【よくある勘違い】借金は税金対策にならない理由をわかりやすく解説

受け継いだ資産を上手に活用するために、相続税に対して税金対策をしたいものです。ここでは相続税に関する税金対策で、よく勘違いされる「借金は税金対策になるのか?」という疑問を解決します。

他にも、借金と税金対策の正しい関係を理解するため、税金対策のしくみについても触れています。

また、税金対策のために借金をするメリットと注意点を6つ紹介しているので、税金対策で悩んでいる方は参考にしてみて下さい。

この記事での税金対策とは、「相続税対策」のことを指しています。あらかじめご了承ください。

出典https://www.photo-ac.com/main/detail/1882940?title=%E3%81%8A%E8%B2%A1%E5%B8%83

借金だけでは税金対策にならない

借金だけでは税金対策にはなりません。ですので、税金対策のために、とりあえず借金をしようと考えている人は間違っているので、絶対にやめましょう!

正確には「不動産を買うと税金対策になる可能性があるです。勘違いの理由は「税金対策で不動産を買うために借金をする」を、誤った解釈をしてしまい「借金は税金対策になる」になったのでしょう。

なぜ借金だけでは税金対策にならないのか、その理由は次のようになります。

なぜ借金だけでは税金対策にならないのか?

借金はお金を借りることですね。お金を借りれば返済しなければいけない債務が発生すると同時に、手元の現金が増えることになります。

ここで、相続税について見ていきましょう。相続税は、遺産総額から債務を差し引いた純額に対して課税されます。つまり、債務が大きいほど、純額が少なくなるので相続税は少なくなるのです。

債務を大きくするために借金をしようと考えてしまいがちですが、例として、借金をしない場合と借金をした場合、どちらの純額が大きくなるか見てみましょう。

借金をしない場合

【1億円(遺産総額)-2000万円(債務)=8000万円(純額)】となり、8000万円をもとに課税されます。

1億円借金した場合

【2億円(遺産総額)ー1億2000万円(債務)=8000万円(純額)】となり、8000万円をもとに課税されます。

借金をしていない場合と借金をした場合、どちらも同じ純額なのがわかりますね。どちらも同じ相続税となるので、税金対策とはならないのです。

不動産が税金対策になるしくみ

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ここでは税金対策を正しく理解するために、なぜ不動産が税金対策となる可能性があるのかを、よくある事例の「アパートを建築した場合」を例にして、不動産が税金対策になるしくみについて説明していきます。

不動産は現金と違い評価額で計算される

土地や建物は相続税として計算する場合、評価額をもとに算出します。現金のように目に見えてお金に換算できるものではないので、国が定めた基準をもとに評価額を算出しているのです。

評価額は、購入した値段より少なくなるように設定されています。どうみても売れないような土地なのに、評価額が高く設定されて相続税が高くなったら不満がでてしまいますよね?

不満がでないように、国では評価額を低めに設定しているのです。

土地と建物の評価額

ここでは、実際に例をだして土地と建物の評価額を算出してみましょう。なお、条件によって評価減の割合は変わってくるので、ここでは解りやすいように割合を一律30%としています。

土地の評価額
  • 【条件】1億円で土地を購入して、その土地にアパートを建築する場合
  • 1億円(購入額)→7000万円(路線価評価 30%)→4900万円(貸家建付地評価 30%)
建物の評価額
  • 【条件】1億円でアパートを建築した場合
  • 1億円(購入額)→7000万円(固定資産税評価 30%)→4900万円(貸家評価減 30%)

合算すると、4900万円(土地の評価額)+4900万円(建物の評価額)=9800万円となります。

現金のみと不動産を比較

先程の例をもとに、遺産総額が3億円で債務が1億円あった場合を例として、遺産が現金だけの場合と不動産を買った場合の、相続税の課税対象額を比較してみます。

現金だけの場合
  • 3億円(遺産総額)ー1億円(債務)=2億円(相続税課税対象額)
不動産を買った場合
  • 1億9800万円(遺産総額)-1億円(債務)=9800万円(相続税課税対象額)

不動産を買った方が相続税課税対象額が少ないのがわかりますね。「不動産を買えば税金対策になる可能性がある」というのは、評価額によって相続税課税対象額が減少するからです。

ここまで見ると、「これなら借金をしないで不動産だけ買えばいいんじゃない?」と思う人もいるでしょう。ですが、借金は悪い事ばかりではありません。次は、借金をして不動産を買うメリットを紹介します。

税金対策のために借金をするメリット①

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メリットの一つ目は、資金を貯めておくことができることです。不動産を買うために負った借金の利息」は経費で落とすことができます。

一方、相続税が払えなくなり借金をした場合、相続税を払うために負った借金の利息」は経費で落とすことができません。

つまり、不動産を買った後に借金をした場合、借金の利息をまるまる抱えてしまうことになります。不動産を買う分だけお金を借りれば、利息を経費で減らすだけでなく、不動産を買うお金を手元に残すことができます。

不測の事態が起きて相続税の支払いが困難になったという場合、手元にお金が残っていれば支払いの問題を解決することができるのがメリットです。

税金対策のために借金をするメリット②

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メリットの二つ目は、資産運用にまわせることです。先程は不測の事態に備えてですが、今回は、残った資金で資産の運用にまわすことができるという点です。

あえて借金をして不動産を買い、手元に資金を残すことによって、残した資金を投資信託や国債に充てることにより資産運用をするといった方法ですね。

資産運用で増えた分を借金の利息の支払いに充てれば、不動産を買うために負った、借金の利息によるマイナスはなくなるというメリットがあります。

税金対策のために借金をするメリット③

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メリットの三つ目は、保険の見直しができることです。住宅ローンを組む際に、団体信用生命保険に加入する場合があります。

団体信用生命保険は、被保険者が返済中に亡くなった場合は被保険者が負っている借金がなくなるというものです。もし別の生命保険に入っていたとしたら、二重加入となり無駄な保険料が発生します。

団体信用生命保険に加入すれば、不動産を買うために負った借金に対する保険は十分なので、余分な保険料を支払うリスクが減ります。

ただし、条件によっては団体信用生命保険に加入できない場合もあるので、加入できるのかは借入先の金融機関に相談するようにしましょう。

税金対策のために借金をする際の注意点①

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税金対策のために借金をするのは、メリットばかりでなく、注意しなければいけない点もあります。注意点の一つに、必ずしも不動産を買うのが税金対策となるわけではない点です。

1億円の借金をして不動産を買ったとしましょう。評価額が8000万円だったとして、その不動産を売却する時に、売却額が5000万円だったら相続税を減らす以上にマイナスとなってしまいます。

全体的にマイナスとなってしまうのに、さらに借金をしてしまえば、借金の利息が発生する分さらにマイナスとなってしまいますね。

不動産を売却するのか、運用していくのか、条件によって異なりますが、売却をする際は不動産を買った方が全体として安くなるのか、しっかりとシミュレーションをする必要があります。

税金対策のために借金をする際の注意点②

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出典:https://pixabay.com/photos/euro-seem-money-finance-piggy-bank-870757/

税金対策のためにアパートを建てたとします。アパートが新築の時は入居者が増えやすいものです。しかし、築年数が古くなるにつれて、よほど家賃が安かったり立地条件が良くない限り、入居者は減ってきます。

アパート自体も傷んでくるため、修繕費などの出費も増えるでしょう。入居者が減ったために採算が合わず、アパートの修繕のために借金をするという話も聞きます。それほどアパート経営は難しいそうです。

税金対策だけのために借金をしてまで建てたアパートは、長い目で見て運用し続けることができるか、利回りや修繕費など慎重に検討する必要があります。

税金対策のために借金をする際の注意点③

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意外とありがちなのが、税金対策に満足してしまって借金の存在を忘れてしまうことです。人間目先の得に飛びつきたくなり、都合の悪い事は後回しにしてしまいがちです。

例えば、1億円借金をして不動産を買います。5000万円の相続税課税対象額の圧縮に成功したとしましょう。ですが、いくら圧縮に成功しても借金1憶円という債務は存在します。

借金の返済は滞りなく済ませられるのか、借金をする前にしっかりとした返済シミュレーションをする必要があります。

まとめ

借金だけでは税金対策にはなりません。不動産を買うために借金をするのは税金対策になる可能性があります。一番大切な事なので、勘違いしないようにしたいですね。

借金をすることはリスクを伴うことですが、うまく活用すれば、手元に残った資金を資産の運用などに充てることができます。

借金の返済計画や、税金対策のために買った不動産の運用の仕方、どのくらいの節税となるのか、信頼のおける税理士や不動産屋と綿密なシミュレーションを行う必要があります。

受け継いだ資産なので、揉めることがないよう上手に運用していきたいですね。