家賃を滞納しそうな方や、家賃を滞納している方はいますか?家賃を滞納すると、退去になってしまうのか心配ですよね。実は、家賃を滞納してもすぐに退去になることはないのです。この記事では、
- 家賃滞納から退去までの流れ
- 家賃を滞納してしまった時に取るべき行動
などについて書いていきます。家賃を滞納したらどうすべきなのか知りたい方は、ぜひこの記事を読んでください。
(トップ画像出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/2146224?title=%E4%BD%8F%E5%AE%85%E3%81%AE%E7%96%91%E5%95%8F)
家賃滞納者の割合
家賃を滞納してしまう人はどれくらいいるのでしょうか。日本賃貸住宅管理協会の第20回 賃貸住宅市場景況感調査『日管協短観』によると、2018年の4月から9月の家賃滞納者は以下の通りです。
- 月初全体の滞納者が全国で6.8%
- 月末での1か月滞納者が全国で3.1%
- 月末での2か月以上の滞納者が全国で1.3%
意図的に家賃を支払っていないと考えられる、2か月以上の滞納者は全国で1.3%という結果になりました。
では、もしもこのまま家賃を延滞し続けたらどうなってしまうのかを以下で見ていきましょう。
家賃の滞納から退去までの流れ
強制退去の条件
家主が、家賃を滞納している住人に対して退去を求めるには、入居時に交わした賃貸借契約を解除する必要があります。
賃貸借契約とは、民法六〇一条で記載されており、簡単に言うと、「一方の人がもう一方の人からあるものを借りるときに、対価を支払うことを約束することよって契約が結ばれる」という内容です。
民法六〇一条
賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。
出典:民法六〇一条
家主が一方的に賃貸借契約を解除するためには、以下の2つの条件を満たす必要があります。
- 住人が賃貸借関係の継続が困難となるような不信行為を行う
- 家主と住人の信頼関係が崩れる
不信行為とは、家賃を支払わないこと。信頼関係が崩れるとは、一般的に3か月以上の滞納に加えて、家主の督促を無視している状態のことです。
家主は、住人による家賃の滞納が行われると、以下の手順で賃貸借契約を解除する(もしくは家賃を支払ってもらう)ための行動を起こします。
【1段階目】家賃支払いの督促
住人による家賃の滞納が行われると、家主は住人に対して家賃の支払いを求める督促を行います。
督促の方法は主に、電話、書面、訪問などです。督促が行われるタイミングは、家主によって異なります。
【2段階目】内容証明の送付
複数回に渡る督促に応じず、3か月以上の家賃の滞納が行われた場合、家主は「指定の期限までに支払いがなければ、契約を解除する」旨が書かれた、契約解除の予告通知を内容証明郵便で送ります。
内容証明郵便とは、いつ・誰が・誰に・どのような内容を送ったのか証明する郵便です。つまり、内容証明郵便を送ることによって、家主が住人に対して督促を行ったことを証明することができます。
これにより、契約解除の通知を間違いなく届けたという第三者的な証拠として有効になるということです。
内容証明郵便が送られてきたということは、家主が法的手続きの準備に取り掛かっていると考えてよいでしょう。
【3段階目】任意退去
契約解除の予告通知書を受領し、住人が任意退去に応じる場合は、貸借契約を解約します。
その際、未払いの家賃の代わりとして、部屋にある荷物の所有権を放棄する「残留物放棄書」の取り交わしを行います。
それでも、賃料が残っている場合は、残りを分割払いで支払うことを約束する「分割払い確約書」を取り交わします。
【最終段階】法的手続き
この段階で住人が任意退去を行わず、家賃の支払いもしない場合、家主は法的手続きに移行します。
家主が裁判所に訴えを起こすと、裁判所から訴状・呼出状などが届き、その後裁判が行われ、和解か判決となります。
判決が下されるとなれば、ほぼ確実に家主側の意見が通り、強制退去となるでしょう。
家賃を滞納すると発生する損害遅延金
家賃の滞納をしてしまうと、延滞損害金を請求されてしまいます。延滞損害金のは以下の計算式で求めることができます。
遅延損害金の額=支払いが遅れた賃料金額×利率×支払いが遅れた日数÷365日
延滞損害金は賃貸借契約書に記載がなければ利率は5%、もしくは6%なのですが、記載があれば最大で14.6%まで請求される可能性もあるんです。
数日の延滞程度であれば、数百円で済みますが、長期にわたって延滞してしまうとどんどん膨らんでしまいます。延滞損害金が膨らんでしまわないように、できるだけ早い段階で支払いを行うようにしましょう。
家主(大家さん)に家賃の滞納について相談する
振り込みを忘れてしまったなどの理由で家賃を滞納してしまったら、すぐに家主(大家さん)に連絡を入れましょう。そして、いつまでには支払うという旨を伝えてください。
仮に、お金がなくいつ支払えるか分からない場合でも必ず連絡するようにしましょう。すぐに支払えないのであれば、分割払いで支払いが可能か相談することをおすすめします。
家主(大家さん)も大きな問題にはしたくないので、分割払いを提案すれば応じてくれる可能性は十分にあります。
家賃を滞納してしまったら連帯保証人に連絡する
家賃を滞納してしまったら、連帯保証人に連絡しておくようにしましょう。
あなたが家賃を延滞し、支払いが不可能だと分かれば大家さんは連帯保証人に代わりに支払いを求めることになります。
そうなると、連帯保証人に迷惑をかけてしまうので、先にあなた自身から連絡を入れておくようにしましょう。
大家さんが連帯保証人に家賃を代わりに支払うことを要求した場合、連帯保証人は拒否をすることができません。
また、連帯保証会社を利用している場合は、連帯保証会社が家賃滞納時の代位弁済(立替払い)を行います。
連帯保証会社が代位弁済を行うと、信用情報に傷がつくので、その連帯保証会社を再度利用することが困難となります。
住居確保給付金を利用する
離職などが理由で家賃が払えなくなってしまった場合は、住居確保給付金を利用することをおすすめします。
住居確保給付金とは、厚生労働省が行っている生活困窮者自立支援制度の一種で、失業中などの離職中の方に対して、住宅費を支給する制度です。
離職などにより住居を失った方、または失うおそれの高い方には、就職に向けた活動をするなどを条件に、一定期間、家賃相当額を支給します。生活の土台となる住居を整えた上で、就職に向けた支援を行います。
※一定の資産収入等に関する要件を満たしている方が対象です。
出典:厚生労働省ホームページ
家賃を払うために借金をすることは避ける
家賃を支払うためのお金がないからと言って、金融機関から借金をして家賃を払うのはやめておきましょう。
確かに、借金をして家賃を払うことで家賃を滞納することはなくなり、その場しのぎにはなります。しかし、長い目で見ると家賃の支払いと借金の返済を同時にする必要があり、より困窮することが予想できます。
また、このような方法(借金をして家賃を支払うこと)を繰り返していると、1社からの借入が2社、3社と増えていき、複数社からの返済に負われることになるでしょう。
そのような状態に陥ると、借りては返す自転車操業の状態になってしまうため、より支払いが困難になってしまいます。
家賃の滞納について相談できる場所
家賃が払えなくて家主とトラブルになりそう、またはトラブルになってしまった方のために賃貸に関するトラブルについて無料で相談を受けている公的機関を紹介します。
消費生活センター
消費者生活センターで電話相談を行うことができます。相談をすると、今後どうすればよいかなどのアドバイスがもらえたり、場合によっては弁護士が無料で相談にのってくれる場合もあります。
日本賃貸住宅管理協会
日本賃貸住宅管理協会で相談を受けることも可能です。相談方法としては、事前に相談内容をメール、郵送、FAXのいずれかで送ってから、電話相談を受ける形となります。
日本賃貸住宅管理協会に相談をすることで紛争解決のためのアドバイスをもらえます。
家賃を滞納しないための賃貸選び
家賃を滞納しないためには、確実に支払いのできる賃貸を選ぶ必要があります。
賃貸を選ぶ基準として覚えておくべきことは、「賃貸は手取りの3割までのところを選ぶ」ことです。
手取りの3割を超える賃貸を選んでしまうと、毎月の支払いがきつくなり家賃を滞納することになってしまうかもしれません。
好条件な物件に住みたい気持ちは分かりますが、手取りの3割以上の賃貸は選ばないようにするべきです。
家賃の滞納について まとめ
いかがでしたでしょうか。最後に、全体をまとめて簡単におさらいしましょう。
- 家主が賃貸借契約を一方的に、解約するために必要な条件は「賃貸借関係の継続が困難となるような不信行為を行う」「信頼関係が崩れる」の2点
- 家賃を滞納すると滞納損害金が発生する
- 家賃を滞納しそうな場合は大家さんに相談する
- 家賃を延滞してしまったら連帯保証人に連絡する
- 失業などが理由で家賃を払えない場合は住居確保給付金を利用する
- 借金をして家賃を払うのは得策ではない
- 家賃の滞納で悩んでいる場合は、消費生活センターや日本賃貸住宅管理協会に相談できる
- 家賃を滞納しないために、手取りの3割以下の家賃の賃貸を選ぶ
家賃を滞納してもすぐに追い出されることはありません。しかし、長期にわたり滞納をしてしまうと、追い出されてしまったり、多額の延滞損害金を払わなくてはいけなくなったりと後々大変なことになってしまいます。
家賃の滞納については、早い段階で解決するようにしてくださいね。