一般NISAの満期を迎えるにあたって、対処法を知りたいと思っていませんか?3つの対処法の中で本記事では「ロールオーバー」で再度非課税枠を確保できる方法について解説していきます。
「一般NISAが満期を迎えるけど、この先どうするばいいのだろう?」と思っている人には必見です。
一般NISAの満期後、自分の資産をどう運営すべきかこの記事を読めば理解できるでしょう。ぜひ、最後まで読み進めて満期後の一般NISAの資産運営を決めていきましょう。
一般NISAの5年間の非課税制度終了後は資産はどうなる?
一般NISAは、株式や投資信託の運用で得られる利益が最長5年間非課税になる制度です。
しかし、5年たち満了を迎えたら一般NISAで運用されたお金は、以下の3つの方法から選んでその後の運用方法を考えなくてはなりません。
- 翌年の一般NISAの口座に移す
- 課税口座に移す
- 売却する
1つ目の一般NISAの口座に移すのが「ロールオーバー」と言います。さらに非課税で運用を続けるための方法です。ロールオーバーの仕組みや、条件や手続きの方法を見ていきましょう。
一般NISAをロールオーバーする仕組み
「ロールオーバー」とは、一般NISAの5年の非課税期間が終了した後、持っている金融商品を翌年の非課税枠に移行することです。
ロールオーバーした額が60万円なら、新規に投資できる額は60万円となります。これは、非課税投資枠の120万円へ移すわけですから、120万円-60万円で60万円は新規で投資できます。
もしも、ロールオーバーした額が120万円なら、非課税枠は120万円ですからその年は新規に投資することはできません。
一般NISAをロールオーバーする条件
一般NISAをロールオーバーするには、非課税期間が終了する年の翌年分からの一般NISAの口座を開設しておかなければなりません。
新たに一般NISAの口座を開設しておかないと、ロールオーバーで非課税枠に移行することができないからです。
また、期限までに手続きをしないと一般NISAで運用してきた資産が課税口座に移行されてしまうので注意が必要です。
また、ロールオーバーできるのは一般NISAだけで、つみたてNISAにはロールオーバーできません。
一般NISAをロールオーバーするメリット
ロールオーバーのメリットは、何といっても非課税期間が5年延長できるという点です。つみたてNISAの20年に比べると、一般NISAは5年と短め。
それが、ロールオーバーすることで最長10年間非課税になるのですから魅力ですよね。
また、ロールオーバーのメリットは120万円を超えてもロールオーバーが可能な点です。
120万円で購入した株式や投資信託が、非課税期間終了時に150万円になっていたとします。
一般NISAの非課税枠は年間120万円ですから、ロールオーバーも120万円までと思いがちですが、利益が出て150万円になったとしても全額150万円が新規の一般NISAの口座へ移行されます。
大げさに言えば、どれだけ増えてもロールオーバーは可能と言うことです。120万円が、1,000万円になったとしても全額ロールオーバーできるのです。
そして、5年間の非課税で運用できるのでこれは大きなメリットと言えます。
一般NISAをロールオーバーする注意点
ロールオーバーは、5年で終了してしまう一般NISAの非課税期間を延長できる制度です。非課税期間が続くのでメリットが目につきますが、注意すべき点が3つあります。3つの注意点は以下の通りです。
- 移行した年の節税枠を使ってしまう
- 他の金融機関へのロールオーバーはできない
- つみたてNISAへのロールオーバーはできない
ロールオーバーの注意点①移行した年の節税枠を使ってしまう
ロールオーバーは、一般NISAの非課税期間が満了した翌年の一般NISAの非課税枠を利用する制度です。
そのため、ロールオーバーした年の節税枠が減ってしまいます。例えば、評価額50万円の銘柄をロールオーバーした場合だと120万円−50万円=70万円が一般NISAの非課税枠で投資できる金額です。
もしも、ロールオーバーした金額が120万円を超す150万円だと、その年の非課税枠を使いきってしまうことになり、一般NISAで新規投資をすることはできません。
ロールオーバーした金額によっては、新一般NISAへの投資ができないことも理解しておきましょう。
ロールオーバーの注意点②他の金融機関への移行はできない
ロールオーバーは、同じ金融機関(証券会社・銀行等)の間でしか利用できません。
そのため、一般NISAの節税期間の満了後、他の証券会社で投資をしようと思っているならロールオーバーはできないので注意しましょう。
ロールオーバーは、同じ金融機関の新たな一般NISAの節税枠への移行のみできる制度なのです。
ロールオーバーの注意点③つみたてNISAへの移行はできない
2018年からスタートしたつみたてNISAは、ロールオーバーはできない制度です。
つみたてNISAから一般NISAへのロールオーバーはもちろん、一般NISAからつみたてNISAへのロールオーバーもできないことを覚えておきましょう。
ロールオーバーの手続きの仕方
過去に一般NISAを開設して、ロールオーバー可能な銘柄を持っているなら金融機関から、メールや封書で必ず連絡がきます。
ロールオーバーの手続きは、金融機関によって異なりますがWebだけで完結できる金融機関もあれば、書類を郵送する金融機関もあります。書類は、「非課税口座内上場株式等移管依頼書」を提出します。
手続きができる時期は、金融機関によって違いますが10月〜12月に手続きできるところがほとんどです。金融機関によってバラツキがありますので、一般NISAの節税期間の満了を迎える人は早めに確認しましょう。
ロールオーバーの手続きを忘れてしまったらどうしたらいい?
もし、手続きを忘れてしまったら一般NISAの口座から課税口座に移行されてしまいます。
課税口座に移行した後に、やはり一般NISAで保有したいと思うなら、いったん売却して一般NISAの口座で買いなおしましょう。
もちろん、そのまま課税口座にしておいてもかまいません。それは、一般NISAの非課税枠を使わないで済むので、新しく一般NISAの非課税枠を全額使うことができるからです。
しかし、引き続き保有したいと思う銘柄があるなら、手続きを忘れずに行いましょう。
一般NISAをロールオーバーすべきか判断するポイントは?
一般NISAをロールオーバーすべきか判断するポイントは、2つあります。
- 今ある資産が今後も一般NISA口座で運用する価値がある
- 今後もさらに成長が期待される
上記2点が当てはまる銘柄なら、ロールオーバーをした方が良いでしょう。
逆に、今後はあまり大きな成長は見込めないという銘柄なら、売却して新たな銘柄をNISA口座で購入する方が効率的です。
必ずしも、一般NISAで運用したすべての銘柄をロールオーバーすべきとは限りません。一般NISAで引き続き運用すべき銘柄なのかを判断する必要があります。
新一般NISAの登場で一般NISAからロールオーバーが可能に
一般NISAは、当初2023年で終了する制度でした。そのため、2019年以降に購入した商品をロールオーバーするための非課税投資枠の口座がなかったため、ロールオーバーができませんでした。
しかし、一般NISAは2024年に「新NISA」に変わることになります。そのため、2019年以降に購入した銘柄は、2024年以降は「新NISA」に移行することができます。
一般NISAの制度終了の前に、どうなるのか気になっていたと思いますが、継続して非課税口座への運用が可能になったので安心して続けることができます。
【まとめ】ロールオーバーすべきか資産運用を見直そう
一般NISAの5年間の非課税期間が終了した後の対処法は以下の3つが挙げられます。
- 翌年の一般NISAの口座に移す(ロールオーバー)
- 課税口座に移す
- 売却する
5年前の銘柄を非課税枠へロールオーバーしたほうが良いか、それとも売却して翌年の新規投資枠を取っておくか考える必要があります。
ロールオーバーを上手に使えば、非課税効果が利用できるメリットが大きな制度です。5年間の非課税期間終了前に、改めて資産の見直しのタイミングを考えてみるといいでしょう。