分散投資は、リスクを減らすことができる投資方法の1つです。リスクには種類があるので、さまざまな特性の金融商品をうまく組み合わせることで、リスクを減らすことができます。
「分散投資は投資のリスクを減らせるらしいけど、具体的にはどんな方法があるの?」と気になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では、分散投資の具体的な内容やメリット・デメリットを解説します。リスクを減らして投資をしたい方は、ぜひ参考にしてください。
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分散投資とは?
分散投資は簡単に言うと『投資する対象を複数にわけること』です。分散投資は、リスクを減らすことができる投資方法として、投資初心者におすすめです。
運用に関する有名な格言で「卵を1つのかごに盛るな」というものがあります。これは、分散投資の重要性を指しています。
1つのかごにすべての卵を入れていると、かごを落とした時すべての卵が割れてしまいます。しかし、いくつかのかごにわけておけば、すべてが割れることはありません。
分散することで、すべてがダメになるというリスクを回避することができるということですね。
分散投資の種類は4つ
ここでは、分散の種類を紹介します。リスクを減らすために必要な「分散」は、以下の4種類です。
- 資産(商品)の分散
- 地域の分散
- 通貨の分散
- 時間の分散
分散投資は、なるべく性質の違う複数の商品を選ぶことが大切です。1つの商品が値下がりしても、他でカバーできるということ、投資資金全体で収益が安定することが重要だからです。
性質の似たものを選んでしまうと、同じような値動きになることが予想できます。すると、カバーしあうことができず、全体でも損失となってしまいます。
それでは次から、分散投資の種類について1つ1つ解説していきます。
分散投資の種類①資産(商品)の分散
分散投資の種類1つ目は、資産(商品)の分散です。ひとつの商品に資金すべてを投資するのではなく、複数の商品に投資します。
- 商品を1つに絞って投資
- A社:100万円投資 → A社倒産 → 投資した100万円は0に
- 分散投資
- A社:25万円投資 → A社倒産 → 投資した25万円は0に
- B社:25万円投資 → 値動きがなければそのまま
- C社:25万円投資 → 値動きがなければそのまま
- D社:25万円投資 → 値動きがなければそのまま
分散投資であれば、A社が倒産して25万円の投資が0になっても、残りの3社に投資した75万円は残ります。すべてを失うことはありませんね。
企業への株式投資だけでなく、債券や不動産、投資信託などさまざまな投資先に分散させることも、資産の分散になります。
特性、値動きが違うものを選び、1つがダメでも他でカバーできるという状況を作っておく、ということがポイントです。
分散投資の種類②地域の分散
分散投資の種類2つ目は、地域の分散です。投資先となる企業や金融商品が発行されている地域(国)を分散させます。
災害や政治的要因などにより、投資先の国や地域の金融市場が大きく落ち込んだ場合、資産に影響を及ぼすことがあるかもしれません。
地域を分散させておくことで、別の地域で保有している資産で、損失を最小限に抑えることができます。
景気のいい国・悪い国、先進国、これから高い成長が見込める国など、さまざまな経済状況の国に投資しておくことが大切です。
分散投資の種類③通貨の分散
分散投資の種類3つ目は、通貨の分散です。日本円だけでなく、アメリカドルやオーストラリアドル、ユーロなど複数の通貨に分散して投資します。
日本の人口は減り続けています。この状況の中で今後、経済の活性化はどこまで期待できるでしょうか。
日本円の価値が下がる可能性が十分に考えられるので、それだけに投資しているのはリスクが高いと言えますね。通貨を分散しておけば、他の通貨でカバーできるため、リスクを抑えることができます。
経済的特徴(値動き)が異なる地域の通貨を組み合わせることで、通貨価値の変動によるリスクを抑えましょう。
分散投資の種類④時間の分散
分散投資の種類4つ目は、時間の分散です。一度にすべての資金を投資してしまうのではなく、複数回にわけて投資をします。
ただ、投資のタイミングを見極めることは、初心者にとっては難しいものですね。そこでおすすめなのが『ドルコスト平均法』という積立方式の投資方法です。
ドルコスト平均法は、定期的に一定金額ずつ商品を買い付けます。
下の表は、ドルコスト均等法で6ヶ月間3万円ずつ商品を買った場合の例です。※購入数は、通常1口1円で換算しますが、わかりやすいように1口1万円で換算しています。
ドルコスト均等法例 | |||
価格 | 投資額 | 購入数 | |
1ヶ月目 | 10,000円 | 30,000円 | 3口 |
2ヶ月目 | 15,000円 | 30,000円 | 2口 |
3ヶ月目 | 6,000円 | 30,000円 | 5口 |
4ヶ月目 | 5,000円 | 30,000円 | 6口 |
5ヶ月目 | 10,000円 | 30,000円 | 3口 |
6ヶ月目 | 15,000円 | 30,000円 | 2口 |
合計 | 180,000円 | 21口 |
6ヶ月間で18万円投資して、21口の資産を持つことになります。
6ヶ月目以降に価格が10,000円になったとすると、『10,000円×21口=210,000円』です。投資額18万円に対して、資産は21万円になりますね!
下のグラフは、ドルコスト均等法を図で表したものです。※折れ線グラフが価格、棒グラフが購入数です。
価格が高いときには買う量が減り、価格が低いときには買う量が増えていることがわかります。買う量は価格によって調整されるので、値動きをチェックする必要もなく、買うタイミングをはかる必要もありません。
分散投資のメリット
分散投資の種類を紹介したところで、分散投資を行うメリットについて解説します。
- リスクを減らすことができる
- 売買のタイミングを見極める必要がない
分散投資のメリット1つ目は、リスクを減らすことができることです。1つがダメになっても、他でカバーするので、安定的な利益が期待できます。
2つ目は、売買のタイミングを見極める必要がないということです。分散投資の場合は、長期的な視点で値動きを見ていくので、常に値動きをチェックしている必要はありません。
分散投資は、リスクを不安に感じる投資初心者の人に向いてると言えます。また、日中仕事をしている人でも始めやすい投資方法です。
分散投資のデメリット
つづいては、分散投資のデメリットについて解説します。メリットと合わせて、しっかりと理解しておきましょう。
- 短期間で大きなリターン(利益)は期待できない
- 複数の資産を管理するのが面倒
分散投資のデメリット1つ目は、短期間で大きなリターン(利益)が期待できないことです。リスクを分散するということは、リターンも分散することになります。
そのため、長期間運用しなければ、利益が出にくいという特徴があります。
2つ目のデメリットは、資産管理が面倒ということです。それぞれの投資先について、その特性を把握しておく必要があります。そのため、投資対象が増えれば増えるほど、管理は難しくなります。
自分で管理・把握できる数を意識しておかないと、リスクが高まることもあるので、注意が必要です。
おすすめのポートフォリオ(資産構成)例
ポートフォリオ(資産構成)とは、分散する対象となる金融商品の組み合わせのこと
分散投資においてとても重要になってくるのが、ポートフォリオです。
ポートフォリオは、国内株式、国内債券、海外株式、海外債券の性質が違う4つのカテゴリーから選ぶのが基本です。これで資産、地域、通貨の分散ができます。
どのような割合でそれぞれの投資先に投資すると良いかは、年齢や運用目的によって異なります。
30代の人のポートフォリオ例
30代は、子どもの養育費や住宅購入など出費が多い時期です。そのため、株式が多めのハイリターンを期待したポートフォリオになります。
株式はリターンが期待できる分、リスクも高いです。しかし、時間をかけて運用することで、リスクを抑えることができます。
また、30代であれば、資産形成に時間をかけることができるので、攻めたポートフォリオも可能となります。
60代の人のポートフォリオ例
60代になると出費が減るので、老後資金を減らさないようにすることが大切です。安定性を重視したポートフォリオになります。
債券の割合を増やし、リスク・リターンともに低めに抑えています。
分散投資なら投資信託がおすすめ
分散投資をそれぞれ個別商品で行うには、それなりの資金が必要となります。
資金が十分にある場合はいいですが、それほど資金がないという場合には、すでにポートフォリオが組まれている投資信託がおすすめです。
投資信託であれば、金融機関にもよりますが、100円から投資を始めることができます。資産や地域、通貨の分散ができている商品もそろっていますよ。
それぞれの値動きに注目して、複数の投資信託を組み合わせることで、少額で効率よく運用ができます。
分散投資の種類 まとめ
分散投資の種類について解説しました。分散投資の種類は、資産分散・時間分散・地域分散・通貨分散の4種類です。
分散投資は、投資を始めたいと考えている方や始めたばかりの人が、もっとも気になるであろう「リスク」を減らすことができる投資方法です。
短期間でリターンが期待できないなどのデメリットはありますが、時間をかけて資産形成をしていこうと考えている方はぜひ、分散投資を検討してみてくださいね。