「過払い金が返ってくるのは嬉しいけど、税金ってどうなのか分からなくて不安」という人もいるでしょう。この記事では、過払い金返還請求をした時の税金について解説しています。
税金がかかる場合には申告をしなければいけないものもあるので、事前に知っておくことが大切です。
この記事では、税金がかかるケースや、必要な申告、家族や会社に借金を秘密にしたい場合の対処法についても解説しているので、参考にしてくださいね。
(トップ画像出典:https://pixabay.com/ja/photos/%E3%83%A6%E3%83%BC%E3%83%AD-%E8%A6%8B%E3%81%88%E3%82%8B-%E3%81%8A%E9%87%91-%E9%87%91%E8%9E%8D-870758/#content)
過払い金返還請求をすると税金はかかるのか?
過払い金請返還求をして過払い金が返還されると、税金がかかることがあります。
ただ、過払い金返還請求をしても必ず税金がかかるというわけではありません。過払い金返還請求をして税金がかかるケースは以下の3つです。
- 利息が付いている場合
- 生活保護を受けている場合
- 返済している利息を経費にしていた場合
次章以降で順番に解説していくので、ここでは3つあるというのが分かれば大丈夫ですよ。順番に読んでいただいても良いですし、自分が当てはまるところだけ読んでいただいても構いません。
過払い金に税金がかかるケース①利息が付いている
過払い金が返ってきたときに、利息が上乗せされている場合は、税金がかかります。ただ、返還された過払い金には税金はかからず、利息にだけ税金がかかる形です。
過払い金についてきた利息は「雑所得」として計算します。雑所得は、年に20万円を超えると税金がかかります。利息が20万円よりも少ない場合は、税金はかかりませんよ。
ただし、個人事業主としての所得がある人は、利息が20万円以下であったとしても税金が発生するため、注意してください。
過払い金によって税金が発生した場合、記録が残るため会社や家族に借金があったことを知られる可能性があります。秘密にしたい場合は、税金が発生しない形で過払い金返還請求を行いましょう。記事の後半で解説します。
次章では、過払い金に利息がつく仕組みについて解説していきます。
過払い金に利息が発生する仕組み
過払い金返還請求は民法703条の「不当利益返還請求権」という権利に基づいて行います。
簡単に説明すると、「不当な理由で相手に損失を与え、その分利益を得た者は、利益を返還しなければならない」という内容が定められています。
さらに、続きの民法704条に「利益を返還する際は利息をつけなければならない」と決められており、貸金業者は過払い金返還請求を受けた場合、過払い金に利息を上乗せして返還しなければいけません。
しかし、裁判を通して過払い金請求をしない限り、貸金業者は利息を支払わないのが現状です。
利息によって税金がかかる場合は確定申告が必要
変換された過払い金に20万円以上の利息が付いていた場合は、税金がかかるので確定申告が必要になります。確定申告をする場合は、勤め先から源泉徴収票をもらい、自分で確定申告書を書きます。
自分が住んでいる自治体の税務署へ、確定申告書を提出してください。自分で確定申告をするのが初めての場合は、勤め先の源泉徴収票と印鑑をもって税務署に行き、申告書の書き方を教わると良いでしょう。
個人事業主としての収入がある人は、利息が20万円以下でも確定申告が必要です。
利息がある場合の税金はいくらくらい?
過払い金に利息が付く場合は、受け取った利息の金額によって税率が決まっています。所得税率は以下の表の通りです。(出典:国税庁ホームページ)
課税される所得金額 | 195万円以下 | 195万円以上330万円以下 | 330万円以上695万円以下 |
税率 | 5% | 10% | 20% |
ただ、過払い金の利息が195万円を超えることはほとんどないので、もらった利息のうち5%が税金となります。100万円利息があったとしたら、5万円が税金になる計算です。
過払い金に税金がかかるケース②生活保護を受けている
生活保護を受けている時に過払い金の返還があった場合は、利息があってもなくても税金がかかります。過払い金の返還がすべて一時所得と見なされるからです。
注意する必要があるのは、戻ってくる過払い金の額によっては、生活保護を受け取れなくなってしまう可能性があることです。
生活保護の担当者に「どれくらいの過払い金が返還されたら生活保護が受けられなくなるのか」を聞いておくといいでしょう。そのうえで、いくら過払い金が返還されるのか弁護士に相談してみてくださいね。
過払い金に税金がかかるケース③返済している利息を経費にする
これは個人事業主の人の話になりますが、借金を返済している際の利息を経費として計上している場合に、過払い金が返還されると税金がかかります。
経費として計上するとその分が控除される(課税対象額が減る)ため、払う税金が少なくなります。しかし、過払い金が返還されると、利息分が返ってくるため、課税対象額の再計算が必要です。
経費として計上していた場合は、その再計算が必要なため、税金の申告方法が通常とは異なります。次章で詳しく解説していきます。
利息を経費としていた場合は申告方法が特殊
借金を返済している時にかかった利息を経費としていた場合は、普通の確定申告ではなく、修正申告が必要です。
修正申告とは、既に提出してしまった確定申告の内容を修正するための手続きです。過払い金が返還されたことで変更になった課税対象額を税務署で申告し直してください。
しっかりと手続きをしないと税金が未払いになってしまうので気を付けましょう。また、課税対象額が変化したことで税金を追納する必要も出てくるので、速やかに支払うようにしてくださいね。
家族や会社に借金を秘密にしたい場合はどうする?
ここまで紹介してきたように、税金を申告すると借金があったことが家族にも知られてしまいます。
残念ながら、生活保護を受けている場合や返済している利息を経費として計上している場合に、借金を秘密にするには過払い金返還請求をしないようにするしか方法がありません。
しかし、そうではない場合は、過払い金返還請求をした時に利息が付かないようにすれば、税金が発生しないので家族にバレずに済みます。
過払い金返還請求で利息を付かないようにするには、裁判をせずに過払い金請求すればOKです。弁護士に相談する際に「家族に秘密にしておきたい」と伝えるようにしてくださいね。
過払い金にかかる税金 まとめ
過払い金にかかる税金について解説してきました。記事の内容を下記にまとめてみたので、もう一度確認してみてくださいね。
- 過払い金に利息が付いていた場合は税金がかかる
- 生活保護を受けている場合も税金がかかる
- 返済の利息を経費にしている場合も税金がかかる
- 税金は受け取った利息分の5%
- 税金の申告をすると家族や会社に借金がバレる
生活保護を受けている場合や利息を経費にしている場合以外は、過払い金の利息を受け取らないようにすれば、家族や会社に秘密にしたまま過払い金を受け取ることができます。
秘密にしたい場合は、過払い金返還請求を依頼する弁護士に「借金を家族や会社に秘密にしたまま過払い金を受け取りたい」と伝えてくださいね。