投資信託の分配金とはどんなしくみなのか、あなたはきちんと理解していますか?わかっているつもりでも、しっかり理解できていないかもしれません。
そこで、本記事では投資信託の分配金の仕組みや種類、受取り方法などを詳しく解説していきます。
本記事を読み進めれば、投資信託の分配金のことをしっかり理解することができるのでぜひ、最後まで読み進めてみてください。
投資信託の分配金っていったい何?
分配金とは、投資信託の収益から投資家に還元するお金のことです。株式の配当金と似ているイメージです。
分配金は、決済時に支払われますが運営会社が決めるので、毎回決済時に受け取れるとはかぎりませんし、金額も決まっていません。
分配金の支払いの資金源は、投資信託の資産からなので分配金を支払うと資産は減ってしまいます。そのため、分配金を支払うとその分だけ基準価格が下がってしまいます。
理解してますか?分配金、預貯金の利息、株式の配当金の違い
分配金と混同しやすいものに、「投資信託の分配金」と「預貯金の利息」、「株式の配当金」の3つがあります。それぞれの違いをみてみましょう。
それぞれの特徴 | |
分配金 |
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預貯金の利息 | 事前に決められた利率にもとづいて支払われる |
株式の配当金 | 投資先の企業が利益の一部を投資家に支払う仕組み(企業が支払う) |
分配金の場合は、運営成績によって額は違ってきます。しかし、預貯金の利息は、決められた利率に基づいて支払われる仕組みです。
株式の配当金は、投資先の企業が利益の一部を投資家に支払いますが、分配金の場合は、一定期間の運用状況によって運用会社から支払われます。
投資信託の分配金の仕組みを理解しよう!
先にも説明したように、投資信託の分配金は購入した投資信託の「純資産」から支払われます。また、分配金が支払われた場合、その金額相当分の基準価額(個別元本)は下がってしまいます。
投資信託の分配金は、種類が2つあり受取方法の違いによって運用方法や税金面でも違ってくるのです。
受取方法は、それぞれの特徴をよく理解して選択する必要があります。次の章から分配金の種類と受取方法の特徴を解説していきます。
投資信託の分配金の2つの種類
投資信託の分配金は、「普通分配金」と「特別分配金」(元本払戻金)の2種類があります。
2つの種類は、分配の仕組みや税金の有無によって違いがあるので、その違いを解説していきます。
分配金の種類①普通分配金
「普通分配金」は、運用によって得られた利益が同額か上回っている場合に支払われる分配金のことです。
「普通分配金」は、投資家の利益になるため税金の対象になります。
分配金の種類②特別分配金
「特別分配金」は、利益ではなく元本の一部を投資家に戻す仕組みです。
「特別分配金」は、個別元本(基準価額)から支払われる分配金のことで、払い戻された分配金のぶんだけ個別元本(基準価格)が減少します。
そのため、「特別分配金」は元本の一部が戻ってきたことなので利益ではないとされ、課税対象にはなりません。
投資信託の分配金の2つの受取り方法
投資信託の分配金の受取方法は、「受け取る」か「再投資」の2つがあります。「受け取る」場合、定期的に分配金を受け取ることで現金収入を得ることができます。
分配金を「再投資」した場合は、運用資産が増えて複利的効果が期待できます。それぞれのメリットを理解した上で受取方法を選ぶようにしましょう。
次の章から、分配金の「受け取る」と「再投資」のメリット・デメリットについて解説していきます。それぞれのメリット・デメリットをしっかり理解しましょう。
分配金を「受け取る」メリット・デメリットは?
分配金を「受け取る」メリットは、定期的に現金が受け取れる点です。投資信託の種類によって分配金を受け取る時期は、年1回、2回、4回、隔月、毎月と複数回あります。
そのため、ライフスタイル併せて一時金が必要な時期に収入を得ることができるのです。
例えば、子どもの進学時の費用に当てたり、塾の夏期講習代に当てたり、年末年始お金がかかる時期に家計への補てんにしても良いでしょう。
ただ、分配金を受け取ってしまうと運用資産が減ってしまうので、「分配金なし」や「再投資」する場合に比べると運用効率は下がってしまうデメリットがあることを理解しておきましょう。
分配金を「再投資」するメリット・デメリットは?
分配金を「再投資」で受け取るメリットは、定期的に現金を受け取るよりも複利的効果が期待できるということです。
長期運用を考えているなら、分配金を受け取らずに「再投資」する方が運用資産が増えていくので年々利益も増えていくというわけです。
しかし、常に利益が発生するとは限らないので思っていたより利益がでない場合もでてきます。ただ、短期で運用するよりは複利的効果で利益を生みやすくなるでしょう。
投資信託の分配金の注意点とは
投資信託を選ぶ時に注意する点があります。投資信託を選ぶ時、分配金が多いのが良い投資信託だと思っていませんか?実は必ずしもそうとは限らないのです。
投資信託の分配金の特徴を理解せず、分配金が長く多く出ているものが良い信託と判断して購入するのはとても危険なのです。
分配金の種類は「普通分配金」と「特別分配金」があることは説明しましたが、「普通分配金」は、運営によって得られた利益ですが「特別分配金」は元本の一部を投資家に戻す仕組みです。
実は、投資信託を選ぶ際に確認する分配金が「普通分配金」なのか「特別分配金」なのかを確認することはできません。では、何を基準で投資信託を選べばいいのでしょうか?
- 上昇 → 収益
- 横ばい → とんとん
- 下落 → 損失
分配金を出している投資信託なら、「分配金込み基準価額」のチャートを提供しています。分配金が出ている場合は、分配金込みの基準価額で判断しましょう。
分配金込みの基準価額が、継続して上昇していれば収益になる可能性があります。逆に下落している場合は不安のある投資信託と言えるでしょう。
分配金だけで投資信託の良し悪しを判断するのは危険だと言うことです。
投資信託の分配金の税金の話
投資信託の分配金には「普通分配金」と「特別分配金」があることを説明しました。この二つの分配金のうち「普通分配金」は、利益として税金がかかってきます。
この「普通分配金」の納税は申込時に「源泉分離課税」を選択することで自動的に納税することができます。
証券会社で「源泉徴収有り」の「特定口座」を開設すれば、「普通分配金」から20.315%の源泉所得税を自動的に差引き、納税を完結することができるのです。
しかし、「普通分配金」を合わせた課税所得金額が695万円以下であれば税率が20.315%より低くなるので確定申告をした方が良いと言われています。確定申告をすべきか否か検討してみると良いでしょう。
【まとめ】投資信託の分配金を理解して自分に合った運用をしよう
投資信託の分配金のことを詳しく解説してきました。受取方法を選ぶ際には、自身の投資目的をよく考えて決めるのが良いでしょう。
短期の運用で定期的に、分配金を受け取りたいなら「分配金あり」がおすすめです。逆に、長期運用で複利的効果を希望するなら「分配金なし」を選び再投資するのが良いでしょう。
まずは、自身の投資目的を明確にすることでどの投資信託を選ぶのかが見えてくるでしょう。