今回の記事では、投資信託における複利効果の仕組みについて詳しく解説しています。
将来に対するお金の不安はいつも尽きないですよね。もし、あなたが将来のために貯金だけをしているのであれば、今まで貯金していた分を投資信託で運用してみることをおすすめします。
投資信託は、普通の貯金と違って、長期間積み立てるほど資産が膨れ上がります。それを可能にするのが「複利」という仕組みです。
記事の前半では、まず「複利」について詳しく解説。後半では複利効果をより発揮するためのポイントを3つ紹介していますので、ぜひ最後までご覧になってください。
投資信託をすることで、絶対に資産が増えるとは言い切れません。金融商品の取引は必ずリスクが存在します。そのことを踏まえて、記事を読み進めていただけたらと思います。
そもそも投資信託はどんな仕組みでできているの?
まず、投資信託とは、そもそもどんな仕組みで成り立っているのかを解説していきます。
一般的に投資は、ある程度まとまったお金がなければできないというイメージがありますよね。それが投資信託では100円といった少額から始められるのはなぜなのでしょうか?
個別株を購入するなら最低でも数十万円が必要なところ、投資信託では多人数からお金を集めてファンドを作り、運用していきます。
そのため、一人ひとりが用意するお金は少額からOKです。投資信託は銀行預金よりかなり年利が高いので、若いうちからコツコツ積み立て「複利」で運用すると、着実に利益獲得できます。
投資信託の仕組み①複利とは?
投資信託の仕組みとして、「複利」というものがあります。複利とは、利息が元本に組み入れられ、それが次の利息が計算されるに時に使われる元本となることです。
いわば、利息が利息を生んでふくらんでいく状態ことを指します。例えば、100万円を年利5%で、20年「複利運用」した場合を想定してみましょう。
元金 | 100万円 |
1年目 | 105万円 |
2年目 | 110万2,500円 |
3年目 | 115万7,625円 |
20年目 | 約265万円 |
- ※運用報酬や月額利用料は省いた計算です。
例えば、100万円をそのまま投資信託に預けていたとします。すると、1年目は105万円に、2年目は110万2,500円とどんどんお金が増えていきます。そして、20年後には約265万円に増えているのです。
このように、投資信託では、複利の仕組みで利息分を含めた元本の運用ができるのです。
投資信託の仕組み②単利とは?
複利と似た言葉で、「単利」というものがあります。元本に上乗せしていく複利に対し、金利の対象が元本だけとなるのが単利です。
例えば、100万円を年利5%で、20年「単利運用」した場合を想定してみましょう。
元金 | 100万円 |
1年目 | 105万円 |
2年目 | 110万円 |
3年目 | 115万円 |
20年目 | 200万円 |
- ※運用報酬や月額利用料は省いた計算です。
単利運用では、元本の100万円に対して利息が発生するので、毎年5万円が増加します。
投資信託の仕組み③複利と単利の運用を比較
ここで、複利運用と単利運用では、利益にどれくらいの差が生じるのかを見比べてみましょう。
複利運用 | 単利運用 | 複利ー単利の差額 | |
1年目 | 105万円 | 105万円 | 0円 |
2年目 | 110万2,500円 | 110万円 | 2,500円 |
3年目 | 115万7,625円 | 115万円 | 7,625円 |
5年目 | 127万6,282円 | 125万円 | 2万6,282円 |
10年目 | 162万8,895円 | 150万円 | 12万8,895円 |
20年目 | 265万3,298円 | 200万円 | 65万3,298円 |
- ※運用報酬や月額利用料は省いた計算です。
- ※年利5%を想定。
運用してから2年目は、複利と単利の差額はたったの2,500円ですが、長い目で見てみると差額が広がっていくのがわかりますよね。
そして、20年目には、複利運用の方が65万3,298円もお得なことがわかります。このように、長い期間で複利運用をすれば利息を利息に回し、さらに利益を膨らませることができるのです。
投資信託の仕組み④複利運用で毎月積み立てた場合を想定すると
実際は、最初から元本を100万円も用意するのが難しい人が多いですよね。今度は、現実的な毎月1万円を積み立てて複利運用をした場合を想定してみましょう。
比較しやすいように、何も運用せず預金をした場合も表に載せています。
複利運用(年利5%) | 定期預金 | 複利ー預金の差額 | |
1ヶ月目 | 1万円 | 1万円 | 0円 |
2ヶ月目 | 2万42円 | 2万円 | 42円 |
3ヶ月目 | 3万125円 | 3万円 | 125円 |
6ヶ月目 | 6万628円 | 6万円 | 628円 |
1年目 | 12万2,789円 | 12万円 | 2,789円 |
5年目 | 68万61円 | 60万円 | 8万61円 |
10年目 | 155万2,823円 | 120万円 | 35万2,823円 |
20年目 | 411万337円 | 240万円 | 171万337円 |
- ※複利運用の計算では、運用報酬や月額利用料は省いています。
- ※貯金の計算では、金利を加味していません。
毎月1万の積み立てをして2ヶ月後は、複利運用と預金の差額はたったの42円ですが、20年後には約170万円もの差が開いています。
このように、毎月1万円といった少額でもコツコツと積み立てていくと、将来大きな資産になることがわかりますよね。
投資信託はできるだけ早く始めるべき!リターンが大きくなる!
投資信託では、複利効果で資産を大きくできますが、その効果をより発揮できるポイントを3つ紹介していきます。
1つ目のポイントは、できるだけ早く投資信託を始めることです。複利効果を最大限に活かすには、長期間運用することが大切。
例えば、あなたが25歳から投資信託(年利5%)に毎月1万円積み立てたとしますよね。その場合、20年後の複利効果による利益は約170万円ですが、40年後だとなんと約1,000万円の利益になります!
このように、少額でも毎月コツコツと積み立てていけば、40年後・50年後にはリターンが莫大になります。
分配金を再投資することで、複利効果をUP!
複利効果をより発揮できる2つ目のポイントは、分配金を再投資することです。投資信託には、分配金があるタイプとないタイプがあります。
運用によって得られた収益を決算ごとに投資家に分配するお金のことです。分配金が支払われる頻度は、年1回・年2回・年4回などと銘柄によって異なります。
分配金は、株式の配当のような感覚でたまに入ってくるお金なので、日々の生活費の足しになります。
しかし、分配金の受け取りにこだわらないのであれば、再投資した方が元本が増えるので複利効果をあげることができますよ。
そのため、複利効果の最大化を目的とする場合、「分配型の投資信託」は選択肢から外したほうが賢明と言えますね。
目的を達成する時まで投資信託は売らない
複利効果をより発揮できる3つ目のポイントは、目的を達成する時まで投資信託を売るのを我慢することです。おそらく、多くの方が投資信託で資産運用する目的は、将来に対するお金の備えをするためだと思います。
例えば、「定年退職したら売る」や「子どもが大学に行ったら売る」など、ここぞという時のためのお金ですよね。
「ちょっとブランドものが欲しいけど、我慢しよう」と一時的な欲を堪えた方が、元本が保証されて複利効果が強く働き、資産がさらに増えていきますよ。
なお、身内の葬儀や病気など急にまとまったお金が必要な時は、投資信託のお金を全額売るのではなく一部売るのもアリです。一旦は複利効果が小さくなりますが、長期的に運用すれば複利効果は再び強くなります。
複利効果の注意点:毎年“一定”のリターンではない
ここまで、複利効果について解説していきましたが、複利効果を考えるにあたって注意点があります。複利は、毎年一定のリターンではないことです。
この記事では、わかりやすく説明するために年利5%としましたが、現実には毎年全く同じ年利というのはありえないことです。
つまり、「運用1年目は7%でも2年目は3%」といった風に、年利はその年によって上下します。複利効果の大きいハイリターン商品への投資は魅力的ですが、その分リスクがゼロにはなりません。
なお、価格の変動に対するリスクを軽減する対策としては、第一にすべきことは分散投資です。1つの投資先だけではなく、国内・国外問わず幅広い金融商品を購入することがリスク軽減と安定的な利益獲得に繋がります。
まとめ:投資信託の複利の仕組みを理解して利益を出そう
今回の記事では、投資信託における複利効果の仕組みについて詳しく紹介しました。
複利があることで、利息が利息を生み、長期的に見れば多くの資産が積み上がることがわかりましたね。
毎月1万円でも5,000円でも良いので、できるだけ早く投資信託を始めることで、数十年後にはあなたの資産が増えていますよ。
今回の記事を通じて、一人でも多くの方に「投資信託に挑戦してみよう」と思っていただけたら嬉しいです。最後まで読んでいただきありがとうございました。