デイサービスのことを調べていると「費用はどれくらいなんだろう?」「施設ごとに異なるの?」と疑問が湧いてきますよね。
デイサービスにかかる費用は、利用する人の要介護度や施設ごとに変動します。
そもそも仕組みがよくわからないという方は、ぜひ最後まで読んで「私の負担額はこれくらいなんだな」と参考にしてみてください。
デイサービスの費用は1回1,000円くらい。
結論から述べると、デイサービスの1回の費用は、1,000円くらいです。以下の表は、後に述べるデータをまとめた表になります。
利用料 | 約260円〜1,200円 | 保険適用 |
サービス加算費用 | 約20円〜150円 | |
食費 | 約300円〜800円 | 保険適用外 |
その他費用 | 約300円〜500円 |
要介護1で8時間利用した場合の料金をシュミレーションしてみました。
- 「利用料」8時間…656円
- 「サービス加算」入浴介助…50円
- 「食事」…300円
- 合計…約1,000円
施設の違いや介護度の違いで料金はかなり異なってきますが、1日利用すると自己負担1,000円くらいだと認識しておきましょう。次の章から、デイサービスの費用について、細かく解説していきますよ。
デイサービスの費用①「利用料」と「サービス加算」
まず、介護保険が適用される「利用料」と「サービス加算」について紹介します。
「利用料」について
利用料は、どの施設でも発生する費用です。デイサービスに滞在する時間と利用者の介護度によって、1回の利用に必要な単位が設定されています。
1単位=約10円で計算できます。ただし、地域によって若干の違いがあり、1級地から7級地、その他のいずれかに指定され、単位の単価が定められています。
等級地 | 1級地 | 2級地 | 3級地 | 4級地 | 5級地 | 6級地 | 7級地 | その他 |
地域別単価 | 10.90円 | 10.72円 | 10.68円 | 10.54円 | 10.45円 | 10.27円 | 10.14円 | 10.00円 |
1級地・2級地など等級が高い地域は、人件費が高い都心部になります。逆に、田舎だとその他に分類されていることが多いです。
あなたの住む地域が、どの等級に該当するかは厚生労働省の「地域区分について(p4)」を参考にしてみてください。
滞在時間 | 要介護1 | 要介護2 | 要介護3 | 要介護4 | 要介護5 |
2時間〜3時間 | 266単位 | 305単位 | 345単位 | 384単位 | 424単位 |
3時間〜4時間 | 362単位 | 415単位 | 470単位 | 522単位 | 576単位 |
4時間〜5時間 | 380単位 | 436単位 | 493単位 | 548単位 | 605単位 |
5時間〜6時間 | 558単位 | 660単位 | 761単位 | 863単位 | 964単位 |
6時間〜7時間 | 572単位 | 676単位 | 780単位 | 884単位 | 988単位 |
7時間〜8時間 | 645単位 | 761単位 | 883単位 | 1,003単位 | 1,124単位 |
8時間〜9時間 | 656単位 | 775単位 | 898単位 | 1,021単位 | 1,144単位 |
このように、滞在時間と介護度によって、1回の利用に必要な単位が細かく分けられています。滞在時間が長くなるほど、介護度が高くなるほど、利用料は増えていきます。
上記の表は、料金体系の一例であって、全ての施設に当てはまるわけではありません。あなたが、利用を検討する施設の料金体系を確認してください。
介護度とは、介護保険サービス(デイサービスを含む)を受けるために必要な基準。介護が必要と思われる人を市町村が評価し、介護度が決定されます。
「サービス加算」について
サービス加算は、利用料とは別にその施設で追加で必要な単位数が定められています。
以下の表は、介護保険制度で定められたサービス加算の一部です。細かい加算の一覧については厚生労働省の資料に紹介されています。
一般的に、質の高いケアを提供するとされる施設では、入浴介助の加算があったり、機能訓練の加算があったりすることが多いです。
サービス加算 | 単位 |
口腔機能向上加算 | 150単位/回 |
個別機能訓練加算Ⅰ | 46単位/日 |
栄養改善加算 | 150単位/回 |
入浴介助加算 | 50単位/日 |
サービス提供体制強化加算(Ⅰ) | 18単位/回 |
デイサービスの費用②「食事」と「その他の費用」
次に、「食事」と「その他の費用」について紹介します。こちらは、介護保険の適用外ですが、多くの施設で発生する費用です。
一回の食費は300円〜800円と言われていますが、利用者により良い食事を提供したいと考えている施設であれば、食費は高く設定されています。
また、その他の費用とは、おむつ代や連絡帳代などの雑費です。ちなみに、利用者側でおむつを用意する場合、おむつ代は発生しません。
自己負担額「1割・2割・3割」どれにあたるの?
介護サービスを利用する上で、実際に利用者側が支払う自己負担額。2000年に介護保険制度が始まった時の自己負担額は1割でしたが、制度改正を経て、一部の人に対して2割・3割負担まで引き上げられました。
多くの方が1割負担に該当しますが、所得が多いと自己負担額が高くなります。自己負担額に詳細については、厚生労働省のHPで公開されていますので、こちらからご覧になってください。
1割負担の人
1割負担の条件は、合計所得金額が160万円未満の方に該当した場合になります。
給与収入や事業収入などから給与所得控除や必要経費を控除した金額のこと。
2割負担の人
2割負担の条件は、65歳以上の方で、合計所得金額が160万円以上220万円未満であること。
加えて、「年金収入+その他の合計所得金額」の合計額が 単身世帯で 280万円以上340万円未満、または2人以上世帯で 346万円以上463万円未満の方に該当した場合です。
3割負担の人
3割負担の条件は、65歳以上の方で、合計所得金額が220万円以上であること。
加えて、「年金収入+その他の合計所得金額」の合計額が単身世帯で 340万円以上、または 2人以上世帯で 463万円以上の方に該当した場合となります。
デイサービスの費用は介護度によって異なる
所得に応じて自己負担額が異なりますが、10割ではなく1割〜3割の負担で済むのはありがたいことですよね。
しかし、介護度によって1〜3割の自己負担で受けられるサービス利用単位数には上限があります。以下の表は、介護度に応じた利用限度単位数です。
介護度 | 利用限度単位数 |
要支援1 | 5,032単位 |
要支援2 | 10,531単位 |
要介護1 | 16,765単位 |
要介護2 | 19,705単位 |
要介護3 | 27,048単位 |
要介護4 | 30,938単位 |
要介護5 | 36,217単位 |
※2021年秋に介護報酬の改定が予定されています。その時には、これらの単位数は変化しますので最新の情報を確認するようにしましょう。
例えば、要支援1の5,032単位というのは、1単位=10円の場合、5万320円を意味します。
つまり、要支援1の人は、「最大5万320円分までの介護サービスを、1割負担(5,032円分の支払い)で受けられる」ということです。
要介護1における介護サービスの上限金額が5万320円ですが、この上限金額を超えて介護サービスも受けることができます。
ただしその場合、上限金額を超える額の支払いは全額自己負担になるので、この点は注意が必要です。
上限単位数を超えた分のデイサービス費用は、全部自己負担に。
一つ前の見出しで、介護度に応じて上限単位がありましたね。これらの上限単位を超えてサービスを利用した場合は、全額自己負担となるので注意が必要です。
特に、デイサービス以外の訪問介護やショートステイなどいろいろなサービスを使っていると、知らずに上限オーバーとなってしまう可能性があります。
要介護1(上限単位;16,755)ですが、その月にあなたが使った単位数が20,000だったとします。
すると、超えた3,245単位、つまり約3万2,450円(1単位=10円計算)が全額自己負担となります。
結果的に、その月に自己負担額は、1割負担額(約1万6,755円)+全額負担額約3万2450円=約4万9,205円となります。
そのため、ケアマネージャーとよく相談してサービス利用回数を調整しておきましょう。
介護を必要とする方が介護保険サービスを受けられるように、ケアプラン(サービス計画書)の作成やサービス事業者との調整を行う専門職。
利用者が様々なサービスを使う上で、上限単位内で収まるように調整するのも、ケアマネージャーの役割の1つです。
上限単位を超えたら、「高額介護サービス費」を活用できる
自己負担額があまりにも高くなってしまった場合は、「高額介護サービス費」という負担軽減制度を活用できる可能性があります。
高額介護サービス費とは、1か月または1年間に支払った自己負担合計額が、所得により区分けされた上限額を超えた時、超えた分が介護保険から払い戻される制度です。
以下の表は、厚生労働省から示されている基準の一部を抜粋したものです。
対象となる方 | 2017 年 8 月からの負担の上限(月額) |
現役並み所得者に相当する方がいる世帯の方 | 4万4,400 円 |
世帯の誰かが 市区町村民税を課税している方 | 4万4,400 円 |
世帯の全員が市区町村民税を 課税されていない方 | 2万4,600 円 |
例えば、世帯の自己負担の上限が月4万4,000円の世帯で1か月間の自己負担の合計が6万円となった場合、差額の1万6,000円が払い戻されます。
自己負担額が大きくなってしまった場合は、ケアマネージャーに相談して申請を手伝ってもらいましょう。
「サービス加算」が盲点。安くしたいならケアマネージャーに相談
自己負担額が思いの他、高くなる要因として「サービス加算」があります。施設によって随分異なるので注意が必要です。
例えば、「リハビリができる所」「お風呂に入れる所」「経験豊富なスタッフがいる所」など各施設は特色を出しますが、それぞれサービス加算がついてきます。
単に、「日中の居場所」だけでなく質の高いサービスを受けられるのがサービス加算のメリット。しかし、加算が増えるほど、その月の上限単位を使ってしまい、結果的に支払い費用は高くなってしまいます。
料金をできるだけ抑えたいのであれば、ケアマネージャーにできるだけ加算や単位が少なくて、安い事業所を探して欲しいと伝えるのもアリです。
介護度が更新されたら上限額も変わるので注意しよう。
毎月の利用上限単位を決めるのが、介護度。この介護度は定期的に更新されますが、もし区分が変更になった際は上限単位も変わるので注意が必要です。
初めての要介護認定を受けて、手元に届く介護保険証の有効期限は6ヶ月。例えば、この半年間で体の調子が回復し、要介護認定の更新で要介護3→要介護1と区分が変わったとしますよね。
すると、上限単位数は 27,048単位(要介護3)→16,765単位(要介護1)となるため、サービス量も少なくなります。区分が変わった際は、上限額を超えないように注意しましょう。
また、有効期限内に、病状が悪化し日常生活が前よりしにくくなった場合は、更新を待たずに区分変更の申請をしましょう。区分が上がればその分、上限単位数も上がるため、必要なサービスを受けることができます。
まとめ:デイサービスでかかる費用
今回の記事では、デイサービスでかかる費用について詳しく紹介しました。デイサービスにかかる費用は、1日あたり1,000円ほどですが、施設ごとに料金はかなり異なります。
安く料金を抑えることも可能ですが、サービス加算がついている施設は、それだけ介護の質が担保されているということ。
受けたいサービスに優先順位をつけて、施設選びの参考にしてくださいね。最後まで記事を読んでいただきありがとうございました。