「iDeCo」は、個人が老後の資金を準備する私的年金制度です。「iDeCo」の魅力は何といっても節税効果が大きいこと。
老後の資金を準備しながら、節税効果が期待できるなんて気になりますよね。
そこで、本記事では「iDeCo」を始めようと思っているが、よくわかっていないという人のために、「iDeCo」の特徴や3つの節税メリットを解説していきます。
本記事を読めば、「iDeCo」の節税メリットを理解できて、老後資金の準備の手助けになるでしょう。ぜひ、最後まで読み進めてみてください。
(トップ画像出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/4855856#goog_rewarded)
iDeCoってどんな制度?
「iDeCo」とは老後の年金を自分で作る「個人型確定拠出年金」のことです。積み立てたお金を老後に受け取ることができるので、老後の生活資金に上乗せすることができます。
「iDeCo」は、毎月一定の金額を積み立てて選んだ金融商品を運用し、60歳以降に受け取ることができる制度です。
「iDeCo」の積み立てはいつでも休止・再開することができるので、無理せず積み立てを続けることができます。
また、「iDeCo」は3つの節税メリットが受けられるとても魅力的な制度なんです。
iDeCoの3つの節税メリットとは?
「iDeCo」に加入することで3つの節税メリットを受けることができます。
「iDeCo」の魅力は何と言っても節税をしながら老後の資金を作ることができる点です。「iDeCo」の節税メリットは以下の3つです。
- 掛金が全額所得控除になる
- 利息と運用益が非課税になる
- 受取時にも所得控除を受けられる
掛金だけでなく、運用益も節税になるんです。また、受け取り時にも節税控除が受けられるということは老後の資産形成がすべてが節税効果を得ることになるわけです。
次の章から、「iDeCo」の3つの節税メリットを解説していきます。
iDeCoの節税メリット①掛金が全額所得控除になる
「iDeCo」の掛金は、全額所得控除になるため1月から12月までの所得から掛金を差し引いた金額から所得税・住民税が決定します。
所得税や住民税は、年収から各種控除等を差し引いた課税所得を基に計算していきます。そのため、課税所得が大きいほど税金が高くなるのです。
「iDeCo」では掛金が全額所得控除になるため、課税所得を小さくでき税金を軽くすることができます。
このメリットを受けるには確定申告か、会社員であれば年末調整を行うことで所得控除を受けることができます。
「iDeCo」の節税メリット②利息と運用益が非課税になる
投資信託などを運用して、利息や運用益が出た場合20.315%の税金がかかってしまいますが、「iDeCo」ではすべて非課税です。
例えば、運用益が10万円発生したとします。 通常であれば20.315%の20,315円が税金として差し引かれてしまいます。
しかし、「iDeCo」なら全て非課税になるので10万円すべてが利益となります。そのため、長期運用する「iDeCo」だと運用益が非課税による効果が大きくなるのです。
iDeCoの節税メリット③受取時にも所得控除を受けられる
「iDeCo」は、60歳から受け取り開始になります。受け取り方法は、以下の3つから選ぶことができます。
- 一時金受取り
- 年金受取り
- 一時金+年金受取り
一時金受け取りの場合「退職所得控除」、年金受け取りの場合は「公的年金等控除」を受けることができます。
また、一時金+年金受け取りの場合は「退職所得税控除」と「公的年金控除」の両方を受けることができるのです。
「公的年金等控除」とはその年に支払われた確定拠出年金、公的年金、厚生年金基金等の年金収入金額合計となります。
また、「退職所得控除」の上限は決まっていて下の方法で計算されます。例も併せて見てみましょう。
勤続年数 | 退職所得控除 |
20年以下 | 40万円 × 勤続年数 (80万円に満たない場合には、80万円) |
20年以上 | 800万円 + 70万円 × (勤続年数ー20年) |
(参考:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1420.htm)
例えば、勤続年数が10年2か月の場合2か月を1年に繰り上げて11年になり、40万×11年=440万円になります。
勤続年数が30年の場合は、800万円+70万円×10年(30年-20年)=1,500万円になります。
このように、控除には上限があるので「iDeCo」で確定拠出年金の受取額を非課税にすれば節税対策になるのです。
iDeCoのデメリット
「iDeCo」は、節税の効果が大きくメリットばかりのようですが、デメリットもあります。この章では、「iDeCo」のデメリットを紹介していきます。
「iDeCo」には4つのデメリットがあります。4つのデメリットは以下の通りです。
- 60歳まで引き出すことができない
- 途中解約できない
- 価格変動リスクがある
- 手数料がかかる
iDeCoのデメリット①60歳まで引き出すことができない
「iDeCo」は、公的年金を補助する老後の資産形成を目的とした制度です。そのため、「iDeCo」で積み立てたお金は60歳まで引き出すことができません。
あくまで、老後の資金作りの積み立てと思った方がいいでしょう。60歳を過ぎてから受け取りができるため、住宅の購入資金や、子どもの学費など大きな出費の予定がある人は慎重に検討した方が良いでしょう。
iDeCoのデメリット②途中解約できない
「iDeCo」は、引き出しと同様に途中解約も原則できません。途中解約するには、非常に条件が厳しく該当することが難しいため途中解約できないと思った方が良いでしょう。
「iDeCo」は、老後の資金作りの制度なので、途中で収入の変動があったとしても解約はできません。
iDeCoのデメリット③価格変動リスクがある
「iDeCo」で選べる金融商品は、元本確保型定期預金と、生命保険、そして運用性を重視した投資信託があります。
投資信託を選んで運用した場合、経済の状況やさまざまな要因から積立金は変動します。これを価格変動リスクといいます。
「iDeCo」で運用する場合、日々積立金は変動するので元本保証はないのです。
iDeCoのデメリット④手数料がかかる
「iDeCo」を利用する際には、各種手数料がかかります。加入時、支出時、給付を受ける時、移し替えする時など、さまざまな場面で事務手数料が必要になります。主にかかる手数料は以下の3つです。
- 国民年金基金連合会の手数料
- 運営管理機関等の手数料
- 運用商品の手数料
「iDeCo」の実施者である国民年金基金連合会へ事務費用として、加入者は手数料を負担する必要があります。
また、「iDeCo」の申し込み受付や商品や情報の提供を行っている運営管理機関である証券会社に手数料を払わなければなりません。
運営管理機関などへ支払う手数料は運営管理手数料、移管手数料、受取時の手数料などです。手数料は証券会社ごと違うので加入前に確認しておきましょう。
運用商品が、投資信託だと信託報酬などの手数料がかかります。手数料率はそれぞれの商品によって異なるので事前に調べておきましょう。また、口座管理に月々以下の手数料がかかるので頭に入れておきましょう。
- 国民年金基金連合会に支払う手数料:月額105円(掛金を納付する都度負担)
- 事務委託先金融機関業務に関する手数料:月額66円
- 運営管理手数料:金融機関によって異なる
(参考:https://www.resonabank.co.jp/nenkin/ideco/column/direction-of-operation.html)
iDeCoの節税額はどのくらいになるのか?
「iDeCo」に加入すると、どのくらいの節税効果が期待できるのでしょうか?掛金を積み立てた時の節税額を、会社員(企業年金無)と、自営業の場合のケースで見てみましょう。
1年間の節税額 | 60歳になった時の節税額 | |||
職業 | 会社員(企業年金無) |
|
82,800円 | 2,732,400円 |
自営業 |
|
269,280円 | 4,577,760円 |
節税額は、年齢や年収によっても変わってきますが、60歳まで積み立てると大きな節税効果が期待できます。
表からもわかるように会社員の場合2,732,400円、自営業の場合には4,577,760円にもなります。これは、かなり大きな節税ですよね。
しかし、専業主婦やパートで年収を103万までに抑えている人は所得税を収めていないため、節税メリットをあまり受けられません。
加入者全ての人が、大きな節税を受けられるわけではないことを理解しておきましょう。
iDeCoの掛金は職業によって上限が異なる
「iDeCo」の月々の掛金は職業によって上限が異なります。それぞれの職業の上限を一覧にしたので見ていきましょう。
上限額 | |||
職業 | 自営業者など | 月額68,000円(年間816,000円) | |
専業主婦(主夫)など | 月額23,000円(年間276,000円) | ||
会社員 | 会社に企業年金が無い場合 | 月額23,000円(年間276,000円) | |
会社に企業年金があり企業型確定拠出年金のみに加入している人) | 月額20,000円(年間240,000円) | ||
企業年金があり企業型確定拠出年金と確定給付企業年金、厚生年金基金に加入している人。または確定給付企業年金、厚生年金基金のみに加入している人 | 月額12,000円(年間144,000円) | ||
公務員(私学共済加入者も含みます) | 月額12,000円(年間144,000円) |
(参考:https://www.ideco-koushiki.jp/guide/structure.html)
「iDeCo」は職業によって、上限が決まっています。「iDeCo」をこれから始める人は、金額を目安に考えてみてください。
iDeCoを始めるのに向いている人はどんな人か
「iDeCo」は、60歳まで引き出すことができません。そのため、急な出費に備えた貯金が確保できている人に向いています。
「iDeCo」はあくまで、老後の資金ですので住宅購入や、子どもの学費などは別に用意しなくてはなりません。「iDeCo」以外にも貯金が一定額ある人が向いているでしょう。
また、20代から30代の若い世代の人に向いています。長期運用することでリターンも期待でき、節税の期間も長くなるため運用益が多くなるからです。
【まとめ】iDeCoで節税対策をしながら私的年金を増やそう
「iDeCo」は、個人で老後の資金を準備する「個人型確定拠出年金」のことです。「iDeCo」の魅力は何といっても3つの節税メリットです。
- 掛金が全額所得控除になる
- 利息と運用益が非課税になる
- 受取時にも所得控除を受けられる
掛金すべてが所得控除になり、運用益も非課税になります。60歳から受け取れる「iDeCo」は、受け取り時にも節税メリットを受けることができます。
老後の資金作りを何で始めようか迷っているなら、ぜひ一度検討してみてください。若いうちから準備しておけば、長期運用となりリターンが期待できます。