奨学金を返済中で「返済金額が多くてきつい」「早く終わらせたい」という方は多くいると思います。しかし、どうしたらいいのかわからないという悩みもあるのではないでしょうか。
この記事を読むことで、返済の負担を軽減させる方法を知ることができます。奨学金の返済金と生活資金を確保するための参考にしてください。
奨学金の返済がきつい人は多い
奨学金は、社会人になってから返済が始まります。近年、非正規雇用の増加などによって雇用や収入が不安定な働き方をする人が増えています。
そのため、日本学生支援機構の調査結果によると、返済が遅れていなくても48.3%の人が「奨学金の返済が負担になっている」と感じているという結果が出ています。
これを見ると、思ったよりも多いと感じるのではないでしょうか。また、奨学金の返済が負担で、貯金ができないといった声も多くあります。
では、奨学金の返済がきつい場合、どのように対処をしていけばいいのでしょうか。次の章から、奨学金の返済がきつい場合の対処法について解説します。
奨学金の返済を早く終わらせる方法【繰上償還】
奨学金の返済期間は最長20年間と長く、長期の返済がきついと感じる方もいます。そこで、少しでも余裕があるときは、積極的に繰上償還をおこなう方法がおすすめです。
奨学金は、毎月の返済金額が決まっていますが、それ以上に返済をすることができます。早めに繰上償還をすることで、当初の予定よりも支払う利息が減少し、返済期間が短くなります。
ボーナスの一部で繰上償還をするのも良いでしょう。早期に完済ができれば貯金をすることもできるようになります。
日本学生支援機構で奨学金を借りている人は、下記のリンクから申請方法などを見ることができます。
なお、繰上返還のやり方については、自分がどこから奨学金を借りているかによって異なります。
奨学金を借り受けた際の書類に、返済についての連絡先が記載されているので、確認しましょう。
奨学金の返済がきつい場合に利用したい制度
繰上償還なんてできる余裕はなく、奨学金の返済をしていると生活資金がどうしても足りないという場合もあるでしょう。そのような場合に利用を検討したい、4つの制度をご紹介します。
- 所得連動返還方式
- 減額返還制度
- 返還期限猶予制度
- 返還免除制度
それぞれの制度の詳しい内容については、次の章から解説していきます。なお、今回ご紹介する制度は、多くの方が利用している日本学生支援機構の制度です。
日本学生支援機構で奨学金を借りている人は、下記リンクから手続きの詳細を見ることができますよ。
ほかの奨学金を利用している場合も同じような制度があるため、参考にしてください。
奨学金の返済がきつい時に利用したい制度①【所得連動返還方式】
1つめの制度は、「所得連動返還方式」です。所得連動返還方式とは、借りた奨学金の総額に関わらず、前年の所得に応じて毎月の返済金額が決まる制度です。平成29年度以降の第一種奨学金採用者のみが利用できます。
所得連動返還方式は、前年の所得によって返済金額が見直されるため、無理のない返済ができます。
ただし、所得が低下した場合は、通常の毎月固定金額を返済するよりも返済期間が長期化する可能性があることを覚えておきましょう。
奨学金の返済がきつい時に利用したい制度②【減額返還制度】
2つめの制度は、「減額返還制度」です。減額返還制度とは、毎月の返済を減額してもらう制度です。災害や傷病、その他の経済的理由で奨学金の返済が難しい場合に利用ができます。
減額返還制度は、当初の契約より月々の返済金額を減らした分、返済期間は延長される制度であるため、返済するべき奨学金の金額が減るわけではありません。
毎月の返済金が減ることで、返済が継続できる可能性がある場合は、減額返還制度の利用を検討しましょう。
奨学金の返済がきつい時に利用したい制度③【返還期限猶予制度】
3つめの制度は、「返還期限猶予制度」です。返還期限猶予制度とは、一定期間の返済をなくすことができる制度です。災害や傷病、経済困難、失業などの理由で返済が難しい人が利用できます。
返還期限猶予制度は、通算で10年間の返済猶予を受けることができるため、奨学金の返済が可能となる時期まで、返済をしなくても良くなります。
ただし、返済猶予期間が終了したら、月々の返済金は満額返済しなければなりません。再度返済が開始したときの負担が大きいことから、減額返還制度の利用が推奨されています。
返済猶予期間中に少しずつでも繰り上げ返済をおこなって、残高を減らしておくのも良い方法でしょう。
奨学金の返済がきつい時に利用したい制度④【返還免除制度】
4つ目の制度は、「返還免除制度」です。返還免除制度とは、奨学金の全額もしくは半額の返済を免除してらう制度です。
奨学金という借金自体がなくなる可能性があるため、返済に悩むこともなくなるでしょう。
利用ができる場合は2つあります。学業や芸術・スポーツなどで良い成果を残し、大学長から推薦をしてもらう場合。奨学金を借りた人が死亡、または精神や身体障害で労働ができなくなった場合です。
利用できる人は限定的ですが、該当する可能性がある場合は、借入先に問い合わせてみましょう。
奨学金の返済をしないとどうなる?
奨学金の返済がきつい場合、「奨学金の返済ができない」または「返済をしない」と考える人もいます。しかし、期日に返済ができていないと延滞になり、延滞金の支払いが発生します。
3カ月以上の延滞が続くと、延滞の情報が個人情報機関に登録され、新たなクレジットカード契約や住宅ローンなどの借り入れが難しくなります。
さらに9カ月以上の延滞が続くと、返済を求める裁判がおこなわれ、最悪の場合は財産が差し押さえられます。
延滞をしていると、減額返還制度や返還期限猶予制度などの利用もできません。返済が難しい場合は、放置せずに早めに借入先へ相談をしましょう。
奨学金がどうしても返済ができない場合の最終手段【債務整理】
返済の減額や猶予をさせる制度が利用できず、家族などにも頼ることができない場合は、「債務整理」という手段を検討しなければなりません。債務整理とは、借金を減額または免除してもらう手続きのことです。
債務整理をすることで、奨学金の保証人が返済をすることになる場合や、保証人も一緒に債務整理をする必要がでてくる場合があります。
手続きについては、裁判所での対応が必要なものもあり、複雑であることから専門の弁護士に依頼をします。
どうしても奨学金が返済ができない状態であれば、弁護士に債務整理の相談をしてみましょう。どの弁護士に頼んでいいか分からない人は、下記の記事を参考に弁護士事務所へ相談してください。
まとめ
- 所得連動返還方式
- 減額返還制度
- 返還期限猶予制度
- 返還免除制度
奨学金は、学生生活を資金面で援助する制度ですが、卒業後の返済がきついと感じている人は多くいます。また、奨学金が借金だという認識が薄い人も多く、返済が遅れがちになるようです。
奨学金は返済義務のある借金です。返済ができないからといって放置すると取り返しがつかなくなる可能性があります。そのため、自身で解決できなければ、家族や借入先、弁護士やに相談をしてみましょう。
返済の負担が大きいとつらい状態ではありますが、一時的に奨学金の返済を減額したり、返済を猶予したりすることもできるため、返済が遅れる前に手続きをおこなうのがおすすめです。