「個人再生しても、クレジットカードは使えるの?借金を整理してもカードは使いたい!」と思っている人は多いのではないでしょうか?
債務整理の1つである個人再生は、裁判所に借金を大幅に減額できるように申請をする手続きです。住宅を残したり、毎月の返済金額が減ったりするメリットはありますが、その分デメリットもあります。
この記事では、個人再生のデメリットの中でも特にクレジットカードが使えなくなる理由を解説します。
あわせて、クレジットカードをどうしても使いたい場合の対処法や、代わりになるカードの紹介もしているので、個人再生をするか悩んでいる場合は、参考に読んでみてください。
(トップ画像出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/610564?title=%E3%82%AF%E3%83%AC%E3%82%B8%E3%83%83%E3%83%88%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%83%89)
個人再生はどんなことをするの?
個人再生は債務整理の1つで、他には任意整理、特別調停、自己破産があります。
個人再生は、裁判所に「借金の返済が難しいので、大幅に減額して返済計画を見直したいです。」という申請をします。
申請をするには、「借金の総額が住宅ローンを除いて5,000万円以下」と「安定した収入があること」という条件があります。詳しい条件は裁判所のホームページに記載があるので、こちらで確認しましょう。
個人再生の手続きが完了したあとは、残りの借金を3年間で完済しなければいけません。毎月の返済に遅れたり、滞納すると個人再生が取り消されることがあるので注意しましょう。
すべての借金が整理対象になる個人再生
債務整理では、借金を整理する債権者を選択できるものと選択できないものがあります。
- 整理する債権者を選択できる:任意整理、特別調停
- 整理する債権者を選択できない:個人再生、自己破産
任意整理と特別調停は、自分で整理したい債権者を選べるので、事情があって整理したくない債権者があればはずすこともできます。
一方で、個人再生はすべての借金が整理対象になります。例えば消費者金融からの借り入れやクレジットカードのキャッシング、自動車ローンなど、「お金を借りている」ものであればすべて対象になるのです。
個人再生をするとクレジットカードは使えない?
個人再生をすると、持っているクレジットカードは全て使えなくなります。
詳細は次の章で説明しますが、個人再生を含めた債務整理は、信用情報に事故情報が記録されて、個人への信用が無くなるので、新しい借り入れはできません。
クレジットカードは、カード会社がその月に利用金額を立て替える仕組みになっているので、借金になります。そのため、クレジットカードは個人再生をすると使えなくなるのです。
事故情報が記録されるとクレジットカードは使えなくなる
クレジットカードが使えなくなる原因は、信用情報機関に事故情報が記録されることです。信用情報機関は、クレジットカードの支払いやローンの支払いが遅れていないか、滞納していないかを記録しています。
クレジットカードの発行を申し込んだり、ローンを組んだりするときに審査を受けた経験はありませんか。カード会社や金融機関は、審査するときに信用情報に過去の借金返済に問題が無いか確認をしています。
事故情報が記録されることは、「個人再生をしたので個人への信用はありません」という意味になります。カード会社は、利用者の信用情報を確認するので、問題があると判断したらカードが急に利用停止になることも…。
個人再生では事故情報はいつ消えるの?
個人再生をしたあと、信用情報に事故情報が記録されると短くても5年、長くて10年は記録が残ると言われています。いつ事故情報が消えるかは、事故情報が記録されるときのケースによるので推測でしかわかりません。
もし、事故情報が消えているか確認したい場合は、信用情報機関(次の3箇所)に問い合わせをすれば、信用情報を取り寄せることができます。手数料が数千円かかりますが、確実に事故情報をチェックできます。
- CIC(シー・アイ・シー):CREDIT INFORMATION CENTER CORP.
- JICC(ジェー・アイ・シー・シー):日本信用情報機構
- KSC(ケー・エス・シー):全国銀行協会
事故情報が消えてもクレジットカードの発行は難しい?
個人再生後、5年~10年経って信用情報から事故情報が消えても、クレジットカードの発行は難しくなります。
まず、個人再生をしたときに整理したクレジットカードは、再発行できません。信用情報から記録が消えても、カード会社のデータには、ブラックリストとして記録が残るからです。
さらに、個人再生で整理したクレジットカードのグループ会社にカードを申し込む場合は、会社全体でブラックリストを管理している可能性があります。そのため、審査に時間がかかるか、最悪審査が通らないことも。
また、新しくカードを発行しようとしても、5年~10年は取引履歴が無いため、信用が無い状態です。カード会社は審査のときに信用情報が無いと、債務整理を疑って審査に時間がかかることがあります。
クレジットカードをしばらく残したいなら任意整理か特別調停
個人再生をしてすべてのクレジットカードが使えなくなるなら、一部のカードを残す方法は無いのか、と思うでしょう。
債務整理の内、任意整理と特別調停であれば、債権者を選ぶことができるので、クレジットカードを残すことができます。
しかし、債務整理をすると信用情報に事故情報が記録されるので、残したクレジットカードを使えても、カード会社が信用情報を確認したタイミングで使えなくなります。
債務整理をしたら、クレジットカードは原則すべて使えなくなると考えてください。
クレジットカードの代わりに使えるカードは無いの?
個人再生後は、5年~10年はクレジットカードが使えなくなるので、今までカードで生活費を支払っていた場合は不便になるでしょう。
クレジットカードが使えない間、代わりに使えるカードが無いと大変ですよね。クレジットカード払いにしていた生活費を、現金払いや銀行口座からの引き落としに変える手続きだけでも手間がかかります。
クレジットカードと同じ感覚で使えるカードとして、デビットカードがあります。デビットカードは銀行口座があれば発行できるので、審査はありません。
デビットカードを利用すると銀行口座から引き落としになるので、口座残高が無くなれば使えなくなります。支払いも一括支払いしかできないため、使いすぎを防ぐためにも便利ですね。
デビットカードは、カード会社により利用できない時間帯や曜日があるので、発行するときに利用可能時間を確認しておきましょう。
個人再生と任意整理、特別調停のどれがいいの?
ここまで個人再生と任意整理、特別調停によりクレジットカードが使えるかどうかを解説しました。債務整理は借金の返済が難しいために整理をする手続きのため、どの手続きでも信用情報に事故情報は記録されます。
個人再生と任意整理、特別調停の違いは「家族や周囲の人にバレるかどうか」です。個人再生は裁判所に申請するときに、家族の収入や支出を証明する資料を提出するため、手続きについて家族に話さなければいけません。
任意整理は債権者と交渉するため、家族や周囲に借金の理由を知られる可能性は低いです。特別調停も債権者と債務者の間に裁判所が入るだけで任意整理と同じ手続きのため、借金を誰かに知られる可能性は低いでしょう。
家族に借金の存在を知られたくないならば、任意整理か特別調停、借金を大幅に減額して返済をしたいならば個人再生を選択した方が良いでしょう。
個人再生 クレジットカードまとめ
今回は、個人再生によりクレジットカードが使えるか、他の債務整理と比較して解説しました。個人再生は裁判所に提出する書類が多くなり、さらに審査が通過するまで時間がかかります。
借金を大幅に減額でき、住宅を残せる個人再生ですが、その分家族や周囲に手続きをしていることを知られるデメリットがあります。
さらに、債務整理すべてに共通していますが、5年~10年はローンを組むことも、クレジットカードを発行することもできません。日常生活に不便な所がでてくる可能性があります。
借金の返済に困っている場合は、このようなデメリットを受け入れた上で手続きをするか判断することをおすすめします。