資産運用に関心があるあなたは、「iDeCoとNISAの違いは何?」「どっちの方がお得なの?」と気になっているのではないでしょうか。
どちらも資産形成に有利な制度ですが、運用できる金額や税の優遇措置などに大きな違いがあります。この記事を読んでもらえれば、それぞれの特徴を把握でき、あなたが利用すべき制度が見えてくるでしょう。
今回は、iDeCoとNISAの違いを5つのポイントに分けて解説します。また、制度を選ぶ際のポイントも紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
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iDeCoとNISAの違いは?制度の概要を早見表でチェック
iDeCoとNISA(一般NISA・つみたてNISA)の違いを知るためには、それぞれの特徴を把握しておく必要があります。
以下の表には、iDeCoとNISAの概要をまとめているので、さっそく見ていきましょう。
項目 | iDeCo | 一般NISA | つみたてNISA |
加入条件 | 20歳以上65歳未満の国民年金被保険者 | 20歳以上の国内居住者 | |
最低運用金額 | 月5,000円〜 | 月100円〜 (証券会社によって異なる) |
|
運用金額の上限 (非課税枠) |
年間14万4000円〜81万6000円 (国民年金の加入区分によって異なる) |
年間120万円 | 年間40万円 |
運用期間 (非課税期間) |
原則加入してから60歳まで | 最長5年間 | 最長20年間 |
資産の引き出し | 原則60歳まで引き出し不可 | いつでも引き出し可能 | |
税制上の優遇措置 | ・掛金が全額所得控除の対象 ・運用益が非課税 ・受け取り時も税制優遇 |
運用益が非課税 | |
運用商品 | ・定期預金 ・保険商品 ・投資信託 |
株式や投資信託など | 金融庁が定める基準を満たした投資信託 |
実際に制度の概要を見てみると、iDeCoとNISAは全くの別物であることがわかります。
そもそもiDeCoは老後資金づくりを目的とした「私的年金制度」で、NISAは貯蓄から投資への流れを促すためにつくられた「少額投資非課税制度」です。
どちらも“お金を運用して資産形成する”という点は同じですが、それぞれ目的が異なる制度なので、加入条件や運用商品などに違いがあります。
iDeCoとNISAの違いを5つのポイントに分けて解説
制度の概要を確認したところで、本題であるiDeCoとNISAの違いについて見ていきましょう。iDeCoとNISAの主な違いとして、以下の5つのポイントが挙げられます。
- 加入条件
- 運用金額・運用期間
- 資産を引き出せるタイミング
- 税の優遇措置
- 運用商品
iDeCoとNISAでは、運用できる金額や資金を引き出せるタイミングなどが異なります。そのため、ご自身の運用目的やライフプランに合った制度を選ぶことが大切です。
どちらの制度にも善し悪しがあるので、違いをよく理解してから資産運用を始めましょう。次の章からは、5つの違いについて詳しく解説していきます。
iDeCoとNISAの違い①加入条件
前述したように、iDeCoとNISAは目的が異なる制度のため、加入できる条件に違いがあります。
iDeCoの加入条件は「20歳以上65歳未満の国民年金保険者」です。以前は60歳未満が上限でしたが、法改正により2022年5月から65歳未満にまで引き上げられました。
ただし、多くの人は60歳で保険料の納付義務がなくなるので、実質60歳以降に加入できる人は限定されます。(加入資格の詳細:iDeCo公式サイト)
一方、NISAは「20歳以上の国内居住者」であれば誰でも加入できます。iDeCoのように加入年齢の上限がないので、シニア層の人も資産運用を始めやすいです。
iDeCoとNISAの違い②運用金額・運用期間
iDeCoもNISAも“お金を運用して資産を形成する制度”ですが、それぞれ運用できる金額と期間が異なります。
iDeCoの運用金額(非課税枠)は「年間14万4,000円〜81万6,000円」です。掛金の上限は、国民年金の加入区分によって異なります。
第1号被保険者(自営業者) | 年間81万6,000円 |
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第2号被保険者(会社員) | 年間14万4,000円〜27万6,000円 |
第3号被保険者(専業主婦) | 年間27万6,000円 |
対して、一般NISAは「年間120万円」まで、つみたてNISAは「年間40万円」まで投資可能です。
運用期間(非課税期間)については、iDeCoが「原則加入してから60歳」まで、一般NISAが「最長5年間」、つみたてNISAが「最長20年間」となります。
年間の非課税枠は一般NISAが最も多いですが、累計の非課税枠はつみたてNISAやiDeCoの方が多いです。
上記の点から、短期間でまとまった資金を運用したい人は「一般NISA」、中長期的にコツコツと運用したい人は「つみたてNISA」や「iDeCo」が向いていると言えます。
iDeCoとNISAの違い③資産を引き出せるタイミング
iDeCoとNISAでは、資産を引き出せるタイミングに違いがあるので注意が必要です。
iDeCoは老後資金を蓄えるための制度なので、原則60歳まで資産を引き出せません。そのため、急に出費が発生したときに対応できるよう、iDeCo以外の方法でも資産形成していく必要があります。
その点、NISAはいつでも資産を引き出すことが可能です。自由にお金を使うタイミングを選べるので、急にお金が必要になったときにも対応しやすいと言えます。
蓄えたお金を使うのが定年後であれば、60歳以降に引き出せる「iDeCo」を検討してみると良いでしょう。結婚や子育てなど近い未来にお金を使うのなら、いつでも引き出せる「NISA」の方がおすすめです。
iDeCoとNISAの違い④税の優遇措置
iDeCoとNISAのどちらにも税の優遇措置がありますが、制度によって内容が異なります。
iDeCo | 【拠出時】掛金が全額所得控除の対象 【運用時】運用益が非課税 【受取時】年金は公的年金等控除、一時金は退職所得控除の対象 |
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NiSA | 【拠出時】なし 【運用時】運用益が非課税 【受取時】なし |
iDeCoの場合、運用益が非課税になることに加えて、掛金が「全額所得控除」の対象になります。さらに資産を受け取る際も「公的年金等控除」や「退職所得控除」が適用されるため、一定額まで税金がかかりません。
一方、NISAも運用益が非課税になるので、投資で得た利益や配当金などをそのまま受け取ることができます。ただし、iDeCoのように拠出時や受取時の税制優遇はありません。
どちらの制度も税負担を軽減できるメリットがありますが、節税効果という点においては、NISAよりもiDeCoの方が有利と言えるでしょう。
通常、金融商品(株式や投資信託など)を運用すると、運用益に対して20.315%の税金がかかります。
その点、iDeCoとNISAは運用益が非課税なので、どちらも資産形成に有利です。
iDeCoとNISAの違い⑤運用商品
iDeCoとNISAでは、運用できる商品に違いがあるため、事前に確認しておくことが大切です。
iDeCo | 定期預金、保険商品、投資信託 |
---|---|
一般NISA | 株式、投資信託、ETF(上場投資信託)など |
つみたてNISA | 金融庁が定める基準を満たした投資信託 |
iDeCoは「定期預金」「保険商品」「投資信託」と選べる商品の種類が豊富です。
一般NISAも「株式」「投資信託」「ETF」など様々な商品に投資でき、つみたてNISAは金融庁が定める「長期・積立・分散投資に適した一定の投資信託」が対象になります。
iDeCoとNISAの大きな違いは、元本確保型商品の有無と言えるでしょう。元本確保型商品とは、名前の通り元本が確保されている商品のことで、定期預金や保険商品などがそれに該当します。
株式や投資信託のように元本割れのリスクがないため、より安心して老後資金づくりに臨めます。ただし、元本確保型商品はリターンが小さいので、誰にでもおすすめできるわけではありません。
iDeCoとNISAはどっちが良い?制度を選ぶ際のポイント
ここまでiDeCoとNISAの違いについて解説してきましたが、結局どちらを使えば良いのでしょうか。
前述したように、どちらの制度にも善し悪しがあるので、あなたの運用目的やライフプランに合った制度を選ぶことが大切です。
例えば、老後のための資金を蓄えたい人は、原則60歳まで積み立てできる「iDeCo」がおすすめです。運用時のみならず、拠出時や受取時も税制優遇があるので、老後資金づくりに最適な制度と言えます。
また、短期間でまとまったお金を投資したい人は「一般NISA」を、中長期的に住宅購入や養育費などの必要資金を増やしたい人は「つみたてNISA」を検討してみると良いでしょう。
iDeCoとNISAは併用しても問題ない?
資産運用を検討している人の中には、「iDeCoとNISAって併用できるの?」と気になっている人も多いでしょう。
iDeCoとNISAは別々の制度であるため、併用することが可能です。2つの制度を活用すれば、非課税で投資できる金額が増えるので、より効率的な資産形成が期待できます。
ただし、iDeCoとNISAを併用するには、それだけ多くの資金が必要になります。投資にお金を使いすぎて、生活に困るようでは本末転倒なので、制度を併用する際は持続可能なプランを立てるようにしましょう。
ちなみにiDeCoとNISAは併用できますが、同じNISAである一般NISAとつみたてNISAは併用できません。
まとめ:自分に合った制度で必要資金を蓄えよう
今回は、iDeCoとNISAの違いについて解説しました。一見、似ているように思えるiDeCoとNISAですが、加入条件から運用商品まであらゆることが異なります。
この記事を読んで、制度の違いを把握できたあなたなら、最適な方法で必要資金を貯めることができるでしょう。
また、投資にお金を回せる人はiDeCoとNISAを併用するのもおすすめです。ぜひこの機会に資産運用を始めて、お金に対する不安を減らしていきましょう。