「投資信託って株の配当金と似たような分配金があると聞いたけど…どういう仕組みなんだろう?」
投資信託には、株の配当金と似た「分配金」というものがあります。分配金は配当金と似ていますが、仕組みを詳しく見ると、注意するべきことがたくさんあります。
この記事では、投資信託の分配金の基本から分配金をどのようにしたら資産を増やせるかまで紹介します。投資信託の商品選びで迷っている人は、この記事を読んで分配金に注目して選んでみてください。
(トップ画像出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/720805?title=%E3%83%9E%E3%83%8D%E3%83%BC%E3%83%97%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%80%80%E3%82%A4%E3%83%A1%E3%83%BC%E3%82%B81&searchId=60461372#)
投資信託は売却するときしか現金にできないの?
投資信託は一度購入すると、売却するまで現金にできないと思っていませんか。売るタイミングも利益が出ているときでないと、損しますから難しいです。
株のように定期的に配当金や利息のようなものがあれば、生活費の足しやお小遣いにできるのでうれしいですよね。
投資信託にも株の配当金と似た仕組みがあり、「分配金」(ぶんぱいきん)というものがあります。(分配金の詳しい内容は次から説明していきますね。)
分配金は上手く使えば定期的な収入にもなりますし、投資したお金以上の利益を生むこともあります。
投資信託には分配金という仕組みがある
投資信託は、株や債券などの商品の詰め合わせです。運用していれば、株の配当金や受取利息などを受け取っていますよね。また、株や債権の売買をすれば、購入価格の差で運用益も発生しているでしょう。
運用会社は収益を、税金や運用コストなどを踏まえて、投資信託の方針に基づき投資家に分けていきます。これが分配金です。収益をどのくらい分配するかは運用会社が決定しています。
分配金は、様々な配当金や利息など収益の組み合わせによってできているのです。
投資信託の分配金の仕組み①分配金は定期的に支払いがある
投資信託の分配金は特徴があるので、ここからは分配金の仕組みを紹介します。分配金の仕組みの1つ目は、「分配金は定期的に支払いがあること」です。
株であれば、1年に1回、または半年に1回会社から配当金が支払われますよね。投資信託も同じように、半年に1回、または毎月支払いなど定期的に分配金の支払いがあります。
ただし、分配金は利息などと同じように確実に支払いされるものではありません。もし、運用会社が上手く利益を出せなかった場合は、分配金が減ったり、分配金自体が支払われなかったりします。
商品を購入するときは、過去の分配金の支払い状況も確認して選ぶと良いでしょう。
投資信託の分配金の仕組み②分配金は2種類ある
分配金の仕組みの2つ目は「分配金は2種類あること」です。分配金は、「普通分配金」と「特別分配金」の2種類に分けられて、主な違いは次のようになります。
- 普通分配金:元本を上回る分配金
- 特別分配金:元本を下回る分配金
普通分配金は、投資信託を購入した価格を超えて出ている収益から支払われます。一方で特別分配金は、投資信託を購入した価格を下回って元本から支払われます。
普通分配金は、商品を購入した価格より利益が出ていれば、元本を減らすことなく受け取れるでしょう。特別分配金は、運用成績が悪いと、元本の一部が分配金になるので、購入した商品の価格が減ることになります。
投資信託の分配金の仕組み③分配金を再投資できる
分配金の仕組みの3つ目は「分配金を再投資できること」です。分配金は基本は現金で受け取りますが、受け取った分配金を元本に追加することができます。
例えば、元本が1,000円で、普通分配金で200円出た場合、現金で受け取る場合は元本は1,000円のままです。普通分配金200円を現金にせず、元本に加えて1,200円にして運用することができるのです。
分配金を元本に加えれば、運用が上手くいけば次に受け取る分配金は増える可能性が高くなります。
定期的に現金を受け取りたい場合は、再投資せず分配金を受け取っても良いですが、資産を増やしたいならば、分配金を元本に追加した方が早く資産を増やせるでしょう。
投資信託の分配金の仕組み④分配金の支払い方は3種類ある
分配金の仕組みの4つ目は「分配金の支払い方は3種類あること」です。先ほど分配金は、普通分配金と特別分配金の2種類があると説明しました。
分配金は、この2種類の組み合わせにより次のような支払いがされます。
- 普通分配金
- 普通分配金+特別分配金
- 特別分配金
1は、運用成績が順調で元本より収益が出ている場合です。2は、運用成績がいまいちで、分配金は出せるけど一部は収益、一部は元本を崩して分配する場合になります。
3は、運用成績があまり良くないが、運用会社が分配金を出すことに決めた場合です。元本の一部を崩すので、現金が手元に入りますが、運用する金額が減ってしまうのが難点ですね。
運用会社が分配金を出すかどうか決めるので、商品が分配金を出すものでも、必ずしも分配金が出されるとは限りません。
分配金を受け取るメリット・デメリットは?
ここまで分配金の仕組みを解説しました。分配金を受け取るメリット・デメリットを紹介します。
- 定期的に分配金を受け取れるので、すぐに現金化できる
分配金を受け取るメリットは、定期的に現金が入るので、購入した商品の価格が上がるほど分配金も多くなる可能性があることです。
分配金を生活費の足しに利用したい人にとっては、所持している現金に上乗せできるので助かりますよね。
- 運用成績が悪いと元本が減る可能性がある
- 複利効果を利用して資産を増やしにくい
分配金は運用成績が悪いと、元本の一部を崩して支払われる可能性があります。分配金は収益を元本の割合を基に計算するので、元本が減ってしまうと、今後受け取る分配金の金額が減ってしまいます。
また、定期的に分配金を受け取れば現金にできるのは便利ですが、資産を長期的に増やす面では複利効果が薄れます。定期的な収入が欲しいのか、まとまった資金が欲しいのかという目的を考えて運用する必要があります。
分配金を再投資した方が将来の資産は増える可能性も
分配金がある商品は、商品を購入するときに分配金を受け取るか再投資するかを選択できるものもあります。定期的な現金の収入が欲しい場合は、分配金を受け取っても良いでしょう。
自分が持っている資産を増やしたい場合は、分配金を再投資した方が資産が増える可能性があります。
例えば、分配金を毎月受け取れる投資信託を購入して、経済事情などの影響が無く、元本の2%を分配金として受け取れるとした場合、1年後に元本にどのような変化があるでしょうか。
1年後には、700円程元本に差が出ていることがわかるでしょう。分配金を再投資した方が元本も分配金も増えていますよね。
実際は、経済事情や運用成績の善し悪しがあるので、分配金が安定することはありません。ただ、分配金を受け取っても再投資した方が、資産が増える可能性が高いことを知っておくと良いでしょう。
投資信託には分配金が無い商品もあるので注意
分配金の特徴について説明しましたが、投資信託の中には分配金が無い商品もあります。分配金目的で購入したのに、よく見たら分配金なしの商品だったら困りますよね。
分配金が出ない商品は、配当金や利息がどのようになっているでしょうか。運用して出た収益は、原則運用会社の元本に再投資されて運用されます。
分配金が無い商品を購入すれば、すぐに現金にすることはできませんが、長期的に運用できるので複利効果を上手く活用して資産を増やせます。
投資信託の分配金は、どんな仕組みになっているの? まとめ
今回は、投資信託の分配金の仕組みや、分配金をどのようした方がお得になるか紹介しました。投資信託は、様々な投資の商品の中でも安全なものです。
しかし、経済状況や運用成績が悪いと元本が減る可能性があるので、購入するときは定期的な収入が必要なのか、将来の資産形成で必要なのか目的を明確にしないと、損失を出す可能性があります。
特に分配金は運用成績次第で、元本が減ってしまう可能性があるので、定期的に受け取るのか再投資するのか考えて購入しましょう。
将来に備えて資産を増やしたいのであれば、分配金を再投資するか、元々分配金が無い商品を購入する方がお得かもしれませんね。