個人が借金をした場合にも時効があることはご存知でしょうか?ある満たし一定の条件を満たし時効が成立すれば、あなたは借金を返済する義務がなくなります。もしそうなれば、わざわざ自己破産せずに、借金を0にできます。
なぜ、個人の借金に時効があるのか?
一般的に考えて、借金をした人が借金を返す義務がなくなるというのは、おかしいと感じると思います。しかし、長期間借金を返済していなかった場合、借金が時効になり返済義務がなくなることがあるのです。それは以下の理由があるからです。
事実を証明することが困難
借金をした事実が遠い過去になると、請求書や契約書などを紛失している可能性が高まり、第三者に対して、借金をしていたという事実を証明することが困難になります。そうなると、裁判所などで白黒はっきり付けようと思っても、証拠がなくいつまでも平行線をたどってしまいます。
さらに、事実が曖昧だと、二重請求など事実と異なった請求をしてしまう可能性もあります。
これらのことは債権者と取ってもデメリットでしかありません。
社会的混乱を防ぐ
長期間借金を返済していない人は当然、その間借金がない生活をしているといっても過言ではありません。そしてその状態を基に生活が成り立ち、他者とのつながりも増えている事でしょう。
そんな時に、債権者が過去の事実を掘り返してしまうと、例え債権者にはメリットをもたらしたとしても、債務者と繋がりを持っている大勢の人に多大な損失が出てしまい、社会的混乱が起きてしまう可能性があります。
権利を主張しない者には、権利はない
法で定められている権利というのは、権利を主張する者にその権利を保護する為にあり、権利を主張しない者には、権利がないも同然です。
その為、お金を返して貰える権利を持っていたとしても、その権利を主張せずに眠らせている者には、法律で権利を保護してはもらえません。
以上のような理由がある為、借金には時効というものが存在します。
個人の借金時効成立の条件は?5年なのか、10年なのか
借金の時効が成立する為には、「定められた期間を経過している」ということが絶対条件となっています。更に、その期間というのは、場合によって変わるので以下で解説していきます。
借金時効成立の期間
時効が成立する期間は、債権者がそのお金を貸すという行為を商売として行っているのか(商事債権)、そうではないのか(民事債権)によって変わってきます。
商事債権の場合
商事債権の場合は、一番最後の返済から5年以上経過していれば、時効成立となります。また返済の期日が分からない場合は、借金をした翌日から5年以上が条件となります。
商事債権に当たる例は以下です。
- クレジットカード
- 消費者金融
- 銀行
これらの場合は、5年以上経過していれば、時効が成立します。
民事債権の場合
民事債権の場合は、一番最後の返済から10年以上経過をしていれば、時効成立となります。また商事債権と同じように、返済の期日が分からない場合は、借金をした翌年から5年以上が条件です。
- 奨学金
- 個人からの借金
- 信用金庫
- 農協
※民法改正(2020年4月1日施行)後は、商事債権と民事債権のどちらも、「債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間、権利を行使することができる時から10年間」で時効が成立します。
その他の条件も満たさないと時効は成立しない。海外逃亡は無意味
5年、10年と時間を経過していたとしても、時効が成立しない場合があります。それは時効が中断される可能性があるからです。時効が中断されると、また時効期間のカウントが0から再スタートとなり、これを繰り返し行われると、いつまで経っても時効が成立しません。時効の中断は「訴訟」「差し押さえ・仮処分」「債務者の承認」これらが行われた場合に、起きてしまいます。
訴訟
債権者が裁判を起こすと、債務者に対して「特別送達」というものが裁判所から送られ、これが届くと、時効が中断されてしまいます。
また、借金をしている最中に住所が変わり、それを債権者に知られていない場合は、「公示送達」というものが、提出されます。これは裁判所の掲示板に債務者を呼出状が張られるようなもので、債務者のもとに手紙が届かなくても、債務者が訴訟を起こされたのを知らなくても、訴訟が起こせてしまいます。
よって、長期間借金をしている人に対して、債権者が返済を求めたら、例え海外逃亡したとしても訴訟を起すことができ、時効を中断することができます。
差し押さえ・仮処分
差し押さえというのは、債権者の裁判の判決やなどの協力な施行力がある場合にしか起こせません。
しかし仮処分や仮差し押さえというのは、債務者が財産を隠すことや勝手に処分するのを防ぐために行えるものであり、比較的簡単に行えてしまいます。差し押さえと仮処分どちらを起こされても、時効は中断されてしまいます。
債務者の承認
「訴訟」と「差し押さえ・仮処分」は債務者が防ぐことはできませんが、「承認」に関しては防ぐことができます。
ここでいう承認とは、債務者が借金をしているということを認めてしまうことを指します。
債権者は、「利息だけでも、いいから返して欲しい」「少額でもいいか返して欲しい」といってくるのは、債務者に借金を承認させることにより、時効を中断させる為という場合が多いです。
もし、あなたが時効の経過を待とうと考えているなら、少額でも払ってはいけません。
個人が借金時効請求(時効援用)をする方法
借金の時効は、債務者にとって権利であり、絶対効力を発揮するものではありません。借金の時効を成立させる為には、「時効援用」という手段を取らなければいけません。なので、時効援用の流れを以下で解説していきます。
内容証明郵便で時効援用通知書を送る
時効援用は法律上、口頭で言っても効力を発揮します。つまり電話で、債権者に「時効を援用します」と言えば、借金の時効は簡単に成立します。しかし、多少面倒でも、内容証明郵便で時効援用通知書を送るが最善の方法です。
なぜかというと、口頭で言うだけでは、第三者に証明できる証拠が何もなく、後で債権者が「援用された覚えはない」と言ってしまえば、それまでです。
なので証拠をキチンと残すために、内容証明郵便で時効援用通知書を送りましょう。内容証明郵便というのは、相手に送った内容と同じものを控えとして残すことができます。これにより、時効が援用したということを証明できます。
債権者が時効援用通知書を受け取る
債権者が時効援用通知書を受け取った時点で、借金の時効は成立し、あなたが借金を返済する義務はなくなります。
借金時効援用のデメリット
時効が成立するだけで、借金が0になるというメリットを持っている時効援用ですが、当然その裏にはデメリットも存在します。
今後、借金やローンがしにくくなる
時効援用したというのはデータとして残ります。お金を貸す債権者からしたら、時効援用したというのはイメージが悪いので、今後お金を借りようと思ってもそのデータを見られて、審査に落ちてしまったり、ローンが組めなくなってしまう可能性が高いです。
逆に借金が増える場合も
時効がまだ成立していない時に、今後時効援用をしようと考えるというのは、それまでの間、利息や返済をしないということになります。時効援用が成功すれば、それでいいですが、もし失敗したならば、逆に借金が増えてしまう可能性が高いです。
借金時効の条件・方法まとめ
借金の時効を成立させることは狙って出来るものではありません。債権者が時効を成立させたくないと思えば、簡単に阻止されてしまいます。とは言っても時効が成立する可能性は0ではありません。
時効成立できるできないどちらの場合でも、弁護士や司法書士に相談すればあなたにとって最適な方法が見つかります。相談だけだったら無料で出来る事務所もあるので、一度相談してみてはいかがでしょうか。