「デフレってものの値段が下がることでしょ?借金に影響ってないんじゃないの?」
日本は長い間、ものの値段が下がっている「デフレ」が続いています。金利はほぼ0%で、銀行にお金を預けても利子はほとんどつきません。
デフレのときにお金を借りたり、返済したりするとどんな影響が出るのでしょうか。この記事では、デフレの基本から借金をするタイミングも紹介します。お金を借りようか迷っている場合は参考に読んでみてください。
(トップ画像出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/1384360?title=%E5%B0%8F%E9%8A%AD%E3%81%AE%E4%B8%8A%E3%81%AB%E5%BA%A7%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%84%E3%82%8B%E3%83%9F%E3%83%8B%E3%83%81%E3%83%A5%E3%82%A2%E3%81%AE%E7%94%B7%E6%80%A7)
デフレはどんな現象?どんな問題があるの?
「デフレ」は英語で「deflation」と書き、「デフレーション」の略です。景気が悪化すると、お金の流れが悪くなります。
お金の流れが悪くなると、企業が自社の製品やサービスを売るためにもののサービスの価格を下げていきます。ものやサービスの値段が下がり続ける現象をデフレと言います。
ものやサービスの値段が下がることは、私達のような消費者にとって一見うれしいことに見えますが、様々な問題が発生します。
ここからは、デフレによる日常生活の影響について紹介していきます。
デフレになるとどんなことが起きるの?
デフレによる日常生活への影響は次のようなものが挙げられます。
- ものやサービスの値段が下がる
- 会社の売上や給料が下がる
- お金を借りやすい
- 借金の返済が厳しくなる
- 株価が下がる
- 金利が下がる
- お金の価値が上がる
デフレになるとものやサービスの値段が下がり続けるため、当然企業の売上も減ります。売り上げが減少するわけなので当然、従業員に支払う給料も減ってしまうでしょう。
消費者は少ない給料で安いものを買おうとするので、ものの値段が下がるのを待ちます。企業も消費者が買う値段まで値下げをするので、お金の流れが悪くなります。
日本銀行は、デフレになるとお金の流れを良くするために、金利を下げたり、銀行から国債を買い取り、お金が市場に流れるようにします。
※デフレで借金がしやすくなるのか、返済が厳しくなるのかは別の章で詳しく解説しますね。
デフレで起きるメリット・デメリット
デフレにより起きる主なメリット・デメリットは次のようになります。
- ものやサービスが安くなる
- お金を借りやすくなる
- お金の価値が上がる
マクドナルドのハンバーガーは1個100円(2020年5月現在)ですが、筆者が小学生のときは1個約60円でした。今のハンバーガーは高く感じます。(「お金の価値が上がる」については次の章で解説しますね。)
- 企業の売上、株価、給料が下がる
- 借金の返済が厳しくなる
- 利息がつかなくなる
デフレになると、企業の売上も下がるので給料が下がります。さらに企業の株価も下がります。株を買ったときより値段が下がる元本割れを起こすリスクがあるでしょう。
また、金利も下がるので、お金を銀行に預けても利息がつかなくなります。
お金の価値が上がる・下がるってどういうこと?
デフレになると「お金の価値が上がる」というメリットがあります。
例えば1個100円の商品が、デフレで1個50円になったとします。100円で1個交換できたものが2個交換できるので100円の価値が上がりますよね。「お金の価値が上がる」とはこの状態を指します。
逆にものの値段が上がればお金の価値が下がります。1個100円の商品が110円になったとします。100円で1個交換できたのが10円多く払わないといけません。この状態が「お金の価値が下がる」です。
デフレになれば、お金の価値が上がるので、銀行にお金を預けている人は、預けている金額が変わらなくても資産が増えます。逆にインフレになれば、銀行にお金を預けていると資産は減ることになるでしょう。
デフレが起きると借金はどうなるの?
デフレが起きると借金はどうなるでしょうか。結論から言うと、次のようになります。
- これからお金を借りる人:利息が少なるので、安く借りられる
- すでにお金を借りている人:収入が減ったにも関わらず、返済金額が変わらないので返済が苦しくなる
デフレになると日本銀行がお金の流れを良くするために金利を下げます。すると、金融機関は多くの人にお金を借りてもらうために、金利を下げます。
金利が下がれば、返済の時に支払う利息は少なくなりますよね。これからお金が必要な人は、金利が下がる前と比べて利息が減るので、お金を借りようとします。
逆に、既にお金を借りている人は、デフレで給料が下がるので、収入が減ったにもかかわらず、毎月の返済額は変わらないので、生活が苦しくなるのです。
次の章で、デフレになると借金がどうなるか具体的なシュミレーションで考えてみましょう。
デフレのときは借金した方がお得?
先ほど説明した通り、デフレになると多くの人にお金を借りてもらうため、銀行は金利を下げます。お金を100万円借りると、利息がどのようになるかシュミレーションしてみましょう。
利息の計算は、【借りた金額×金利×借りた日数÷365日=利息】となります。1ヶ月100万円借りた時に金利が11%→10%に変わった時のそれぞれの利息を計算します。
- 11%の場合:100万円×11%×30日÷365日=9,041.09589…→利息9,041円
- 10%の場合:100万円×10%×30日÷365日=8,219.17808…→利息8,219円
利息の差額は822円です。1%金利が下がるだけでも利息が減ることがわかりますね。実際の金利はもう少し細かい数字で変動します。利息が安くなるなら金利が下がった方がいいですよね。
借金の返済がデフレで大変になる?
デフレになると収入が下がるので、借金の返済が厳しくなると説明しました。なぜ返済が厳しくなるのか具体的な数値を使ってみてみましょう。
ある商品の値段を1,000円、金利が3%、物価が年に2%下がるとします。このときに金融機関から1,000円借りて1年後に返済と仮定しましょう。1年後に返済する金額は次のようになります。
- 利息:1,000円×3%×365日÷365日=30円
- 1年後の返済金額:1,000円+30円=1,030円
ある商品を1,000円で買って、1年後に売る時に物価が2%下がるとどうなるでしょうか。【1,000円×(100%ー2%)=980円】が売却金額となります。
1年後の返済金額は1,030円で変わらないので、【返済金額1,030円ー売却金額980円=50円】を自分で負担して返済しなければいけません。
1年後の借金の負担が重くなっていますよね。ものを売ったときに得る利益を収入と考えると、デフレになれば収入が減り、借金の返済が厳しくなるとわかるでしょう。
借金はどんなときに返済する方がいいの?
借金はインフレで収入が増えたときに早く返済するのが良いでしょう。
インフレ(インフレーション)はデフレと逆で、ものやサービスの値段が上がるので、企業の売上も増え、従業員の給料も増えます。
毎月の返済額は変わらなくても、給料が増えれば生活に余裕がでますよね。毎月の返済に加えて、追加で返済をすれば、借金が減るので将来発生する利息も減ります。
借金は返済が長引くほど利息が増えるので、返せるときに返していくのが良いですね。
インフレが続くと日銀はお金の量を国債を売ったりして調整をして、お金の流れを悪くするために金利を上げます。
金利が上がれば、銀行もお金を貸すときの金利を上げるので、利息が増えます。すると、お金を借りる人は少なくなりますよね。
借金はデフレでもインフレでも金額は変わらない
ここまで、デフレによる借金の影響といつ借りて返済するのが良いか紹介しました。
一度お金を借りたら毎月の返済金額は変わらないので、デフレでもインフレでも、まずは返済していくことが大事です。デフレでは生活費に余裕が無いので、毎月の返済額のみ払っていく方が安全でしょう。
インフレになれば収入が増えますが、一方でものの値段も上がるので生活が厳しいことは変わりません。借金の返済金額はインフレになっても変わらないので、余裕があれば少しでも追加で返済すると良いでしょう。
追加で返済していく方が、その分利息を払わなくてよくなるので、余分なお金を払わずに済みます。
デフレ 借金 まとめ
今回はデフレによる借金の影響を中心に紹介しました。最後にデフレは生活にどのような影響があるのか、もう一度確認しましょう。
- ものやサービスの値段が下がる
- 企業の売上や給料、株価が下がる
- これからお金を借りる予定の人は、利率が少なく借りられる(利息が少なくなる)
- 現在借金を返済中の人は、収入が減るので、返済が厳しくなる
日本は現在金利がマイナスのため、どこの銀行も金利は0%を下回り、お金を預けても利息は数円程度しか入りません。
お金は借りやすくなっていますが、銀行もデフレの影響により業績が良くないため、収入源である利息で売上を増やそうと金利をなかなか下げないです。
借金をしたら、なるべくなら利息を払いたくないですが、銀行も自分の会社を維持するためには収入源が減ってしまうと困るので、金利は交渉次第になるでしょう。
デフレのときは、生活で苦労しない程度に借金の返済を進めることをおすすめします。