「借金とかの債務って、義務を果たせなくなるといったいどうなるんだろう・・・。」
借金などの債務の返済の義務を果たせなくなると、一体どうなってしまうのか不安に感じる事ってありますよね。
この記事では、債務の義務に関することについて解説していきます。主に以下の手順で解説していきます。
- 債務の言葉の意味について
- 債務の契約の種類ついて
- 債務不履行に関することについて
- 債務不履行のなかでも、強制執行に関することについて
- 債務の時効について
- 債務に関する、おすすめの法律事務所の紹介
債務について正しく知って、少しでも不安が軽くなることを応援してます。
債務とは、給付を提供する義務を表わす言葉
債務の意味を理解するために、債権と債務の関係性について説明していきますね。まず債権とは、特定の人に特定の行為や給付を請求できる権利のことを呼びます。
次に債務の意味は、債権とは反対に特定の人に、特定の行為や給付を提供する義務があることを現わす言葉です。
債権と債務は双方向で成り立つ関係で、借金の支払いなどを請求する債権者と、借金の返済などの義務がある債務者という両者がいることで成り立ちます。
もし、あなたが100万円を銀行Aから借りた場合、銀行Aが債権者となり、お金を借りたあなたが債務者となります。
債務の種類①双務契約による債務の義務
債務の種類は2種類の契約形態があり、種類が違うと債務者が負う義務も異なってきます。1つめの契約形態として「双務契約」について解説していきますね。
「双務契約」とは、互いに対価的な関係にある債務が成立している契約のことをいいます。具体例を踏まえて説明すると、以下のようになります。
Aさんが持っているノートパソコンを、5万円でBさんに売る契約を結んだとします。
この時に、AさんはBさんにノートパソコンを渡さなくてはいけない債務を負うことになります。その代わり、Bさんから5万円を受け取ることができますね。
一方で、BさんはAさんに5万円を支払う債務を負うことになります。5万円を支払う代わりに、Aさんからノートパソコンを受け取ることができます。
具体例から分かるように、AさんとBさんの双方が、対価的な関係で債務を負担している状況が「双務契約」と呼ばれるものです。
「双務契約」によく当たる契約は、「賃貸借契約」や「請負契約」といったものが挙げられます。
債務の種類②片務契約による債務の義務
次に説明する債務の契約の種類は、「片務契約」です。「片務契約」とは、当事者の一方だけが相手に対して債務を負う契約のことを呼びます。
「片務契約」について、具体例を踏まえて説明すると以下のようになります。
Aさんが持っているマンガを、Bさんに無料であげる契約をしたとします。
この時、AさんはBさんにマンガを渡す債務を負っていますが、Bさんは債務を負いません。Bさんは何の債務も負わずにマンガを手に入れることになりました。
具体例から分かるように、AさんとBさんの間で一方のみが債務を負う契約のことが「片務契約」と呼ばれるものです。
「片務契約」によく当たる契約は、「贈与契約」や「使用賃貸契約」が挙げられます。
債務の義務が果たせない場合、債務不履行となる
借金の返済など、あなたが負った債務の義務を果たせない場合は、債務不履行に陥ってしまいます。債務不履行には3つの種類があります。
- 「履行遅滞」― 債務を履行できるのに、履行する期間を過ぎても履行しないこと。借金の支払い期日が決められているのに、過ぎてしまったなど。
- 「履行不能」― 契約が成立した後に履行ができないことや、債務者の故意・過失によって責めに帰すべき事由があること。台風によって商品が引き渡せない場合でも、買い主が料金を支払うなど。
- 「不完全履行」― 債権者によって履行行為がなされても、債務の本旨に従った完全な履行ではなく、不完全な履行であること。お店で食べ物を買った人がお金を支払ったのに、賞味期限切れの物だったなど。
債務不履行に陥ってしまった場合は、債権者から以下のような行動を起こされるリスクがあるので注意しましょう。
- 「強制執行」― 「履行遅滞」になってしまった債務者に行う「借金の返済期日が過ぎています。」という請求や、不完全履行になってしまった場合、「期間以内に借金返済額の請求をします。」という請求など。
- 「契約の解除」― 契約を初めからなかったこととして扱い、代金を支払った場合返還する義務が発生すること。
- 「損害賠償の請求」― 買った食べ物が賞味期限切れになっていてお腹を壊した場合や、ライブのチケットの発送が遅れてしまったため、ライブに行けず、発生した損害を賠償すること。
債務の義務を果たせず、強制執行がされるとどうなるのか?
債務不履行のなかでもよく聞くのが、「強制執行」です。借金の返済などが上手くできないと、自分の物を何もかも持っていかれるイメージです。
「強制執行」は、債権者が債務者に「借金の返済をして下さい。」と何度も督促をしても、借金の返済義務を果たせずに弁済しない時に、債権者が裁判所で手続きをします。
そして、債務者の財産を差し押さえ、支払いを強制的に実行させることが「強制執行」と呼ばれるものです。なお、債務者が差し押さえられる物は以下のものが挙げられます。
- 「不動産・動産」― 家や土地、骨董品や貴金属といったもの。
- 「現金や預金口座」― 自宅に保管している66万円を超える現金や、銀行にある預金口座が全額差し押さえられる。
- 「給料」― 最大で手取金額の1/4が差し押さえられる。
特に預金口座が差し押さえられた場合、預金残高が一気に0になってしまう恐怖を体感することとなってしまいます。
一方で、差し押されないものもあり、以下の様な物は差し押さえの対象になりません。
- 生活に必要な衣類(高級ブランドは対象外となる場合がある)
- 1ヶ月分の食品や燃料
- 寝具や家具
- テレビや冷蔵庫などの家電(同じ種類のものが2つ以上あれば差し押さえの対象に)
- 包丁やお皿などのキッチン類
- 仕事をする上でどうしても必要な道具
- 仏壇や仏像、位牌など
「強制執行」となってしまっても、債務者の最低限の生活を守るために、何もかも全ての物が差し押さえられてしまうとは限りません。
強制執行をされるまでの手順
強制執行をされるまでの一連の手順は、おおよそ以下の流れになっています。それぞれ順番に解説していきますね。
- 郵便督促
- 電話や直接訪問による督促
- 債務者本人以外への取り立て
- 法的措置
郵便督促
借金の返済が滞り、義務が果たせない状況になっていると、まずは郵便が自宅に送られてきます。「借金の返済が遅れているようですが、どうなさいましたか?」といった内容です。
郵便督促が来た時点で借金の返済ができれば、何もトラブルには発展しません。
郵便督促が内容証明で来た場合、業者は借金返済が滞っている人に対して怒っている状況であることに注意して下さい。
内容証明は郵便局に記録として残るため、裁判において証拠になるからです。業者は法的手段も考えているという意思の表れでもあります。
電話や直接訪問による督促
郵便督促の後か同時に行われる督促が、電話や直接訪問による督促です。自宅や電話で「借金の返済ができていませんが、何か事情があるのですか?」というような対応をされます。
直接督促をされると聞くと、何か恫喝や脅迫のようなことをされるといったヤクザのイメージがありますが、法律によって禁止されています。
債務者本人以外への督促
電話や直接訪問での督促などによって、債務者本人が借金の返済能力がないと見なされた場合、保証人や連帯保証人へ借金を返済するよう督促をしてきます。
よく、連帯保証人になったせいで、借金の肩代わりをされたという話を聞きますよね。連帯保証人が借金の肩代わりをするタイミングが、「債務者本人以外への督促」の段階です。
債権譲渡という、債権者が別の業者に債権を譲渡することがあります。債権譲渡によって債権を買った新たな業者は、これまでの債権者とは違う方法で債務者に返済を迫りトラブルに発展する可能性があります。
法的措置
本人からの返済や、連帯保証人の返済が不可能と判断された場合、最終的に法的措置に発展するのです。
業者が裁判所に債務名義という書類を提出し、強制執行の申し立てを行います。法的措置には以下の方法があります。
- 「支払督促」― 業者が裁判所に債務者に対して督促状を発行してもらうこと。債務者は受け取りの拒否はできず、債務者が2週間の期間に異議申し立てをしない場合、強制執行が可能になる。
- 「訴訟」― 業者が裁判所で債務者を訴えて、確定判決を得てから強制執行に移る。
- 「保全処分」― 債務者が財産を処分できないようにする手続き。債務者から確実にお金を回収するために、財産を差し押さえる方法。一般的には差し押さえとも。
強制執行された人の体験談
実際に強制執行をされてしまうとどうなってしまうのか、気になる人もいますよね。この項目では、家賃滞納をしてしまい、強制執行をされてしまった井原さん(仮名)の体験談を紹介します。
井原さん(仮名)は30歳のフリーターで、強制執行をされてしまった当時は工場で派遣の仕事をしていました。
ある日突然、派遣切りにあってしまい仕事がなくなってしまいました。仕事を探すもなかなか見つからず、家賃が払えない日々が続き、家賃が払えずにいるとついに強制執行をされてしまったのです。
なんだかんだで滞納5か月めくらいだったでしょうか、とうとう強制退去の日がやって来ました。
実はその日の前にワンクッションあって、「いついつまでに自発的に退去してください」的な最後通牒が来るんです。
【管理人】だいたいは1ヶ月の猶予が与えられます。
でも、退去したくても肝心の引っ越し費用がありませんからそれもできません。
仕方なく強制退去の日まで待つしかありませんでした。
当日は、裁判所からやってきた執行官という偉い人や国の委託を受けた運送業者、それに鍵屋と不動産屋が来ました。
昼の2時ごろにやって来て、1時間ほどで作業は終わりました。
元々物が少ない私でしたから、運び出してトラックに載せるのも簡単なようでした。
全ての荷物が運び出されたのを確認した後は鍵屋が錠前を取り替えてました。
ちなみに、身の回り品を除いて持ち物は国の倉庫に運ばれて保管されます。
で、ある一定の時期までに引き取りに行かなければ売却されて負債に充てられるとのこと。
呆気なかったですねえ・・・。
一瞬で自分の住む場所が無くなったんですから。
すべては身から出たサビで自分が悪いとは分かってるんですが、なんとも解せない気持ちでいっぱいになりましたよ。
引用:https://nonnkiya.com/yachintainou-taikendan
強制執行の当日は、実にあっけないものだったと井原さんは語ります。一瞬にして自分のものがなくなってしまう空しさが感じられます。
その後、井原さんは実家に帰りコツコツとバイトをしながら滞納した家賃を返済したそうです。
突然、仕事を失ってしまうことで家賃など生活に必要なものが支払えなくなり、強制執行されてしまうのは誰にでも起こりうる可能性があります。
債務には時効があり、返済の義務がなくなるかも
債務には時効が存在します。債務が時効を迎えた場合、返済などの債務の義務がなくなるのです。
債務の時効については、「消滅時効」と「取得時効」と呼ばれる2種類のものがあります。それぞれ解説していきますね。
消滅時効
「消滅時効」とは、一定期間に権利を行使しないと、その権利が消滅してしまうことをいいます。借金の場合は、最終の借入れまたは返済の期日から5年または10年以上が経過しているのが条件です。
例えば、10年前にAさんが消費者金融に100万円を借りていたとします。もし、消費者金融が10年間Aさんに何も請求していないと、Aさんにたいして借金の返済を請求できなくなるのです。
取得時効
「取得時効」とは、他人の物を一定期間所有していると自分の物にできることをいい、主に不動産に関することで多く見られます。
取得時効が認められる期間は、自分の物が他人のものであると知らずに10年過ぎた場合や、他人の物であると知っていても20年を過ぎた場合、取得時効として認められます。
例えば、Aさんは10年間、新築の家が建つ土地が自分の土地だと思っていて所有していました。ある日、BさんがAさんに対してあれは自分の土地であると主張してきました。
この場合、不動産の権利を登録する登記所にBさんの土地であるという記載があっても、土地はAさんのものになるのです。
債務の時効が中断されてしまう可能性もある
借金などの債務の時効が認められて、借金を返済する義務がなくなってしまった場合、消費者金融などの業者は貸したお金が返ってこなくなるため、困った状況になってしまいます。
そこで、消費者金融などの債権者は、時効を中断させるために時効期間が進んでいたことを白紙にする行動を取るのです。時効を中断させるための行動は、以下の3つがあります。
- 「請求」― 訴状の提出や支払督促、調停申し立て、内容証明で「借金を返済して下さい」といった書面を送るなど。郵便が債務者に届いた日から6ヶ月間、一時的に中断させることができる。
- 「債務の承認」― 業者に借金の返済を約束するサインをしたり、債務者が1円でも借金を返済したりしたら債務の承認がされ、時効が中断される(一部弁済とも言う)。
- 「差し押さえ」― 業者が裁判所を通じて、債務者に訴え強制執行になった場合、債務者の財産が差し押さえられる。この時に、時効が中断される。
借金などが時効を迎えても、必ずしも債務の義務から解放されるというわけではないのです。
債務に関する悩みごとなら専門家に相談を
借金などの債務が苦しく、返済の義務が思うように果たせない場合は、法律事務所などの専門家に相談してみるのも有効です。
特に、借金のことに関する悩みにおすすめできる法律事務所が「東京ロータス法律事務所」です。「東京ロータス法律事務所」には、以下の強みがあります。
- 借金返済に関する相談に豊富な実績を持っている
- 借金の過払い金に関する着手金が無料
- 借金に関する無料相談を行っている
- 債務整理の費用の分割払いや後払いにも対応している
- 土日や夜間でも対応している
- 全国各地で定期的に無料相談会を行っている
なかなか、土日や夜間でも対応してくれる法律事務所はありません。「東京ロータス法律事務所」は借金に困ったならいつでも対応してくれる安心感があります。
借金に関する相談も豊富な実績があるので、借金返済に関して解決へと導いてくれますよ。
まとめ
ここまで、債務の義務に関することについて解説していきました。もう一度内容を振り返ってみましょう。
- 債務とは、特定の人に特定の行為や給付を請求できる権利
- 債務には「双務契約」や「片務契約」があり、契約によって意味が異なる
- 債務不履行には「履行遅滞」といった3種類のものがあり、債務不履行になった場合は「強制執行」などの行動が債権者からされる
- 債務の義務が果たせなくなると、最終的に強制執行となり財産の差押えがされる
- 強制執行がされるまでの手順があり、郵便督促から始まり債務者が返済をできない場合、最終的に「強制執行」となる
- 債務には「消滅時効」や「取得時効」があり、債務が消滅する可能性があるが、業者などの行為によって時効が中断されてしまうことがある
- 債務に関する悩みがあるなら、法律相談所など専門家に相談してみる
借金などの債務の義務を果たせずにいると最悪の場合、「強制執行」となってしまい自分の財産のほとんどが差押えられてしまいます。
借金の返済がどうしてもできないなら、事前に業者に相談するか、法律相談所などの専門家に相談して早めに対策を考えましょう。
債務について正しく知り、不安のない生活を送れるように応援しています。