「メインの証券会社を乗り換えたいけど、できるのかな」「手続きは面倒かな」と、証券会社の乗り換えを、迷っていませんか?
投資を始めた当初は、どこの証券会社が一番自分に合っているのかは、なかなか判断が付かないもの。
慣れてくると、「ちょっと自分の投資の目的に合ってないかも」と違和感を感じてしまうかもしれません。自分に合った証券会社が見つかったなら、思い切って乗り換えてみましょう。
本記事では、証券会社の乗り換えの仕方を解説していきます。自分に合った証券会社に乗り換えて、ストレスなく投資を継続していきましょう。
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証券会社を乗り換える方法とは

最近の証券会社は、さまざまなサービスの向上が見られ、自分に合った証券会社に乗り換えたいと思う人もいるでしょう。
乗り換えたいと思っていても、手続きが面倒なのではと思って諦めている人もいるはずです。しかし、証券会社を簡単に乗り換える方法があるのです。
それは、「株式の移管」というサービスです。サービスの内容は、移管元の証券会社から株式を移管先の証券会社へ移動する仕組みで、手続き自体はそう大変ではありません。
次の章では、乗り換えのための移管サービスの手順を解説していきます。
証券会社を乗り換える移管手続きの流れ

他の証券会社へ株式を移す、株式移管の具体的な手順は以下の通りです。
- 口座振替依頼書の入手
- 必要事項の記入・提出
- 完了の反映確認
手続きは、移管のための「口座振替の依頼書」を郵送してもらい、必要事項を記入して提出すれば完了するのでとてもシンプルです。
まず、移管元の証券会社へ「口座振替依頼書」、または「特定口座内保管上場株式等移管依頼書」を郵送してもらいます。送られてきた依頼書に、以下の内容を記載していきます。
- 住所
- 氏名
- 電話番号
- 口座番号
- 振替先の金融機関名
- 口座番号
- 口座名義人
- 銘柄コード
- 銘柄名
- 数量
依頼書に、必要事項を記入して移管元の証券会社へ返送します。その後、依頼書が証券会社に届いてから一週間ほどで移管手続きは完了します。
依頼書を提出してすぐには手続きは完了しませんので、余裕をもって手続きをしてください。
投資信託の移管手続きは証券会社ごとで対応が違う

投資信託の移管は、株式の移管の場合以上に取り扱っている商品の有無が証券会社によって違います。
そのため、投資信託の移管手続きを考えているなら、該当のファンドが移管先で取り扱っているかをよく確認する必要があります。
最悪、投資信託の移管を扱っていない証券会社もあります。投資信託の移管ができるか否か、また該当のファンドが移管先にあるかをきちんと確認してから行動した方がいいでしょう。
手続きの流れは、株式移管と同様で依頼書が「投信口座振替依頼書」となるだけで違いはありません。
証券会社を乗り換える移管手続きの5つの注意点

この章では、移管手続きの5つの注意点について解説していきます。
- 移管できない銘柄がある
- 移管完了まで売買はできない
- 一般口座と特定口座をまたぐ移管はできない
- 当初の取得単位が引き継がれない場合もある
- 移管手続きで手数料が発生する場合もある
株式移管の注意点①移管できない銘柄がある
株式移管では、ETF・ETN・REITを含む国内株式や外国株式のほとんどは移管できます。
しかし、単元未満株など移管先の証券会社で取り扱いのない銘柄などは移管できないことがあります。
他の証券会社に乗り換えようと思っても、取り扱っていなければ移管することはできません。
株式移管をするなら、移管先の証券会社に移管できるか確認する方がいいでしょう。
株式移管の注意点②移管完了まで売買はできない
移管手続きが完了しないと、銘柄の売買はできません。もし、売却を検討している銘柄があるなら、決済期など値動きがある可能性がある時期は避けた方が良いでしょう。
移管手続きに要する期間は、おおむね1〜2週間ですが証券会社によって異なるので、気になるようなら事前に確認しておくと安心です。
株式移管の注意点③一般口座と特定口座をまたぐ移管はできない
株式移管が可能なのは、同じ種類の口座への移管しかできません。口座をまたがった移管は制度上認められていません。
- 一般口座→一般口座 〇
- 特別口座→特別口座 〇
- 一般口座→特別口座 ×
- 特別口座→一般口座 ×
移管前・移管後の証券会社でどちらの口座を使っているのかわからない場合は、事前に確認しておきましょう。
株式移管の注意点④当初の取得単位が引き継がれない場合もある
取得日・取得価額が引き継がれるのは、特定口座から特定口座へ移管される場合のみです。一般口座から一般口座への移管では取得日・取得価額は引き継がれません。
また、特定口座であっても手続きの申込書を「口座振替依頼書」を使用した移管依頼だと取得日・取得価額は引き継がれません。
「特定口座内上場株式等移管依頼書」を使って移管先の特定口座へ移管する場合のみ情報が引き継がれます。
株式移管の注意点⑤移管手続きで手数料が発生する場合もある
株式移管の手続きで、移管元の出庫手数料がかかる証券会社もあります。
手続きで、手数料がかからない場合や、移管後の取引手数料が安い証券会社なら株式移管の手続きをした方が良いでしょう。
しかし、取引手数料が高いようなら、株式移管の手続きをしない方がいい場合もあります。株式移管の手続きの時だけでなくその後のことも見据えて考えた方がいいでしょう。
証券会社を乗り換える移管手続きの手数料はいくらか

証券会社の移管手続きでは、手数料が無料なところや、逆に手数料がかかってしまうところがあります。
移管元から株式を移管するのを出庫、移管先の証券会社に移すことを入庫といいます。それぞれの証券会社がどのくらい手数料がかかるか見ていきましょう。
証券会社 | 出庫手数料 | 入庫手数料 |
SBI証券 | 無料 | 無料 |
楽天証券 | 無料 | 無料 |
松井証券 | 無料 | 無料 |
マネックス証券 | 無料 | 無料 |
auカブコム証券 | 1銘柄につき1,100円
口座あたり1回の上限は33,000円 |
無料 |
野村證券 | 20単元未満:基本料金550円+1単元あたり550円(最低1,100円)
20単元以上:11,000円(一律) |
無料 |
みずほ証券 | 1単元以下:1,100円
1単元超10単元以下:1,100円+1単元(未満含む)ごとに550円 10単元超:6,600円 |
無料 |
SMBC日興証券 | 一般口座:無料
特定口座:1,000円(銘柄ごと) |
無料 |
大和証券 | 1単元:1,100円
1単元以上11単元未満:1,100円+1単元ごとに550円 11単元以上:一律6,600円 |
無料 |
ネット証券では出庫、入庫共に手数料が無料のところが多く見られます。しかし、店頭証券会社では、出庫に関して有料のところがほとんどです。
SMBC日興証券は、一般口座は無料ですが特定口座は料金が発生するので株式移管の手続きをする際には証券会社へ確認が必要です。
移管手数料をキャッシュバックしてくれる証券会社

移管元でかかった手数料を、移管先の証券会社がキャッシュバック(返金)してくれるシステムがあります。
以下の証券会社は、移管元でかかった手数料を、移管手続き終了後キャッシュバックしてくれます。ただし、各証券会社ごとキャッシュバックしてくれるのは、移管される金額によって異なるので確認しましょう。
証券会社 | キャッシュバックの条件 |
SBI証券 | 全額キャッシュバック |
松井証券 | 全額キャッシュバック |
SMBC証券会社 | 10万円以上の入庫 |
野村證券 | 500万円以上の入庫 |
エイチ・エス証券株式会社 | 100万円以上の入庫 |
岡三証券 | 100万円以上の入庫 |
大和証券 | 1,000万円以上の入庫 |
SBI証券と松井証券は、入庫金額に関係なく全額キャッシュバックされます。他は、入庫金額によってキャッシュバック可能が決まってくるので、乗り換えのトータル金額を確認してみましょう。
米国株の移管手数料をキャッシュバックしてくれる証券会社

米国株の移管手続きで移管元でかかった手数料を、キャッシュバックしてくれる証券会社は以下の通りです。
- SBI証券
- 松井証券
- エイチ・エス証券株式会社
- SMBC日興証券
松井証券は、2022年4月25日から「移管手数料負担サービス」の対象商品に米国株式を追加しました。これによって、米国株式も随時手数料がキャッシュバックされます。
エイチ・エス証券は、株式等合計100万円以上の株式等をエイチ・エス証券へ移管した場合キャッシュバックしてくれます。
銘柄は国内上場株式等、国内上場CB、外国株式等で、国内株であってもキャッシュバック可能です。
証券会社によっては、「移管手数料キャッシュバック」のキャンペーンを実施している場合もあるので確認してみましょう。
NISAも証券会社を乗り換えることができる

NISA口座で保有している株式も、他の証券会社に変更することができます。
この場合、株式移管ではなく、口座ごと証券会社を乗り換えることになります。NISAの乗り換えの手続きは以下の通りです。
- NISA口座がある現在の証券会社に手続きに必要な「勘定廃止通知書」または「非課税口座廃止通知書」を郵送してもらう
- 乗り換えたい証券会社にNISA・積立NISAの口座の開設の申し込みをする
- 書類に必要事項を記載の上、乗り換えたい証券会社へ返送
- 証券会社・税務署での審査が完了後に取引が可能になる
ただし、NISA口座の変更は1年に1回だけです。申し込みの締め切りが終了してしまうと翌年まで手続きはできません。
また、一度変更を実行するとしばらくは変更できないので慎重にすすめましょう。
目的別に乗り換えるおすすめな証券会社を紹介

証券会社を乗り換えるなら、自分の投資目的に合ったところを選びましょう。この章では、3つの投資の目的別でおすすめな証券会社を紹介していきます。おすすめする3つの投資目的は以下の通りです。
- 手数料を安く抑えたい
- 外国株に投資したい
- IPOをあてたい
あなたの、投資のスタイルに合った証券会社を選んで、ストレスなく投資にチャレンジしてみてください。それぞれの投資目的に合った証券会社を紹介していきます。
目的に合ったおすすめな証券会社①手数料を安く抑えたい人
手数料を安く抑えたいと思っているなら、SBI証券と楽天証券がおすすめです。どちらの証券会社も、定額制が1日100万円まで手数料無料なんです。
SBI証券は、証券口座開設数が720万を突破して、今や国内株式個人取引シェアが多い証券会社です。SBI証券は、取扱商品が多いので1口座で色々な商品を取引したいと思うなら、SBI証券がおすすめです。
楽天証券の魅力は手数料が安いことに加えて、楽天証券のポイントが投資で貯めることです。貯まった楽天ポイントは投資信託や国内株式の購入、楽天市場での買い物で使うことができるのです。
安い手数料で投資をしながら、ポイントも貯めたいと思っているなら楽天証券がおすすめです。
目的に合ったおすすめな証券会社②外国株に投資したい人
外国株に投資したいなら、マネックス証券とSBI証券がおすすめです。マネックス証券は、米国株、中国株の銘柄数No.1を誇る証券会社です。
SBI証券は、国株、中国株以外にも7か国の外国株に投資できる証券会社です。他のネット証券では取り扱っていない外国企業にも投資できます。
米国株や中国株への投資を考えているなら、マネックス証券とSBI証券で始めてみましょう。
目的に合ったおすすめな証券会社③IPOをあてたい人
IPOをあてたいと思っているなら、マネックス証券とSBI証券がおすすめです。
IPOの当選を狙っているなら、取扱数が多いSBI証券が良いでしょう。また、マネックス証券は、1銘柄に対して「1人1票」なので誰にでも当選チャンスがある人気が高いネット証券です。
自分の投資目的に合った証券会社を選ぶことで、違和感なく投資を続けることができます。メインの証券選びは、あなたの投資スタイルを確立してくれるはずです。
【まとめ】株式移管を理解してメインの証券会社を乗り換えよう!

投資を進めていく中で、証券会社の新しいサービスや投資目的がはっきりしてきて、メインの証券会社を乗り換えたいと思うこともあるでしょう。
それなら、株式移管の手続きで証券会社を乗り換えてみましょう。株式移管の手続きなら、手数料を抑えて手続きができます。また、複数の証券会社に分かれていた資産をひとまとめにすれば資産管理もしやすくなります。
手続き自体は難しくありません。移管元の証券会社から書類を取り寄せ、移管先の証券会社へ書類を送れば手続きは完了です。あとは、反映するのを待つだけです。
しかし、株式移管の5つの注意点もきちんと理解しておきましょう。
- 移管できない銘柄がある
- 移管完了まで売買はできない
- 一般口座と特定口座をまたぐ移管はできない
- 当初の取得単位が引き継がれない場合もある
- 移管手続きで手数料が発生する場合もある
株式移管の注意点も理解した上で、株式移管した方がメリットが大きいならメインの証券会社を乗り換えてみましょう。