共済年金は平成27年10月1日の「被用者年金一元化法」により、厚生年金へ統一されました。
「共済年金に加入していたが、厚生年金に統一されたことによる変更点はどんなものがあるの?」という疑問が浮かび上がりますよね。
この記事では「共済年金の変更点6つと年金の負担を減らす制度」について紹介しています。ぜひ参考にしてくださいね。
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日本の年金制度と共済年金の対象者を紹介
日本の年金制度は「公的年金」と「私的年金」に分かれており、各年金に当てはまるものを下記にて紹介しています。
- 国民年金
- 厚生年金
- 共済年金
- 国民年金基金
- 付加年金
- 個人型確定拠出年金
上記で説明した公的年金・私的年金を踏まえ、日本の年金制度は3階建て構造で例えられています。各階層の詳細は下記の表を参考にしてください。
3階 | 企業や個人が任意で加入する「私的年金」 | ||
2階 | 国民年金基金 | 厚生年金 | 共済年金 |
1階 | 国民年金 |
2階建て部分にあたる共済年金の該当者は、下記で紹介する職業の人です。
組合名 | 対象者 |
国家公務員共済組合 | 常勤している国家公務員など |
地方公務員共済組合 | 常勤している地方公務員など |
私立学校教職員共済組合 | 私立学校に勤務する教職員など |
共済年金が厚生年金へと統一された内容は、次の紹介から詳しく説明していきます。
共済年金が厚生年金に統一化
前章で紹介した日本の年金制度の2階部分には、国民年金・厚生年金・共済年金があるとお伝えしました。厚生年金は会社員が該当し、共済年金は公務員が対象となっていました。
平成27年の法律改正により、年金制度の2階部分が国民年金基金と厚生年金へと変更され、共済年金がなくなり厚生年金へ統一化されたのです。
これまで共済年金に加入していた人にとっては、厚生年金になったことによる変更点が気になりますよね?
次の章からは、厚生年金へ統一されたことによる変更点をまとめて紹介します。
厚生年金に統一されたことによる変更点を紹介
共済年金には厚生年金にはない特徴がありましたが、年金制度の統一化により、いくつかの変更点があります。厚生年金に統一されたことによる変更点は下記の通りです。
- 年金上乗せ制度の廃止
- 退職等年金給付の新設
- 保険料の統一化
- 給付範囲の変更
- 遺族年金の転給廃止
- 厚生年金加入時に70歳以下の年齢制限が設定
共済年金のメリットとも言える、年金の上乗せ制度についてを紹介している1・2番目は該当する方が多いでしょう。次章から解説している内容を参考にしてくださいね。
共済年金の変更点①年金上乗せ制度の廃止
共済年金の変更点1つ目は、「年金上乗せ制度の廃止」です。共済年金には、個人で掛けられる年金上乗せ制度がありました。
厚生年金に変更したことにより、年金の上乗せ制度が廃止され、新しく「退職等年金給付」が設けられました。
以前に共済年金の上乗せ制度に加入していた人は、名称が変わり「退職等年金給付」という名前で、年金が支給されます。退職等年金給付については次の章で詳しく説明していきます。
共済年金の変更点②退職等年金給付の新設
退職等年金給付は、個人で積み立てていく年金の上乗せ制度のことです。前述した建物を例にだすと、3階部分にあたります。
新設された退職等年金給付には、「退職年金」「公務障害年金」「公務遺族年金」の3つがあります。3つの内容を下記にて紹介します。
退職年金とは
退職年金とは毎月掛け金を積み立てる、積立型の年金制度のことです。下記で示す支給条件を満たすことで、毎月の積立額に利息を加えた金額を受け取ることができます。
- 65歳以上であること
- 退職していること
- 1年以上共済組合員期間があること
公務障害年金とは
公務障害年金は公務による怪我や病気にかかり、障害が認定された場合に支給される制度です。 障害等級(1〜3級)に該当すると支給されます。
公務遺族年金とは
公務遺族年金とは、公務傷病により死亡したときに遺族に支給される年金です。 公務傷病とは、公務を遂行する中で起こった、故意ではない公務上の事故のことを言います。
上記で紹介した3つの詳しい内容を知りたい人は、下記からご覧ください。
共済年金の変更点③保険料の統一化
共済年金の変更点3つ目は、「保険料の統一化」です。厚生年金の保険料率は、18.3%に統一化されることになりました。
公務員共済に該当する国家公務員、地方公務員の人は令和元年8月に保険料率は18.3%に変更されています。
私学共済に該当する私立学校教職員は、令和9年4月に厚生年金保険料率の18.3%に統一される予定ですが、それまでは毎年0.354%ずつ引き上げられていきます。
共済年金の変更点④給付範囲の変更
共済年金の変更点4つ目は、「年金受給者が亡くなった場合の給付範囲の変更」です。
今までの共済年金は、年金受給者が亡くなった場合、遺族や相続人に年金が給付されていました。
しかし厚生年金へ変更したことで、年金受給者が亡くなった場合の給付範囲が、年金受給者と生計を共にしていた3親等以内の親族に変更されています。
あなたから見た3親等以内の親族は下記を参考にしてください。注意する点は、配偶者の兄弟姉妹の配偶者は該当しないという点です。
1親等 | 2親等 | 3親等 |
配偶者 | 祖父母 | 曽祖父母 |
父母 | 孫 | 伯叔父母(配偶者) |
子供(配偶者) | 兄弟姉妹(配偶者) | 甥姪(配偶者) |
孫の配偶者 | ひ孫(配偶者) |
共済年金の変更点⑤遺族年金の転給廃止
共済年金の変更点5つ目は、「遺族年金の転給廃止」です。共済年金には、遺族年金受給者が死亡した際に、下記の順番で受給の権利が移る「転給制度」がありました。
- 配偶者・子供
- 父母
- 孫
- 祖父母
転給制度について詳しく説明します!
例えば遺族年金を受給していた配偶者が再婚し、受給資格を失なった場合に、父母・孫・祖父母の順に受給権が引き継がれていたのが転給制度です。
転給制度は共済年金特有の制度であり、国民年金や厚生年金にはないのが特徴でした。なお、転給制度による経過措置は行われていないのが現状です。
共済年金の変更点⑥厚生年金加入時に70歳以下の年齢制限が設定
最後に紹介するのは、「厚生年金加入時に70歳以下の年齢制限が設定された」ことです。
共済年金には年金加入時の年齢制限がなく、働いている期間保険料を払い続けると、年金額が加算される仕組みでした。
厚生年金に統一されたことにより、厚生年金へ加入できる年齢が原則70歳以下へと変更されています。
原則としたのは、年金受給資格がなく70歳を過ぎても働く場合は、年金受給資格を満たすまで厚生年金に加入することができるためです。
年金の負担を減らす制度を紹介
この章ではあなたの年金の負担を減らす、「iDeCo(個人型確定拠出年金)」を紹介していきます。
iDeCoとは、個人で加入することができる、年金の上乗せ制度のことです。積み立てた金額は60歳以降に受け取ることができます。
平成29年1月から公務員も加入できるようになったiDeCoを活用することで、年金の負担を軽減することができますよ。
国の年金制度だけではなく、個人で貯蓄できるiDeCoを活用することで、将来の不安に備えることができます。iDeCoの詳しい内容は下記の記事をご覧ください。
共済年金の変更点のまとめ
今回は共済年金が厚生年金へ統一されたことによる変更点と、年金の負担を減らす制度を紹介しました。大切なポイントを下記にて紹介します。
- 年金の上乗せ制度の廃止
- 退職等年金給付の新設
- 保険料の統一化
- 給付範囲の変更
- 遺族年金の転給の廃止
- 厚生年金加入時に70歳以下の年齢制限が設定
今まで利用していた共済年金が、厚生年金へと変更されていたことを知らなかった人もいることでしょう。
年金制度が厚生年金だけで心配な人は、公務員でも利用できるiDeCoを活用することで、老後資金を準備することができますよ。