節税効果があるつみたてNISAですが、給与所得者がつみたてNISAの口座を開設した場合、年末調整が必要なのか疑問に思っている人も多いでしょう。
そこで、この記事ではつみたてNISAは年末調整が必要かどうか、また、つみたてNISAは控除の対象になるのかなど税金の話も併せて解説していきます。
つみたてNISAの口座を開設して、年末調整の手続きのことを知りたい人は、ぜひこの記事を読んでみてください。
つみたてNISAの年末調整に対しての不安がなくなり、安心してつみたてNISAを続けることができますよ。
アイキャッチ画像出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/2105048#goog_rewarded
つみたてNISAは年末調整の必要がない!
節税対策として、近年つみたてNISAを始めた人が増えています。給与所得者はつみたてNISAを開設した際、年末調整で申告する必要があるのか気になっている人もいるでしょう。
「収益がでているなら、所得が上がることになるから必要なのではないか?」と思うかもしれませんが、つみたてNISAは年末調整は必要ありません。
つみたてNISAが年末調整の必要がない理由は、年末調整とは、会社が従業員の給与から源泉徴収した源泉所得税について行うものだからです。
また、つみたてNISAの運用で得た利益は最長20年間は非課税のため、つみたてNISAは、年末調整の時に申告する必要ないのです。
つみたてNISAの特徴をもう一度しっかり理解しよう
まずは、つみたてNISAについてもう一度おさらいしておきましょう。つみたてNISAの特徴を一覧にまとめたので見ていきましょう。
つみたてNISAの特徴 | |
利用できる人 | 日本在住の20歳以上の人 |
投資可能期間 | 2018年~2042年 |
口座開設数 | 1人1口座 |
非課税投資枠 | 新規投資額で毎年40万円が上限 非課税投資枠は20年間で最大800万円 |
非課税期間 | 最長20年 |
投資対象商品 | 長期分散・積立投資に適した一定の公募株式投資信託と上場株式投資信託(ETF) |
つみたてNISAは、毎年40万円を上限に一定の投資信託の購入が可能です。毎年購入した投資信託の分配金と、値上がりした後に売却して得た利益が購入した年から20年間は課税されません。
非課税期間が終了すると、課税口座である一般口座か特定口座に払戻されます。なお、つみたてNISAは、翌年の非課税投資枠に移すロールオーバーはできません。
現在、つみたてNISAの制度は2042年までとされていますので、投資信託の購入ができるのは2042年までです。
2042年度中に購入した投資信託は、20年先の2061年まで非課税で保有することができます。
年末調整とはどんな手続き?内容をしっかり理解しよう
つみたてNISAについて、おさらいできたところで、続いては年末調整について解説していきます。
会社員、公務員は毎月の給与から税金が引かれています。給与から税金が事前に差し引かれることが源泉徴収です。
毎月差し引かれている納税金額が必ずしも正しいわけではないので、年末に最終的な納税額を調整していきます。これを年末調整と言います。
会社が年末調整をすることで、税金を払い過ぎていれば還付され、不足していれば徴収されます。そのため、この年末調整をすることでその年の納税が完了することになるのです。
年末調整の対象になる人とは?
年末調整には、12月に行う場合と年の途中で行う場合の2種類あります。会社員や公務員が行う年末調整は12月に行う年末調整となります。
12月に行う年末調整の対象者は、原則として企業に属しているすべての従業員です。
しかし、例外として給与が2,000万円を超える従業員は年末調整の対象にならないので個別で確定申告する必要があります。
なお、年の中途で行う年末調整の対象となる人は、次の5つのいずれかに当てはまる人です。
(1) 海外支店等に転勤したことにより非居住者となった人
(2) 死亡によって退職した人
(3) 著しい心身の障害のために退職した人(退職した後に再就職をし給与を受け取る見込みのある人は除きます。)
(4) 12月に支給されるべき給与等の支払を受けた後に退職した人
(5) いわゆるパートタイマーとして働いている人などが退職した場合で、本年中に支払を受ける給与の総額が103万円以下である人(退職後その年に他の勤務先から給与の支払を受ける見込みのある人は除きます。)
したがって、年の中途で退職した人で(1)から(5)以外の人は年末調整の対象となりません。
引用:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2665.htm
年末調整をしないとどうなるか
年末調整は各企業から、書類の提出を求められると思いますが、もしも年末調整をしないとどうなるのでしょうか?
実は年末調整をしないと、以下のデメリットが発生してしまいます。
- 各種控除の申告ができない
- 税金の過払いになる
- 確定申告の手間が増える
年末調整をしなかった場合、各種控除を受けられなくなります。控除を受けられないと総所得額が多くなってしまい、結果的に税金も高くなるのです。
年末調整をすることで該当年度の総所得が決まります。そのため、年末調整をしないと税金を払い過ぎた金額が総所得になり、翌年の住民税が決まります。つまり、住民税が高くなってしまうのです。
年末調整をしないと最終的には自分で確定申告をする必要があります。確定申告は、自分自身ですべて行わなくてはなりません。確定申告しないと脱税を疑われる可能性もあるのできちんと手続きをしなくてはなりません。
「うっかり、書類を期日までに出し忘れた!」なんてことになると、結局は自分で多く払ってしまった金額を減らすために確定申告するしか方法がないのです。
つみたてNISAは年末調整で所得扱いになるのか
つみたてNISAを始めて気になるのは、利益が出た時に年間合計所得の計算につみたてNISAの利益が含まれるのかどうか、ということですよね。
普通に考えると、利益が出たわけですから一時所得になるのではないかと思うでしょう。 ポイントは、つみたてNISAの利益が非課税であるということです。
つみたてNISAの利益は非課税のため、所得控除の計算における年間合計所得額に含まれることはありません。
副業や他の一般口座や特定口座で得た利益なら、年末調整では申告の必要もありますが、つみたてNISAの利益は非課税のため、年末調整で申告する必要はないのです。
つみたてNISAは年末調整時で控除申請を受けられるか
控除とは、税金を納める人の税負担を調整するものです。当てはまる控除の種類によって、所得の合計金額から該当する控除の金額が差し引かれます。
つみたてNISAの場合、運用益は非課税となるので掛金についての控除を受けることはできません。 そのため、年末調整や確定申告などで控除の手続きもできないのです。
一般NISAとつみたてNISAは、個人に対して自己資産を増やすことを目的にできた制度です。そのため、掛金も運用益も非課税となります。
つみたてNISAは、年末調整や確定申告で一時所得として申請はできません。つまり、年末調整で申告して税金を減らすことはできないのです。
つみたてNISAで確定申告が必要なケースとは
つみたてNISAは、年末調整の手続きは不要ですが確定申告が必要なケースがあります。それは、以下の2つのケースの時です。
- つみたてNISAの期間が終了した時
- ETFの分配金の受け取り方によって必要
確定申告が必要なケース①つみたてNISAの期間が終了した時
つみたてNISAの期間が終了した後や、そのまま運用したい場合は一般口座か特定口座に移行されます。
その際、終了後の資金は課税対象のため確定申告が必要となるのです。証券会社から売買損益の計算報告書(年間所得報告書)を受けとり、確定申告に必要な書類を作成して確定申告をしましょう。
ただし、移行した際に特定口座(源泉徴収あり)を選べば、証券会社の方で納税まですべて行ってくれるので確定申告をする必要はありません。
確定申告が必要なケース②ETFの分配金の受け取り方
つみたてNISAで、ETF(上場投資信託)の分配金を非課税にするためには、配当金等の受取方法を「株式数比例配分方式」に設定しておかなくてはなりません。
株式数比例配分方式以外の「登録配当金受領口座方式」や「従来方式(配当金領収証方式)」にしてしまうと、つみたてNISAの運用益も課税の対象となってしまいます。
受取方法の設定は、「株式数比例配分方式」に必ず設定しておきましょう。なお、ETFを除く他の投資信託は、受取方法に関係なく非課税になるので特に対応する必要はありません。
つみたてNISAで確定申告が必要な手続きの流れ
確定申告をする必要がある場合は、忘れずに確定申告をしましょう。手続きの流れは以下の通りです。
- 証券会社から1月頃「年間取引報告書」が送られてくる
- 年間取引報告書を基に確定申告の書類を作成
- 2月16日~3月15日までの間に書類を税務署へ提出
確定申告の書類は、国税庁のWEBサイトの「確定申告書等作成コーナー」を利用すれば数値を打ち込むだけで作成することができます。難しいと思っているかもしれませんが、思いのほか簡単に作成できますよ。
つみたてNISAでは、必要のない確定申告ですが、確定申告が必要な場合がどんな時なのかしっかり把握しておきましょう。
【まとめ】つみたてNISAは年末調整は原則必要なし!
つみたてNISAは、運用益は非課税のため年末調整の申告が必要ありません。また、一般の株式運用で収益が20万円以上の場合に必要な確定申告も不要です。
つみたてNISAは、国が奨励している資産運用の制度です。20年の期間終了までは年末調整のことなど考えず節税効果を利用して資産を増やしましょう。
若いうちから始めれば、銀行に預けておくより手元に残る資産が増える可能性が高いので、ぜひチャレンジしてみてくださいね。