「配偶者の借金癖が治らないから離婚したい」「離婚後に配偶者の借金が発覚した」
身勝手な借金は夫婦にとって重大な問題といえますよね。この記事では、
- 配偶者の借金を理由に離婚することはできるのか
- 配偶者のつくった借金は離婚後どうなるのか
- 借金による離婚で配偶者に慰謝料・養育費を請求できるのか
などについて書いていきます。配偶者のつくった借金に悩まされているのなら、この記事を読んでみてください。
(トップ画像出典:https://www.photo-ac.com/main/detail/2281606?title=%E6%A8%AA%E6%B5%9C%E5%9C%B0%E6%96%B9%E8%A3%81%E5%88%A4%E6%89%80)
一緒に乗り越えるという選択肢
はじめに確認しておきたいのですが、配偶者がつくった借金を一緒に背負っていこうと考えている方はいますか?
借金の度合いや理由によりますが、借金をしたことを許して一緒に返済していくのも1つの選択肢です。
共に借金を乗り越えるのか、それとも配偶者と別れるのか、よく考えて決めてください。
ここからは、配偶者と離婚をする前提で借金についての話を進めていきます。配偶者とともに借金を返していくと考えている方には、特に読む必要のない内容となります。
離婚の種類
借金を理由に離婚ができるかを知るために、離婚の種類について見ていきましょう。以下の3つの離婚方法を確認してください。
- 協議離婚
- 調停離婚
- 裁判離婚
協議離婚
協議離婚とは、夫婦間の話し合いによって決める離婚のことです。
双方の合意があればどんな理由であっても離婚することができます。ほとんどの離婚が、この協議離婚で決まります。
調停離婚
調停離婚とは、裁判所に調停の申し立てをし、調停委員が間に入って離婚の話し合いをまとめる離婚の方法をいいます。夫婦の合意がなければ離婚することはできません。
裁判離婚
裁判離婚とは、夫婦の一方から家庭裁判所に離婚の訴えを提起し、裁判所の判決により離婚を成立させることをいいます。
離婚調停を行っても、双方の合意が得られずに離婚が成立しなかった場合に行うことができます。
配偶者の借金を理由に離婚ができるのか
では、裁判を通して離婚が可能となるのはどのような場合でしょうか。裁判上の離婚については民法770条に記載されています。
民法第770条
- 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
- 一 配偶者に不貞な行為があったとき。
- 二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
- 三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
- 四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
- 五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
- 裁判所は、前項第一号から第四号までに掲げる事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができる。
出典:wikibooks
つまり、離婚理由として以下の条件に当てはまり、婚姻関係の継続が不可能だと判断されると離婚が成立します。
- 不貞行為
- 悪意の遺棄
- 3年以上の生死不明
- 強度の精神病
- 婚姻を継続しがたい重大な理由
これを見てわかる通り、配偶者が借金をしただけでは離婚を成立させることはできません。離婚をするためには、借金が原因で何らかの「婚姻を継続しがたい重大な理由」があることを証明する必要があります。
配偶者が浪費やギャンブルのために多額の借金をしたのであれば、重大な理由として認められる可能性が高いです。
離婚後に配偶者の借金を返済する必要はあるのか
では、離婚後に配偶者の借金を返済する義務はあるのでしょうか。
借金の支払い義務が夫婦のどちらにあるのかは民法第762条に記載されています。
第762条
- 夫婦の一方が婚姻前から有する財産及び婚姻中自己の名で得た財産は、その特有財産(夫婦の一方が単独で有する財産をいう。)とする。
- 夫婦のいずれに属するか明らかでない財産は、その共有に属するものと推定する。
出典:wikibooks
つまり、配偶者が結婚前に借金をしていたり、自分一人のために借金をしたりした場合は配偶者の特有財産となるのであなたに借金の返済義務は生じません。
離婚後に支払い義務のある借金
配偶者がした借金を離婚後にあなた自身も返済しなくてはいけない場合もあります。
第761条
夫婦の一方が日常の家事に関して第三者と法律行為をしたときは、他の一方は、これによって生じた債務について、連帯してその責任を負う。ただし、第三者に対し責任を負わない旨を予告した場合は、この限りでない。
出典:wikibooks
たとえ配偶者がした借金であっても、そのお金を日常生活を送るために夫婦共同で使った場合はあなたにも返済の義務があります。
夫婦が日常生活を送るためにした債務を日常家事債務といい、家賃、光熱費、教育、養育費などがこれにあたります。
離婚後も保証人はやめられない
離婚前に、配偶者が借金をしてあなたが借金の保証人や連帯保証人になったとします。離婚したのであれば(連帯)保証人をやめたいですよね。
ですが、1度(連帯)保証人となってしまうとやめることはできないでしょう。
貸付を行った側としては、確実に返済を行ってもらうために(連帯)保証人という担保をつけるのです。
1度(連帯)保証人になってしまったからには、やめることは困難となります。夫婦であっても簡単に(連帯)保証人にならないよう気を付けてください。
離婚しても子供が配偶者の借金を相続する可能性がある
離婚して借金を背負わずに済んでもまだ気は抜けません。あなたは以前の配偶者とは他人になっていますが、あなたの子供はあなたの元配偶者と親子という関係のままです。
仮に、元配偶者が借金を残したまま他界したら、あなたの子供が借金を相続することになってしまいます。
その場合は、その子供に相続放棄をしてもらいましょう。相続放棄は被相続人がなくなってから3か月以内に行う必要があるので注意してください。
借金による離婚で慰謝料を請求できるのか
配偶者の借金による離婚をした場合、慰謝料を請求することはできるのでしょうか。
慰謝料とは相手の行為によって受けた精神的苦痛に対する損害賠償のことです。
慰謝料を払ってもらうことは可能ですが、慰謝料の相場の条件として配偶者の経済力や財力が関係します。
借金をしている配偶者から慰謝料を貰えたとしても、その額は少なくなってしまうでしょう。慰謝料に関してはあまり期待しないほうが良いと思われます。
借金による離婚で養育費は請求できるのか
夫婦に子供がいる場合には、子供の親権は夫婦のどちらかに定められます。
親権者でない親は親権者に養育費を支払うことによって離婚後の扶養義務を果たします。
つまり、元配偶者が借金を抱えていたとしても養育費を受け取ることができます。
養育費の金額は、夫婦の収入に応じて決まります。家庭裁判所が養育費の算定基準を定めていますので、興味があれば見てください。
もしも、元配偶者が借金と養育費の支払いが不可能になり自己破産を行った場合は養育費を受け取れなくなってしまうのでしょうか。
自己破産の非免責許可については破産法253条に記載されており、養育費については1項の4号を見ると分かります。
第二百五十三条
免責許可の決定が確定したときは、破産者は、破産手続による配当を除き、破産債権について、その責任を免れる。ただし、次に掲げる請求権については、この限りでない。
四 次に掲げる義務に係る請求権
イ 民法第七百五十二条の規定による夫婦間の協力及び扶助の義務
ロ 民法第七百六十条の規定による婚姻から生ずる費用の分担の義務
つまり、元配偶者が自己破産を行い借金の返済義務を放棄したとしても、養育費の支払い義務を放棄することはできません。
元配偶者が自己破産を行っても養育費を受け取り続けることができます。
配偶者の借金での離婚について まとめ
いかがでしたでしょうか。最後に、これまでの内容をまとめておさらいしましょう。
- 裁判離婚で離婚するには婚姻を継続しがたい重大な理由が必要
- 基本的に配偶者の借金を背負う必要はない
- 配偶者が日常生活を送るために借金をした場合はあなたにも返済義務がある
- 離婚後も保証人はやめられない
- 慰謝料はあまり期待しないほうが良い
- 養育費は受け取ることができる
配偶者が借金をしたら焦ると思いますが、基本的に配偶者が勝手にした借金はあなたには関係なく、離婚したのちの養育費なども確実に受け取れるので安心してください。
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