「新しい事業を始めたい!お金が足りないな…、そうだ銀行に借りよう!」こんな感じでお金を借りている経営者はいませんか?ここであなたに質問です。借りるお金は経費に出来ますか?出来ませんか?
今回は知らないと間違えやすい法人の借金について、簿記の基本から経費に出来ない理由、節税方法を取り上げました。
(トップ画像出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/2174778?title=%E3%83%93%E3%82%B8%E3%83%8D%E3%82%B9%20%E3%83%9F%E3%83%8B%E3%83%81%E3%83%A5%E3%82%A2%20%E7%B5%8C%E6%B8%88)
法人の借金は経費に出来ない!
最初に結論を言うと、法人の借金は経費に出来ません!詳しい説明はこれから記載しますが、まず借金は、経費に出来ないと理解してください。
経費に出来ないのはいいんだけど、お金を借りた場合、どんな処理をすればいいの?経費に出来るのはどんなもの?
借金の返済でお金が減ったのに、経費に出来ないの?
様々な疑問があると思いますが、簿記の基本から説明していきます。簿記が出来れば、法人の運営がどのような状態にあるのか、理解できるようになります。
簿記の基本
あなたは、簿記と聞くと難しい、数学みたいな処理をしていると考えたことありませんか?
簿記って専門用語が多くて、難しそう…。数学とか苦手だし出来るかな?
簿記は数学が出来なくても大丈夫です。私は学生時代、数学はあまり出来なかったのですが、簿記は数学の知識と全く関係ありません。基本用語と処理の仕方がわかれば誰でも出来るようになります。
今回は、法人の借金に関係する部分だけ説明します。あなたがもっと簿記を理解したい!と思うのであれば、簿記の3級から勉強することをおすすめします!
基本①:資産と負債について
決算書を見たことがあるならば、貸借対照表、損益計算書などの言葉は見たことがあるでしょう。貸借対照表に記載されている内容が資産と負債です。(純資産もありますが、今回は説明が不要のため省略します)
いきなり難しい用語をださないでーと思う方もいるでしょう。それならば、資産と負債を次のように考えてください。
- 資産=あると嬉しいもの(例:現金、株、土地、これからもらう予定のお金)
- 負債=あると嫌なもの、資産が減ってしまう原因(例:借金、預り金)
貸借対照表には、左側は現金や土地や株などの資産、右側は借入金や預かり金などの負債があることがわかります。
有名企業は、ホームページに決算書を公開していることがありますので、見ることをおすすめします!
基本②:費用と収益について
もしあなたが企業で働いていたら、費用や収益(売上)について上司など偉い人からよく話をされるでしょう。(私は、前の会社でコスト削減!売上を増やせ!とよく説教されました…)
決算書の損益計算書には、【1年間の会社の活動でどれだけ収益と費用があったか】が記載されています。費用と収益については、次のように考えてください。
- 費用=会社の売上を出すために買った、または支払ったもの(例:事務所の家賃や光熱費、文房具)
- 収益=会社の活動で得たお金(例:売上、受け取った家賃)
損益計算書を見ると、経常利益や営業利益など様々な用語が並んでいると思いますが、ここでは費用と収益の関係がわかれば大丈夫です。
法人の経費で何が処理できるの?
あなたが法人で働いているならば、取引先に行くための交通費や事務所で使う文房具などを購入した経験ありますよね?事業の売上を出すために必要なものは、費用の中でも経費で処理が出来るのです。
- 取引先と打ち合わせの後、食事をした:交際費
- 事務所で使用している車にガソリンを入れた:燃料費
- 書類を郵送提出するために切手を購入した:通信費
- 取引先の口座に振込をする時に手数料がかかった:支払手数料
- 社内教育のために本を購入した:図書購入費
こちらに出したのは一例ですので、自分の事業と関係がある支払いと思ったら、経費に出来るかどうかを税理士などに相談してみましょう!
何でも事業に関係あるからと経費処理をすると、確定申告後に税務署から指摘を受けることがあります。経費として扱うのは適度にしましょう…。
法人の経費は節税効果がある?
事業に関係あるからと何でも経費で処理はしていけませんが、事業をしているのに全く経費が無いのも税務署から怪しまれます。あなたが経営者ならこんなこと思ったことありませんか?
何を経費で処理していいのかわからないし、でも税務署に怪しまれたくない。税金はなるべく払いたくない…。
当然ですが、売上が多いほど支払う税金は多くなります。これは個人でも一緒ですよね。出来るなら節税して手元にお金を残しておきたいと思うことでしょう。
税金の支払は毎年しなければいけませんが、工夫次第で何十万も減らすことが出来ます。経費を増やせばいいんじゃないの?と思うかもしれませんが、何でも経費にしてお金が無くなったら、会社が倒産します。
節税方法の例
節税には、一時的にお金は出ていくけど、支払う税金を減らすことが出来たり、法人や従業員にとってもメリットがあるものなど様々な方法があります。今回は簡単に出来る節税の方法の一例を紹介します。
- 人件費や役員報酬を増やす(例:役員を1名⇒2名に増やし、役員報酬を増額する)
- 設備投資を行う(例:新しい機械を購入して、減価償却費で計上する)
- 健康診断を会社で受ける(例:会社で健康診断を申し込み、福利厚生費で計上する)
- 自宅の家賃を会社の経費として計上する(例:大家さんと会社で契約をし、支払家賃で計上する)
- 法人向けの生命保険に加入する(例:会社で生命保険に加入し、支払保険料で計上する)
自分の会社の税金を節税するために何がベストなのか?と迷ったら、税理士などに相談するのが早いですね!
法人の借金はどのような処理になるのか?
簿記の基本や経費について説明しましたが、実際に簿記ではどのように処理するのか知っておくと損はしません。例えば1,000円銀行から借りたとしたら次のように処理をします。
【借方】 | 【貸方】 |
現金 1,000 | 借入金 1,000 |
簿記では、資産は左(借方)、負債は右(借方)に書くと決まっています。お金(資産)も増えるけど、借金(負債)も増える…という処理なんですね。ちなみに費用は借方、収益は貸方に書くと決まっています。
借金を返済した時の処理
先ほどは借金をした時の処理を説明しましたが、返済した時はどのようになるでしょうか?お金(資産)は出ていきますが、借金はあると嫌なもの(負債)が減るので…。先ほどの例と同じ金額で銀行に返済するとします。
【借方】 | 【貸方】 |
借入金 1,000 | 現金 1,000 |
お金を借りた時と処理が逆になります!私は簿記の勉強をした時に、借金が減るとうれしいからと考えていました。
法人の借金が経費に出来ない理由
簿記の基本や処理の仕方について簡単に説明しました。法人の借金がなぜ経費に出来ないのかわかりましたか?
お金を借りた時も、返すときも事業で発生したお金ではないから経費に出来ないのです。銀行から借りたお金を事業の収益として処理したら、どの法人も収益がいきなり増えておかしなことになりますよね。
収益は事業で発生したお金を計上するので、事業以外で増えたお金を法人の収益にすることは出来ないのです。
借金の利息は経費になる
お金を借りた時には必ずついてくる利息。法人の借金でも当然利息がつきます。実は利息は、経費として処理することが出来るんです。
ただし、支払った利息は法人の活動以外で発生した経費のため、「営業外費用」として処理されます。法人の決算書を見ると「支払利息」と記載されることが多いです。
逆にお金を貸していて利息が入った場合は、「営業外収益」で処理されます。「受取利息」と記載されていることが多いですね。また、株式の配当金では「受取配当金」で表示されています。
法人の借金は、何に影響があるのか?
ここまで「法人の借金は経費処理できるか?」について説明しましたが、借金があると具体的にどのような影響があるのでしょうか?
①安定した経営が出来ているか確認される
借金がある法人より無借金経営の法人の方が印象は良く見えますよね。事業拡大で融資を受けたなどの理由であれば話は別ですが、借金の理由が業績悪化であれば、安定した経営が出来るのか不安になります。
②借金=悪い?とは限らない
無借金経営の法人がいきなりお金を貸してください!と銀行に依頼してもお金を貸さないことがあるそうです。今まで借金せずに経営してたのに、何で今お金を借りるの?と疑問を持つんですね。
銀行から融資を受けている法人が、借りた実績があっても、経営を維持出来ていると見なされます。また、銀行との関係があるので、本当にお金が必要な時に調達が出来る可能性が高くなるんですね。
何でもかんでも借金をするというのはいけませんが、個人と違って、借金が良い方向に働くこともあるので、法人の成長には借金も必要かもしれません。
まとめ:経費にできるものを知っておきましょう
今回は法人の借金を経費に出来るか?というテーマを取り上げました。会社を経営していて、資金調達を考えている人は、借金は経費に出来ないことを理解しておかないと、確定申告の時に困りますよね。
これから起業を考えている人も、お金を銀行から借りた後の経理処理を間違えると、いざという時に会社にお金が無い…なんてことになります!経費処理の基本を理解することは重要です。
今は簿記がわからなくても、処理が簡単に出来るシステムが登場しています。しかし、簿記の基本的な知識は法人の経営状況を理解するためにも必要な知識ですので、勉強することをおすすめします。