各電力会社・ガス会社に問い合わせましょう。
今後も電気代・ガス代が高くなる可能性はある?
先行き不透明な状況ですが、今後も電気代・ガス代は高くなることが予想されます。ロシア軍がウクライナへの侵攻を継続しており、EUやアメリカなどはロシアに経済制裁を与えました。
ロシアは世界屈指の資源大国ですが、経済制裁により輸出量が減少。需要に対して供給が足りなくなるという見方から、しばらくエネルギー価格の高騰が続くと考えられます。
また、エネルギー自給率が低い日本は、化石燃料(石油や天然ガスなど)に依存している状況です。世界情勢が不安定な今、莫大な輸入コストがかかるため、今後も電気代・ガス代が高くなる可能性はあるでしょう。
すぐにできる電気代・ガス代の節約方法
前述したように、今後もエネルギー価格の高騰が続き、電気代・ガス代は高くなることが予想されます。
そこで、すぐにできる電気代・ガス代の節約方法をいくつかピックアップしてみました。少しでも家計の負担を減らせるよう、無理のない範囲でトライしてもらえればと思います。
項目 | 節約方法 |
電気代 |
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ガス代 |
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他にも様々な節約方法がありますが、上記のことを行うだけでも電気代・ガス代を大幅に抑えられます。
特におすすめなのが、契約会社の切り替えです。料金が安い電力会社・ガス会社に切り替えれば、長期的な光熱費の節約に繋がるため、この機会に見直してみることを強くおすすめします。
まとめ:補助対象期間を利用して別の対策も考えよう!
今回は、2023年からスタートした「電気・ガス価格激変緩和対策事業」について解説しました。改めて補助内容のポイントを簡単にまとめてみます。
- 採択された電力・ガス会社と契約していれば値引きを受けられる
- 「特別高圧」「ガスの年間契約量が1,000万㎥以上」は補助の対象外
- 電気・ガスの値引きを受けるための申請は不要
- 補助対象期間は「2023年1月〜9月使用分」まで
電気代・ガス代が安くなるのは嬉しいことですが、今後もエネルギー価格の高騰が続くと予想されます。
ですので、値引きを受けられるこの期間に、別の対策も考えておくと良いでしょう。厳しい状況を乗り越えるために、本記事が少しでも参考になれば幸いです。