iDeCoとNISAに興味があるあなたは、「同時に使った方が良いのかな?」「併用するメリット・デメリットを知りたい!」と気になっているのではないでしょうか。
そこで今回は、iDeCoとNISAの特徴を紹介しつつ、2つの制度を併用するメリット・デメリットについて解説します。この記事を読んでもらえれば、あなたにとって最適な運用方法が見つかるでしょう。
また、iDeCoとNISAにおすすめの金融機関も紹介しているので、ぜひ最後までご覧ください。
(トップ画像出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/5064383)
そもそもiDeCoとNISAは併用しても良いの?
税の優遇措置を受けられるiDeCoとNISAですが、そもそも併用しても良いのでしょうか。結論から言うと、iDeCoとNISAの併用は認められています。
iDeCoは老後資金づくりを目的とした「私的年金制度」で、NISAは貯蓄から投資への流れを促すためにつくられた「少額投資非課税制度」です。
どちらも“お金を運用して資産を形成する”という共通点はありますが、制度自体は全くの別物であるため、併用することに問題はありません。
【注意】一般NISAとつみたてNISAは併用できない
前章では、iDeCoとNISAは併用可能と解説しました。1つだけ注意しておきたいのが、同じNISAである「一般NISAとつみたてNISAは併用不可」という点です。
NISA口座は1人につき1口座しか持つことができないため、どちらか一方の制度を選ばなければなりません。
つまり、iDeCoとNISAを併用する場合、「iDeCo+一般NISA」もしくは「iDeCo+つみたてNISA」という組み合わせになります。
iDeCoとNISAの違いは?制度の特徴をわかりやすく解説
実際にiDeCoとNISAを併用している人はいますが、効率的な資産形成を行うためには、各制度の特徴を把握しておく必要があります。
以下では、iDeCoとNISAの概要をまとめているので、さっそく見ていきましょう。
項目 | iDeCo | 一般NISA | つみたてNISA |
加入条件 | 20歳以上65歳未満の国民年金被保険者 | 20歳以上の国内居住者 | |
最低運用金額 | 月5,000円〜 | 月100円〜 (証券会社によって異なる) |
|
運用金額の上限 (非課税枠) |
年間14万4000円〜81万6000円 (国民年金の加入区分によって異なる) |
年間120万円 | 年間40万円 |
運用期間 (非課税期間) |
原則加入してから60歳まで | 最長5年間 | 最長20年間 |
資産の引き出し | 原則60歳まで引き出し不可 | いつでも引き出し可能 | |
税制上の優遇措置 | ・掛金が全額所得控除の対象 ・運用益が非課税 ・受け取り時も税制優遇 |
運用益が非課税 | |
運用商品 | ・定期預金 ・保険商品 ・投資信託 |
株式や投資信託など | 金融庁が定める基準を満たした投資信託 |
iDeCOとは?
iDeCoは、20歳以上65歳未満の国民年金保険者が加入できる「私的年金制度」です。原則として加入してから60歳まで資産を引き出せないので、老後のための資産形成に適しています。
iDeCoでは、運用益が非課税になり、掛金が「全額所得控除」の対象になります。さらに資産を受け取る際も「公的年金等控除」や「退職所得控除」が適用されるため、NISAよりも節税効果が高いです。
また、iDeCoには「元本確保型商品(定期預金や保険商品など)」があるので、損失リスクを避けて資産運用することもできます。
NISA(一般NISA・つみたてNISA)とは?
NISAは、20歳以上の国内居住者が加入できる「少額投資非課税制度」です。iDeCoよりも運用期間が短く、いつでも資産を引き出すことができるので、短期・中期の資産形成に向いています。
なお、一般NISAの非課税期間は最長5年で、年間120万円まで投資できます。運用期間が短く、年間の非課税枠が多いので、短期間にまとまった資金を投資するのに最適です。
一方、つみたてNISAの非課税期間は最長20年で、年間40万円まで投資できます。運用期間が比較的長く、年間の非課税枠が少ないので、少額でコツコツと積み立てるのにおすすめです。
iDeCoとNISAを併用するメリット
ここからは、iDeCoとNISAを併用するメリット・デメリットについて解説していきます。まずはメリットの方から見ていきましょう。
- 非課税で運用できる金額が増える
- 堅実な資産形成が可能になる
非課税で運用できる金額が増える
iDeCoとNISAを併用する最大のメリットは、非課税で運用できる金額が増えることです。
例えば、iDeCoは最も多くて年間81万6,000円、つみたてNISAは年間40万円が非課税枠の上限になります。2つの制度を併用すれば、年間121万6,000円を非課税で運用することが可能です。
通常、株式や投資信託などの運用益には20.315%の税金がかかります。仮に100万円の運用益が出た場合、20万円以上が税金として差し引かれてしまうのです。
その点、iDeCoやNISAの非課税枠を利用すれば、100万円をそのまま受け取ることができます。上記の点から、税制優遇による効率的な資産形成に、iDeCoとNISAの併用は有効な手段と言えるでしょう。
堅実な資産形成が可能になる
iDeCoとNISAの併用は、互いの弱点をカバーできるメリットがあるため、より堅実な資産形成が可能になります。
例えば、iDeCoは老後資金を貯めるのに最適な制度ですが、結婚や子育てなど近いうちに必要になる資金を貯めるのには向いていません。
一方、NISAは短い期間でまとまったお金を投資できるので、近い将来のための資産形成に向いています。つまり、2つの制度を併用すれば、あらゆるライフイベントに備えることができるのです。
また、iDeCoには元本割れのリスクがない定期預金や保険商品がありますが、NISAには元本確保型商品がありません。iDeCoとNISAを併用して分散投資すれば、損失リスクに備えることもできます。
iDeCoとNISAを併用するデメリット
続いて、iDeCoとNISAを併用するデメリットについて解説します。主なデメリットとして、以下の2つの点が挙げられます。
- 多くの資金が必要になる
- 資産管理が面倒になる
多くの資金が必要になる
iDeCoとNISAを併用する場合、単純に投資先が2倍になるので、それだけ多くの資金が必要になります。
制度を併用することで効率的な資産形成を期待できますが、投資にお金を使いすぎて生活に困ってしまっては本末転倒です。
ですので、自分の運用目的や資金状況を確認した上で、無理のない範囲でお金を運用していきましょう。
ちなみにiDeCoは毎月5,000円から、NISAは証券会社によっては毎月100円から始めることができます。
資産管理が面倒になる
iDeCoとNISAを併用する際、2つの口座を開設することになります。口座が2つあると、資産の運用状況を確認する手間が増えるため、人によっては面倒に感じてしまうかもしれません。
ただ制度を併用することで、非課税枠が多くなったり、リターンを期待できたりと得られるメリットが大きいのもまた事実です。
iDeCOとNISAは併用すべき?
紹介したメリット・デメリットを踏まえると、資金に余裕がある人はiDeCoとNISAを併用するのがおすすめです。
少し前に「老後2,000万円問題」が話題になりましたが、それだけ老後には多くのお金が必要になります。さらに老後生活に入るまでにも、養育費や住宅購入など何かとお金がかかるものです。
iDeCoもNISAも運用成果が得られるとは言え、どちらの制度も運用できる金額に限りがあります。そのため、どちらかの制度を利用するだけでは、十分なお金を貯められないかもしれません。
投資に回す資金があり、「少しでも資産を増やしたい」と考えているのなら、積極的にiDeCoとNISAの併用を検討してみましょう。
「iDeCo+一般NISA」の併用がおすすめな人
ここからは、「iDeCo+一般NISA」「iDeCo+つみたてNISA」の2パターンに分けて、それぞれにおすすめな人を紹介していきます。
以下の内容に該当する人は、「iDeCo+一般NISA」の組み合わせで併用してみましょう。
- 老後に向けての積み立てとまとまったお金を運用したい人
- 老後資金と5年以内に使うお金を増やしたい人
iDeCoでは、原則加入してから60歳まで積み立てできるので、老後資金を蓄えることができます。
一方、一般NISAは運用期間が5年と短く、非課税枠が年間120万円と多いので、まとまったお金を運用するのに最適です。
上記の点を踏まえると、iDeCoと一般NISAの組み合わせは、老後資金づくりと短期の資産形成を行いたい人におすすめと言えます。
「iDeCo+つみたてNISA」の併用がおすすめな人
続いて、「iDeCo+つみたてNISA」の組み合わせがおすすめな人を紹介します。
- 老後に向けてコツコツとお金を貯めたい人
- 老後資金と20年以内に使うお金を増やしたい人
iDeCoは原則60歳まで、つみたてNISAは最長20年まで積み立てできるで、老後に向けてコツコツとお金を貯めたい人におすすめです。
なお、つみたてNISAはいつでも資産を引き出せるので、結婚や子育てなど近い将来のライフイベントにも備えることができます。
iDeCoは毎月5,000円から、つみたてNISAは毎月100円から始められるので、資金に余裕がない人でも長く資産運用を続けられるでしょう。
iDeCoやNISAにおすすめの金融機関を2社厳選
これからiDeCoやNISAを活用するにあたって、「どの金融機関を使えば良いんだろう…」と悩んでしまう人もいるでしょう。
様々な金融機関がありますが、中でもおすすめなのが「SBI証券」と「楽天証券」です。このの2社をおすすめする理由として、以下の5つのポイントが挙げられます。
- 取扱商品の種類が豊富
- 手数料が安い
- 最低100円から投資可能(NISAの場合)
- ポイントが貯まる・使える
- 初心者向けサービスが充実
SBI証券の魅力は、何と言っても業界屈指の商品数です。例えば、投資信託だけでもiDeCoで約80本、一般NISAで約2,600本、つみたてNISAで約180本と多くの商品を取り扱っています。
また、口座管理手数料や取引手数料(国内株式売買や海外ETF買付など)が無料で、コストが低いところも魅力です。どの金融機関にしようかと迷ったときは、とりあえずSBI証券を検討してみると良いでしょう。
楽天証券に関しては、SBI証券と同様に商品の豊富さ・手数料の安さ・取引のしやすさなどに魅力があります。初心者向けのセミナー動画やコラムなども提供しており、資産運用に詳しくない人も利用しやすいです。
SBI証券では「Tポイント」と「Pontaポイント」が、楽天証券では「楽天ポイント」が貯まります。
どちらのサービスを利用しても大差はないので、利用しているポイントカードに合わせて選ぶのも1つの方法です。
まとめ:資金に余裕がある人は制度の併用がおすすめ
今回は、iDeCoとNISAの特徴や制度を併用するメリット・デメリットについて解説しました。改めて併用に関するポイントを簡単にまとめてみます。
- 一般NISAとつみたてNISAは併用不可
- iDeCoとNISAの併用で非課税枠が増える
- 短期・長期の資産形成に制度の併用は有効
- iDeCoとNISAの併用には多くの資金が必要
必ずしもiDeCoとNISAを併用する必要はないですが、2つの制度を併用すれば非課税枠が増えるので、より効率的な資産形成が期待できます。
今一度、ご自身の運用目的や資産状況を確認し、自分に合った方法で資産を増やしていきましょう。