今回は任意整理をするとクレジットカードはどうなるのかを取り上げます。任意整理は、借金の返済が厳しくなったときに、債権者と交渉して返済予定を見直す方法ですね。
クレジットカードを任意整理すると、当然ですが様々なデメリットがあります。そのデメリットを理解したうえで、任意整理をするか選択した方が良いでしょう。
この記事では、任意整理後のクレジットカードを使いたい場合の解決方法も解説するので、任意整理をするか迷っている場合は、参考に読んでみてください。
(トップ画像出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/1624979?title=%E8%B2%B7%E3%81%84%E9%81%8E%E3%81%8E)
任意整理はクレジットカードも対象になるの?
債務整理の1つである任意整理。債権者と直接交渉して、借金の返済計画を見直し利息を無くす手続きで、債務整理の中でも、借金を整理しやすい方法として知られています。
任意整理は、借金を整理する方法なので、銀行からの借り入れや消費者金融のカードローンが対象だとイメージしがちですが、実はクレジットカードも対象になります。
基本的にカード利用者がその月にクレジットカードで決済した金額を、月末や翌月に支払っていますよね。カード会社が決済した金額を立て替えてお店に支払い、あとで利用者に立替分を請求しているのです。
立替分=お金を借りているため、借金となり任意整理の対象となるのです。
任意整理をするとクレジットカードはどうなるの?
任意整理をしたクレジットカードは、解約となり使えなくなります。また、カード会社にブラックリストとして記録が残るので、今後再発行もできません。
債務者が司法書士や弁護士に依頼する場合は、「任意整理をこの人に依頼しました。」という受任通知がカード会社に届いたタイミングで利用停止となります。
債務者は任意整理するクレジットカードを選べるので、支払いが発生していないカードは残せます。しかし、任意整理後は基本的に所持しているカードは使えなくなると考えてください。(理由は別の章で解説します。)
クレジットカードの任意整理の範囲は?
クレジットカードは、ショッピング枠とキャッシング枠の両方を任意整理できます。
リボ払いは任意整理ができる
ショッピングでクレジットカードをよく使う人は、支払い方法をリボ払いにしていませんか?リボ払いは、毎月のカードの利用金額に関係なく、毎月一定の金額を支払えば良いので使いすぎに気づかないことが多いです。
さらに、リボ払いでは利息が発生するので、返済がいつまで経っても終わらず、いつの間にか購入金額より利息の方が多くなってしまうことも。
ショッピング枠が任意整理できるので、リボ払いにしている場合でも対象となります。
キャッシング枠も任意整理ができる
キャッシング枠は利用金額を設定するときにカード会社の審査があります。審査に通過すれば、ATMでお金を借りることができます。
気軽にお金を借りられる反面、返済できない金額に膨れ上がっていることに気づかないことも…。
キャッシングを任意整理するとき、過去に利息制限法という法律に決められている利息を超えて支払っていた場合は、超過した分を借金の返済にあてることができます。
ただし、平成20年に利息制限法が改正されるからキャッシングをしていた場合に限るので、平成20年以降にカードを作ってキャッシングをした場合は、借金の減額はできないので注意しましょう。
任意整理したクレジットカードの注意点
任意整理したクレジットカードは、自動的に解約となると説明しました。解約に伴って次のようなことも起きるので注意しましょう。
- クレジットカードのポイントやマイルは失効する
- ETC機能が付いている場合は利用停止になる
- 電子マネーの機能がついている場合は利用停止になる
クレジットカードが解約されれば、カードのポイントも失効するので、今まで貯めたポイントは使えません。また、任意整理したカードの再発行はできないので、二度と取り戻せなくなります。
また、ETCカードの機能を持っているカードの場合は、カード自体が使えないため利用停止となります。WAONやnanacoなどの電子マネーの機能がある場合も、同様にカードの利用停止と同時に失効します。
任意整理前に、貯まったポイントや電子マネーは商品に交換するか、クレジットカードの機能を持っていないカードに移行しましょう。
信用情報に事故情報がのるとクレジットカードは作れない
クレジットカードを発行したり、ローンを組んだりするときには、金融機関で審査があります。金融機関は審査のときに信用情報機関(次の3つ)に申請者の信用情報を確認します。
- CIC(シー・アイ・シー):CREDIT INFORMATION CENTER CORP.
- JICC(ジェー・アイ・シー・シー):日本信用情報機構
- KSC(ケー・エス・シー):全国銀行協会
信用情報には、過去にクレジットカードやローンで支払いが遅れていないか、または、滞納していないかが記録されています。期日通りに支払いをしていて、滞納もしていなければ信用が高く、審査が通りやすいでしょう。
この逆であれば当然ですが審査に時間がかかり、最悪の場合通りません。さらに、借金を任意整理した場合は、「この人は任意整理したので信用がありません。」となり、事故情報が信用情報機関に登録されます。
事故情報の記録が残ると新しい借入は一切できません。そのため、クレジットカードを新しく作れなくなるのです。
使用しているクレジットカードも使えなくなるかも
任意整理をすると事故情報が記録されて、使用しているクレジットカードは使えなくなります。任意整理後に使えなくなるカードや、しばらく問題なく使えるカードがあり、利用者ではいつ使えなくなるか予測できません。
カード会社は利用者の信用状況を時折確認しており、信用情報を確認するのは一般的に次のタイミングと言われています。
- クレジットカードの更新期限が近い
- ショッピング枠やキャッシング枠の増額の申込をしたとき
- 携帯電話の分割払いを滞納して解約されたとき
- 他社のクレジットカードの支払いが遅れたとき
- 消費者金融の支払いが遅れたとき
また、カードを発行するときに審査が厳しくないと言われるカード会社は、頻繁に利用者の信用情報を確認しているので、急に利用停止になることも…。
任意整理後に信用情報を確認されたら、持っているクレジットカードは使えなくなると考えてください。
信用情報の事故情報はいつ無くなるの?
一度信用情報機関に事故情報が記録されると、5年~10年は記録が残ります。支払いを滞納していたり、カード会社からの問い合わせに対応しなかったりすると、20年程事故情報が記録される可能性もあります。
一般的に任意整理では最短5年で事故情報が無くなると言われていますが、個々のケースにより10年間残ることもあるので、確実に5年で無くなるとはわかりません。
自分の事故情報について調べたいときは、信用情報機関に問い合わせて個人の信用情報を取り寄せることで確認できます。手数料が数千円かかりますが、確実な情報を知りたいときは便利です。
債務整理の中で、個人再生と自己破産による事故情報は、短くて10年間記録が残ると言われています。
事故情報が無くなってもクレジットカードが作れない?
事故情報が無くなればクレジットカードを再び作れますが、審査が厳しくなる可能性があります。
まず、任意整理をしたクレジットカードは、カード会社のデータにブラックリストとして残っているので再発行はできません。
任意整理をしたカードのグループ会社でクレジットカードを発行する場合は、グループ会社全体で顧客データを管理していることもあるので、ブラックリストに載った記録があれば審査は通らないでしょう。
また、任意整理後はカードの使用履歴が無くなるので、信用情報を見たカード会社は「急にカードを使わなくなったのはなぜだろう?」と債務整理を疑い、審査が長引くことがあります。
任意整理をしてもクレジットカードを使いたいけどどうすれば?
任意整理してもクレジットカードが無いと生活で困るという人もいますよね。先ほど説明したとおり、持っているクレジットカードは任意整理したら全て使えなくなると思ってください。
任意整理してもクレジットカードを使う方法
クレジットカードを任意整理しても使いたい場合は、【家族カード】を利用しましょう。もし、あなたに配偶者がいれば、配偶者名義でクレジットカードの家族カードを作成すれば、引き続き使うことができます。
任意整理は個人名義の借金を整理する手続きになるので、家族の信用状況には影響ありません。そのため、配偶者がいれば、配偶者名義の家族カードで支払いをすれば、今までと同じように利用できるのです。
配偶者がいない場合はどうすればいいの?
配偶者がいない場合は、当然ですが家族カードは作れません。クレジットカードの新規発行はできないので、事故情報が消えるまで待つ必要があります。
ただ、事故情報がいつ消えるかわからないため、その間でも使いやすいカードを1枚持っておきたいですよね。クレジットカードの代わりとしておすすめするのは、【デビットカード】です。
デビットカードは銀行口座があれば作成できるので、審査はありません。利用したら銀行口座から引き落としになるので、残高が0になれば使用できなくなります。
デビットカードがあれば、クレジットカードと同じ感覚で利用できるのと、使いすぎを防げるという点で家計管理にも優れています。
任意整理クレジットカードまとめ
今回は、任意整理をするとクレジットカードがどのようになるのか解説しました。
クレジットカードが任意整理で使えなくなると、日常生活では不便ですよね。私は日用品や会費の支払いはクレジットカードで決済しているので、急に利用停止になったら辛いです。
事故情報が記録から消えれば、クレジットカードを再び作ることはできますが、審査が厳しくなるためなるべくなら債務整理はしない方がいいでしょう。
決済金額が自分の収入では払えない金額にならないよう、普段からクレジットカードの使用には注意したいですね。